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2012/01/21

Rewrite しまこルートぽいの

 昼休み。学食で運良く手に入れる事が出来たヒレカツサンドを手に、俺は部室へと向かっていた。
 昼の栄養補給がてら最近集まってきていたネタをノートPCでまとめて、ついでに何か面白そうなネタを選んで調査してみようと考えた次第である。

「ちーっす会長」
「あら、随分と早いのね?」

 部室に入ると、定位置である椅子(小鳥曰くプレジデントチェアー)に座りながらPCを操作している会長が居た。机の上には弁当があるので食事をしながら何かをしていたらしい。

「ちょいとネタの整理をしようかと。メシついでに」
「別にいいけれど、汚すんじゃ無いわよ」
「了解ー」

 肉汁が飛び出てくる肉まんならともかく、ただのヒレカツサンドではうっかり具をこぼさない限り汚す事は無い。
 とはいえ、もしうっかり汚してしまうと会長から暗黒魔法を喰らう可能性もあるので注意はしておく。弁償はドアだけで十分です。

 しかし、ネタも中々集まってきたもんだ。胡散臭い自称超能力者から、幽霊が出るという物件の話までよりどりみどり。そのうちオカ研メンバーで調査に出向いてみるのも実に楽しそうだ。
 ブログの投稿にもこまごまとしたネタが多く寄せられている。こっくりさんがどうとか呪いがどうとか…また、イタズラ投稿もいくらかあるのでそれは消去しておく。
 学校のブログで広告が書き込まれるというのはいったいどういう事なんだか。

 ヒレカツサンドを味わいながらPCを操作していると、ガチャ、と準備室の扉が開く音がした。
 恐らく会長だろうが、何か向こうに用事でもあったのかとPCから目を離すが、しかし会長はプレジデントチェアーに座ったままだった。
 ならば鳳辺りが準備室に迷い込んだのかとそちらを見ると…開いた扉から半身を除かせている黒髪の幼い少女がそこに居た。…なんでこんな子がここに?

「…」
「…」
「…」

 僅かな沈黙のあと、バタンと扉が音を響かせ、少女は準備室へと消えた。

「…会長! 座敷わらしは実在したんですよ!」
「それは無いわ。…あー、あの子は色々あってちょっとだけここで預かってる知り合いの子なのよ」
「なんだ、そっすか」

 何故準備室に居たのかは気にしない事にした。子供というのはああいう狭くて雑多とした空間が好きだったりする事が多いのだ。昔の俺とか。
 会長が子供を預かるというのはしっくりこないものの、きっとその辺も政治的な…!!

「誘拐とかじゃないですよね?暗黒魔法的な意味で」
「お前は私を何だと思っているのよ…」

 普段の言動から察しただけです。まあ半分以上は冗談だけれども。

「…」

 気が付けばまた扉が開いていて、先ほどと同じ様に半身だけ姿を見せながら俺と会長のやりとりをボーっと見ている少女が居た。

「ほらしまこ、こっちに来なさい」

 会長にそう呼ばれると素直に会長の下へ。そして何故か会長の影に隠れるようにして俺を観察し始めた。人見知りなんだろうか。

「しまこって名前なんすか」
「何? 一目惚れでもしたの? ロリコンは犯罪よ?」
「会長も俺の事何だと思ってるんすか…」
「何って、実際近所の田村さんの所の小学生と婚約寸前までいったんでしょう?」
「それは向こうが勝手に…って、なんでんな事知ってんの!?」

 今更だけどこの人の情報網はいったいどうなっているんだ。本当に魔女らしくコウモリを使役していても全然不思議に思えないくらいだぞ。
 そう俺が恐怖に慄いていると、しまこと呼ばれていた少女は俺の観察を止めて会長の後ろに隠れてしまった。大声を出して怖がられてしまったんだろうか?

「ああ、この子騒がしいのが嫌いなのよ」
「あぁなるほど」
「だからこの子が居る間は私が何を言っても騒がしく反論しては駄目よ?」
「いやその理屈はおかしい」

 …ともかく子供を怖がらせたり嫌がらせをする様な人間になる気は無いので、大人しくしておくことにする。基本おちゃらけている俺だが別に黙れない訳じゃないのだ。
 というか、PCでネタを纏める為に来たのに一人で騒ぐなんて事はしない。会長も時々ノってくれたりはするものの基本は騒ぐ人でもなし、今日は普通に作業を進めよう。
 どうせ放課後に集合したらいつも通り騒ぐ事になるだろう。放課後に部活メンバーと面白おかしい時間を過ごす…実に青春だ。これでオカルト活動にも乗り気でいてくれたら尚更素晴らしいのに。

 ともかく特に問題も無さそうなので作業を再開。といっても纏めること事態は既に終了しているので、今は軽くネタを吟味している所だ。
 しかし…自称超能力者のネタがやけに多い。なんか超能力者詰め合わせみたいなものもあるし、もしかして俺のネタの探し方が悪いのか? 聞き込みみたいな一般的なことしかしてない筈なのにな。
 ふと時間が気になったので時計を見る。が、昼休みはまだたっぷりと残っている。思いの外早く纏め終わっていたんだな…俺の作業&タイピング速度も中々のものという事か。

「暇よ天王寺。何かなさい」
「なんすかその急な無茶振りは…その子の世話でもしてればどうっすか?」
「しまこも暇してるのよ」

 暇人扱いされた少女しまこは、暇どころか俺を観察する事で忙しそうに見える。ってか何で俺はこんなにガン見されてるんだ? もしかして田村さん家の子といい、俺って小さい子を惹きつけるフェロモンでも持ってるんだろうか。
 どうせなら同世代の女の子を引き寄せるフェロモンが良かったのに。そうすればきっとバラ色の学校生活が…いや、考えてるとなんだか虚しくなってくるから止めておこう。

「じゃあ、オカルトの証明がてら自称超能力者でも呼びましょうか?」
「そうね…まあそれでいいわ」
「…?」

 一瞬チラリとしまこの方を見て何か悩む様な素振りを見せた会長だったが、すぐに許可を出した。見られたしまこの方はこれから何が起こるのかと首を傾げている。
 しまこに何かあるんだろうか? まあ人見知りっぽいし、また知らない人が来ても大丈夫か心配したってところが妥当か。何だかんだでアホ話にも付き合ってくれる様な優しい人だし。
 なら俺も出来るだけ騒がしくならない様な奴を呼ぶとしよう。出来るだけ地味そうな奴は…

 そうだな、この『人形使い』を呼ぼう。地味そうだし。

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