米国版「2ちゃんねる」の新たな挑戦
匿名掲示板が探る収益化策
9年前の創業以来、レディット(Reddit)はわが道を進んできた。ユーザーがウェブ上のリンクや写真を共有して語り合うサイトは、古風なデザインにこだわり続け、今も1990年代のオンライン掲示板のようだ。
ユーザー登録には、個人情報はもちろん、メールアドレスさえ必要ない。サイト内では、学生気分の粗野なジョークが飛び交うことも珍しくない。
さらに、ネット関連の多くのスタートアップと違って、広告収入で無料サービスを支えるという標準的なビジネスモデルに迎合してこなかった。
しかし、それも変わりつつある。
レディットは広告部門を活性化させるとともに、もう少し小規模なものも含めて、カネになる事業に力を入れていこうとしているのだ。ただし、そのためには、サービスの基本的な性質は変えずに、レディットの原動力である熱心なユーザー(ユニークビジターは月1億1400万人を超える)を無視することなく、スタートアップからリアルビジネスに成長する方法を見出さなければならない。
「裏切られた」ユーザーの反動
失敗すれば、熱心なユーザーが反旗を翻し、大量に離れる恐れもある。ウェブの頂点から忘却の彼方へと転げ落ちた、マイスペースの二の舞になりかねない。
「コミュニティの力に100%委ねるサイトで肝心なのは、コミュニティをいかにうまく守り、ユーザーに裏切られたと思わせないことだ」と、グーグル・ベンチャーズ(グーグル傘下のベンチャーキャピタル)のゼネラルパートナー、ケビン・ローズは言う。「コミュニティを激怒させたくはない」
ローズにも経験がある。ローズは、レディットと同じようにリンクを共有するソーシャルニュースサイト「ディグ」の共同設立者のひとり。全盛期は数百万のアクセスを誇ったディグは、広告戦略とサイトのデザインをいじってユーザーの大量流出を招いた。