東京大学のシンボルである安田講堂を、どうやって大地震でも「落ちない天井」に改修するか。しかも、姿は建設当時のまま――。約23億円をかけて、建物内部を大手術する工事が最盛期を迎えている。
安田講堂は東大本郷キャンパスに1925年に完成した。鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造の地下1階・地上5階建てで、延べ面積は6988m2。講堂部分は3〜4階に位置する。東京帝国大学建築学科で教鞭を執った内田祥三、岸田日出刀の両氏が設計し、清水組(現在の清水建設)が施工した。「安田」講堂の名前は、安田財閥の創始者・安田善次郎の寄付によって建設されたことによる。
1968〜69年の東大紛争で占拠・封鎖された安田講堂は、その後、長期間にわたって閉鎖。90年に大規模改修(施工者は大成建設)を実施し、91年から講堂の使用を再開した。その後、96年に登録有形文化財の第1号として登録された。
今回の改修のきっかけは2011年3月の東日本大震災だ。大きな損傷はなかったが、ガラスやタイルの一部が落下するなどの被害が生じた。完成から約90年が経過し、老朽化も進んでいた。東大内部で改めて検証したところ、耐震性が十分でなく、耐震改修を実施することが決まった。
設計は東大キャンパス計画室と同施設部、香山壽夫建築研究所が担当した。改修のコンセプトは、竣工当時の意匠を保存・一部復元しながら、躯体や二次部材の耐震性を確保すること。当時の姿を残すことによる難題が、施工者である清水建設の頭を悩ませた。
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『天井の構造計画はゼネコンさんにお任せだった事』が興味深かったです。
( ひこぼー 2014/08/06 05:20 )
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大変興味をもって拝読しました。
父が大成なのでそちらに施工してもらいたかったななんて思ってしまいました(笑)・・・というのが冗談で、わが国の建設会社の技術には改めて感服、建築物はやっぱりいいなと思います。
私学の雄がいくらあっても東京大学は日本の誇る世界の大学であってほしい、その「顔」は威風堂々としていてほしいと再認識しております。
( Misa Hayashi 2014/08/06 08:36 )
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