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2011/07/16

Rewrite IF 式紙が偽者だった場合 (Rewrite短編)

※このSSは結構重大なネタバレが存在します。

これを見てネタバレしてしまっても、作者は責任とりませんからね!

 

 

 

 

 夜中、篝は瑚太朗の部屋へとやってくる。ちなみにこの日初めてではない。
 ほんの僅か存在している窓の隙間からアウロラ(ミラクルリボン)を室内に滑り込ませ、器用に窓の鍵を開錠。そして侵入するのだ。
 見事な侵入技術である。たまたま学習出来ただけの知識だけでもここまで上手く活用出来る事から、篝は基本的に頭が良いという事が理解出来る。

 何かに惹かれる様にとりあえず侵入した篝。ちなみに不法ではない。法律とは人間を対象にしたものであって、人間でない篝には関係の無い話なのだ。
 きょろきょろと室内を見渡す篝だが、そんなに興味を示す様なものはない。机の上に人型に切られた紙があったが、ただの紙なのですぐに視線を外す。
 …本来ならこの式紙は魔物であり、なんやかんやで篝にもぐもぐされてべちゃっとされる運命なのだが、この可能性世界では普通の紙の様だった。
 故に、今、篝のテンションを下げる要因は存在していない…!!

 篝が室内を見回すのを止め、その目線を一点に集中させる。そこにはベッド。そして瑚太朗オンザベッド。何だかよくわからないが興味がマッハだ。
 どうしようかちょびっとだけ悩む篝。ちょびっと考えた結果、瑚太朗のベッドによっしゃこーいとばかりに潜った。ちなみにこの行動に関しては今日が初めてだったりする。

「…」

 …しっくりきた。篝はそこがしっくりくる。ちょっと汗っぽいニオイ(オトコノコ臭)も好き。なんか暫くこのままで居てもいいかもしれない。
 式紙に襲われていないので口内環境も正常。故にこのちょっとだけステキな感じの場所から移動する理由など見当たらない。見当たらないのだ…!!
 なので瑚太朗にちょっとだけ覆いかぶさる様な、包み込む様な形で軽く抱きつく。そして篝はそのままこの状況を堪能する事にした。
 
 
 
 瑚太朗はもうすぐ眠れそうだった時に発生した異常事態に内心大混乱状態だった。
 始めに、なんだか柔らかいものに、というか女性に抱きしめられている様な感触がした。
 夢だ、夢に違いないと幻覚ならぬ幻触を振り払おうとするも、すぐにその何かの体臭がしてきた。例えるなら、濃度高めの森林浴。

「…え……?」

 いくら何でも、まさか。そう考える脳内に過ぎるのは、ここ最近悩まされていた心霊現象について。
 ほとんど眠りかけていたが、一抹の不安と共に目を開く。

「…」

 視覚情報にはゴースト的なものは何も映っていない。メインカメラは良好だ。しかし瑚太朗のふしぎチックな勘が、そこに何かが居る事を示す。
 物凄い何か。とんでもない何か。それが、女性の形となって瑚太朗に抱きついている。…女性の形となって、瑚太朗に、抱きついている。

「…」

 怖い。が、恐怖と共に、オトコノコ的な感情も湧いてきてしまった。篝がすぐに瑚太朗から離れていれば恐怖だけで終わったかもしれないが、ずっと抱きついているため常にふにゅっとした女性的な柔らかい体の感触に晒されているのだ。
 とりあえずその何かが居る筈の空間に右手を移動させる。もし素通りして尚この感触がするのなら、リアルゴースト的な何かが存在するか、もしくは瑚太朗の欲求不満が女性の柔肌の幻を発生させているかのどちらかとなる。
 もし何かに触れてしまった場合は…透明人間? …どちらにしろオカルトルート一直線だ。
 しかし人間という生き物は確かめずには居られないのだ。そう、その探究心こそ人間の進化の源…!!

 スッと手を移動させる。怖いのでささっと終わらせようと考えた結果がこの軽い感じの行動だった。
 そしてその結果、右腕は女性の肉体らしきものに触れて止まる。止まった。触れて止まって接触したままだ。明らかに何かが居た。柔らかい肌の女性透明人間と思わしき何かが居た。

「…」

 わーいおんなのひとにだきつかれてるよー。
 そんな事を考えながら、恐怖のあまり気絶という方法で眠りへと落ちていく瑚太朗だった。
 
 
 
「…」

 さて、気絶した瑚太朗の右手に触れられたままの篝は、どうしようかちょびっと考えていた。
 瑚太朗の右手が触れているのは篝の太ももの部分。余裕で痴漢として訴えられるが、篝は法律を守る義務がない代わりに法律で守られないので告訴は出来ない。
 というかそもそも、今の知識が少ない篝には太ももを触られる事など別に大騒ぎする事でも無かった。なんだかよくわからないがドキっとしただけだった。あとちょっとソワソワするだけだった。

「…」

 とりあえず存分に堪能したのでそろそろ出る事にした様だった。
 いそいそとベッドから抜け出て窓から外へ出て、入った時と同じ様に器用にアウロラ(ミラクルリボン)で鍵を閉める。隠蔽工作は完璧である。

 そして篝は森へと向かい、てくてくと歩き出す。また来ようとか考えながら。

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