笹井氏自殺:遺書「絶対STAP細胞を再現してください」

毎日新聞 2014年08月06日 06時30分(最終更新 08月06日 08時26分)

理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長=東京都千代田区で2014年4月16日、長谷川直亮撮影
理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長=東京都千代田区で2014年4月16日、長谷川直亮撮影

 5日に自殺した理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB、神戸市)の笹井芳樹副センター長(52)が残した遺書に、STAP細胞論文の筆頭著者の小保方(おぼかた)晴子・理研研究ユニットリーダー(30)宛てがあり、その中で「限界を超えた。精神的に疲れました」などと記していたことが、関係者への取材で明らかになった。

 関係者によると、3通の遺書がカバンに入っており、小保方氏、CDB幹部、研究室メンバー宛てだった。いずれもパソコンで作成され、封筒に入っていた。5日に東京都内で記者会見した加賀屋悟・理研広報室長によると、笹井氏の秘書の机上には理研神戸事業所の総務課長と人事課長宛ての書類があった。加賀屋室長は「(笹井氏は)心身ともに非常に疲れていたようだ」と話した。

 小保方氏宛ての遺書は1枚。「絶対にSTAP細胞を再現してください」と、STAP細胞の有無を確かめる検証実験への期待が書かれていた。検証実験は今春、CDBの研究者が開始し、今月中に中間報告が出る。9月からは小保方氏本人が実験に取り組む。

 理研の野依良治理事長は「驚がくしている。世界の科学界にとって、かけがえのない科学者を失ったことは痛惜の念に堪えない」とのコメントを発表した。

 笹井氏は5日午前8時40分ごろ、CDBと隣接する先端医療センター内で首をつった状態で見つかり、午前11時3分に死亡が確認された。遺書が残されていることから、兵庫県警は自殺とみて調べている。

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