悪い子にはおしおきを(東方×ぼのぼの)
「いやぁ、今日も楽しい1日だったねぇ」
迷いの竹林を1人の少女が歩く。名前は因幡てゐ。永遠亭に住む兎の妖怪だ。
可愛らしい容姿と人間に幸運を運ぶ能力に似合わず、彼女はイタズラが大好きだった。その行動から詐欺兎や兎詐欺などと呼ばれている程に。
「全く鈴仙はからかい甲斐がありすぎるね」
今日も、自分と同じく永遠亭に住む月の兎…鈴仙・優曇華院・イナバを散々からかった。
少々やり過ぎて本気でキレられる事もあるが、それでも鈴仙をからかうのは楽しいので止められない。
相当やり過ぎ無い限りは永遠亭の裏ボスである薬師・八意永琳におしおきされないし、永遠亭の表ボスの蓬莱山輝夜はむしろ煽るタイプ。
なので、てゐはいままでまともにイタズラを咎められた事はあまり無かった。
…しかし、つい最近幻想郷に流れ着いた『とある妖怪』は、イタズラばかりする悪い子には容赦はしなかった。
「他人にイタズラばかりしちゃう様な子は…」
「へ?」
「てゐが行方不明?」
博霊神社でのんびりと掃除をしていた巫女・博霊霊夢の元に、突然鈴仙がやってきた。
何やら昨日からてゐが永遠亭に帰らないらしい。
「どっかで遊んでんでしょ、どうせ」
「それは無いのよ。今日は師匠に仕事を頼まれてたし…サボったらとんでもない目に合うもの。主に薬物で」
「なるほど」
薬師が薬物でお仕置きとか明らかにヤバそうな響きがする。というか病院も兼ねている永遠亭として問題は無いのか。
そんな事が頭を過った霊夢だが、どうでもいいのでスルーした。
「とりあえず私は知らないわよ。魔理沙辺りならあちこち飛んでるし、何か知ってんじゃない?」
「そう…もし見つけたら、早い内に永遠亭に戻ってこいって伝えてもらえる?」
「はいはい。さっさと行きなさい、掃除の邪魔よ」
そして鈴仙は飛び去っていった。それを見送った霊夢は掃除を再開する。
「しかし…なーんか嫌な予感がするわね」
良く当たると評判の霊夢の勘は、これは事件じゃないかと訴えかけていた。
それと同時に、関わったら酷い目にあう様な気もしていた。
「…ま、現時点では異変でも何でもないしどーでもいいわ」
いつまでも絶えぬ霧が立ち込めた湖。
そこで妖精達の中でも強力な力を持つ氷精・チルノは、暇潰しをしていた。
暇潰しの内容は、蛙を凍らせて遊ぶというもの。
「暇だなー」
ゲコゲコと鳴いている蛙をまわりの水蒸気ごと凍らせて氷のブロックに閉じ込めたり、蛙のみを凍らせてみたり。
某ミジャグジなケロちゃんが見れば憤慨しそうな遊びではあるが、霧の湖には妖精くらいしかいないので問題は無い。
それに、蛙を凍らせた程度で怒る存在などそうそう居ないだろう。
…しかし、つい最近幻想郷に流れ着いた『とある妖怪』は、命を大切にしない悪い子には容赦はしなかった。
「さあ、蛙を凍らせてイジメる様な子は…」
「え?」
「はぁ、チルノが行方不明ね…」
博霊神社でのんびりとお茶を飲んでいると、いつの間にか勝手にお茶を飲んでいた白黒の魔法使い・霧雨魔理沙がそんな話をした。
「ああ、大妖精が心配しててな。探し回ってるみたいだ」
「てゐに続いてチルノねぇ…」
霊夢の勘は既に、これは異変だと訴えかけている。しかし同時に、関わったら災難に見舞われるぞと赤色灯をクルクルと回している。
霊夢は自分の勘に突っ込んだ。どうすりゃいいのよ、と。
「はぁ…仕方ない。気は乗らないけど、一応異変っぽいし調査しようかしら」
「なら、良い情報があるぜ」
そんな情報持ってるならお前が解決しに行けよと霊夢は思った。
「北東の方にある山に洞窟があってな。そこに見慣れない妖怪がいるらしい」
「成程、あからさまに怪しいわね」
自分の勘もおそらくそいつだと訴えかけてきている。
それと同時に、行くな!行ったら酷い目にあううぞ!と叫ばんばかりに勘が訴えかけ、頭の中の赤色灯は360゜自由自在にギュインギュインと回り狂っている。
しかし一応自分は博霊の巫女。よくわからない変な妖怪が相手だろうとシバき倒すのが仕事なのだ。
「はぁ、憂鬱だわ」
大きな溜息を1つ漏らし、霊夢は魔理沙と共に空へと飛び上がった。
魔理沙の道案内を受けて飛び続け、暫くして目的の洞窟へ辿り着いた。
霊夢はお札を取り出し、魔理沙も魔力をみなぎらせながら警戒しつつ洞窟の中へ入る。
そして洞窟の奥に存在したのは…
「…箪笥に、戸棚」
「葛籠もあるな」
大量の収納グッズだった。
「とりあえず今は誰もいないみたいだし…どうしようかしら」
「とりあえず漁ってみるか」
「他人の家を漁るのはただの泥棒よ」
「なに、ただの家宅捜索だから問題ないさ」
いや大問題よ…と突っ込もうと思ったが、手癖が悪いのは今更だったので諦める事にした。
魔理沙も漁ってはいるが流石に持って帰る気は無い様なので、まぁ多分大丈夫だろうと判断したのだ。
…しかし、つい最近幻想郷に流れ着いた『とある妖怪』は、勝手に家捜しする悪い子には容赦はしなかった。
「さあ、他人の家に勝手に侵入して漁りだすような悪い子は…」
「「ッ!?」」
バッ!と瞬時に戦闘準備をして声が聞こえた方向…出入口の方を見ると、まるで豹の様な柄の毛並みを持った獣の妖怪が立っていた。
2足歩行ではあるが幻想郷でよく見かける人の形ではなく、まんま獣が立っている姿。
そんな異様な姿の相手に向かって霊夢が話しかけようと口を開くが、
「どんどんしまっちゃおうねー」
「なっ!?」
「ちょっ!?嘘でしょ!?」
その獣が「しまっちゃう」と言いながら開けた葛籠の中に強力な力で吸い込まれてしまい、そのまま閉じ込められてしまった。
「久しぶりね」
「ああ、紫さんでは無いか。どうしたんだい?」
「さっきしまっちゃった紅白と白黒だけど、貴方がしまっちゃった兎と妖精を助けに来ただけなのよ」
「む、では彼女達は噂の異変解決人なのかい」
「ええ、だから解放して欲しいのよ」
「ふーむ、紫さんがそういうならそうしよう」
「それと、お仕置きにしまっちゃうのはいいけど、流石に周りの人が心配するから早めに解放してあげて欲しいわ」
「そうか、それはうっかりしていたよ。なら全員解放しようか」
「ええ。全員私が運んでおくわ」
「すまないね」
博霊神社でお茶を飲んでいる霊夢は、先日の異変の顛末を思い出していた。
あの妖怪は悪い子にお仕置きしただけだったらしく、すぐに謝罪された。
しかしそんな事はどうでもいい。重要なのは…
「負けちゃったわね…」
初めての敗北。閉じ込められただけだが敗北は敗北。
スペルカードルールなんかまるで関係の無い突発的な戦いだったが、それでも負けは負けなのだ。
今まで激戦を乗り越えてきた博霊の巫女として、一応あるプライドが傷付いてイライラする。
ちなみにてゐとチルノはトラウマになったらしく狭い所や暗い所が苦手になったらしい。
「…多少は修行でもした方がいいのかしら」
しかしそれはめんどくさい。めんどくさいので…暇で仕方ない時にでもやっておこう。紫にも言われたし。近いうちに稽古つけるとも言われたし。
そう霊夢はグダグダな決断をし、再びのんびりとお茶を啜り出した。
迷いの竹林を1人の少女が歩く。名前は因幡てゐ。永遠亭に住む兎の妖怪だ。
可愛らしい容姿と人間に幸運を運ぶ能力に似合わず、彼女はイタズラが大好きだった。その行動から詐欺兎や兎詐欺などと呼ばれている程に。
「全く鈴仙はからかい甲斐がありすぎるね」
今日も、自分と同じく永遠亭に住む月の兎…鈴仙・優曇華院・イナバを散々からかった。
少々やり過ぎて本気でキレられる事もあるが、それでも鈴仙をからかうのは楽しいので止められない。
相当やり過ぎ無い限りは永遠亭の裏ボスである薬師・八意永琳におしおきされないし、永遠亭の表ボスの蓬莱山輝夜はむしろ煽るタイプ。
なので、てゐはいままでまともにイタズラを咎められた事はあまり無かった。
…しかし、つい最近幻想郷に流れ着いた『とある妖怪』は、イタズラばかりする悪い子には容赦はしなかった。
「他人にイタズラばかりしちゃう様な子は…」
「へ?」
「てゐが行方不明?」
博霊神社でのんびりと掃除をしていた巫女・博霊霊夢の元に、突然鈴仙がやってきた。
何やら昨日からてゐが永遠亭に帰らないらしい。
「どっかで遊んでんでしょ、どうせ」
「それは無いのよ。今日は師匠に仕事を頼まれてたし…サボったらとんでもない目に合うもの。主に薬物で」
「なるほど」
薬師が薬物でお仕置きとか明らかにヤバそうな響きがする。というか病院も兼ねている永遠亭として問題は無いのか。
そんな事が頭を過った霊夢だが、どうでもいいのでスルーした。
「とりあえず私は知らないわよ。魔理沙辺りならあちこち飛んでるし、何か知ってんじゃない?」
「そう…もし見つけたら、早い内に永遠亭に戻ってこいって伝えてもらえる?」
「はいはい。さっさと行きなさい、掃除の邪魔よ」
そして鈴仙は飛び去っていった。それを見送った霊夢は掃除を再開する。
「しかし…なーんか嫌な予感がするわね」
良く当たると評判の霊夢の勘は、これは事件じゃないかと訴えかけていた。
それと同時に、関わったら酷い目にあう様な気もしていた。
「…ま、現時点では異変でも何でもないしどーでもいいわ」
いつまでも絶えぬ霧が立ち込めた湖。
そこで妖精達の中でも強力な力を持つ氷精・チルノは、暇潰しをしていた。
暇潰しの内容は、蛙を凍らせて遊ぶというもの。
「暇だなー」
ゲコゲコと鳴いている蛙をまわりの水蒸気ごと凍らせて氷のブロックに閉じ込めたり、蛙のみを凍らせてみたり。
某ミジャグジなケロちゃんが見れば憤慨しそうな遊びではあるが、霧の湖には妖精くらいしかいないので問題は無い。
それに、蛙を凍らせた程度で怒る存在などそうそう居ないだろう。
…しかし、つい最近幻想郷に流れ着いた『とある妖怪』は、命を大切にしない悪い子には容赦はしなかった。
「さあ、蛙を凍らせてイジメる様な子は…」
「え?」
「はぁ、チルノが行方不明ね…」
博霊神社でのんびりとお茶を飲んでいると、いつの間にか勝手にお茶を飲んでいた白黒の魔法使い・霧雨魔理沙がそんな話をした。
「ああ、大妖精が心配しててな。探し回ってるみたいだ」
「てゐに続いてチルノねぇ…」
霊夢の勘は既に、これは異変だと訴えかけている。しかし同時に、関わったら災難に見舞われるぞと赤色灯をクルクルと回している。
霊夢は自分の勘に突っ込んだ。どうすりゃいいのよ、と。
「はぁ…仕方ない。気は乗らないけど、一応異変っぽいし調査しようかしら」
「なら、良い情報があるぜ」
そんな情報持ってるならお前が解決しに行けよと霊夢は思った。
「北東の方にある山に洞窟があってな。そこに見慣れない妖怪がいるらしい」
「成程、あからさまに怪しいわね」
自分の勘もおそらくそいつだと訴えかけてきている。
それと同時に、行くな!行ったら酷い目にあううぞ!と叫ばんばかりに勘が訴えかけ、頭の中の赤色灯は360゜自由自在にギュインギュインと回り狂っている。
しかし一応自分は博霊の巫女。よくわからない変な妖怪が相手だろうとシバき倒すのが仕事なのだ。
「はぁ、憂鬱だわ」
大きな溜息を1つ漏らし、霊夢は魔理沙と共に空へと飛び上がった。
魔理沙の道案内を受けて飛び続け、暫くして目的の洞窟へ辿り着いた。
霊夢はお札を取り出し、魔理沙も魔力をみなぎらせながら警戒しつつ洞窟の中へ入る。
そして洞窟の奥に存在したのは…
「…箪笥に、戸棚」
「葛籠もあるな」
大量の収納グッズだった。
「とりあえず今は誰もいないみたいだし…どうしようかしら」
「とりあえず漁ってみるか」
「他人の家を漁るのはただの泥棒よ」
「なに、ただの家宅捜索だから問題ないさ」
いや大問題よ…と突っ込もうと思ったが、手癖が悪いのは今更だったので諦める事にした。
魔理沙も漁ってはいるが流石に持って帰る気は無い様なので、まぁ多分大丈夫だろうと判断したのだ。
…しかし、つい最近幻想郷に流れ着いた『とある妖怪』は、勝手に家捜しする悪い子には容赦はしなかった。
「さあ、他人の家に勝手に侵入して漁りだすような悪い子は…」
「「ッ!?」」
バッ!と瞬時に戦闘準備をして声が聞こえた方向…出入口の方を見ると、まるで豹の様な柄の毛並みを持った獣の妖怪が立っていた。
2足歩行ではあるが幻想郷でよく見かける人の形ではなく、まんま獣が立っている姿。
そんな異様な姿の相手に向かって霊夢が話しかけようと口を開くが、
「どんどんしまっちゃおうねー」
「なっ!?」
「ちょっ!?嘘でしょ!?」
その獣が「しまっちゃう」と言いながら開けた葛籠の中に強力な力で吸い込まれてしまい、そのまま閉じ込められてしまった。
「久しぶりね」
「ああ、紫さんでは無いか。どうしたんだい?」
「さっきしまっちゃった紅白と白黒だけど、貴方がしまっちゃった兎と妖精を助けに来ただけなのよ」
「む、では彼女達は噂の異変解決人なのかい」
「ええ、だから解放して欲しいのよ」
「ふーむ、紫さんがそういうならそうしよう」
「それと、お仕置きにしまっちゃうのはいいけど、流石に周りの人が心配するから早めに解放してあげて欲しいわ」
「そうか、それはうっかりしていたよ。なら全員解放しようか」
「ええ。全員私が運んでおくわ」
「すまないね」
博霊神社でお茶を飲んでいる霊夢は、先日の異変の顛末を思い出していた。
あの妖怪は悪い子にお仕置きしただけだったらしく、すぐに謝罪された。
しかしそんな事はどうでもいい。重要なのは…
「負けちゃったわね…」
初めての敗北。閉じ込められただけだが敗北は敗北。
スペルカードルールなんかまるで関係の無い突発的な戦いだったが、それでも負けは負けなのだ。
今まで激戦を乗り越えてきた博霊の巫女として、一応あるプライドが傷付いてイライラする。
ちなみにてゐとチルノはトラウマになったらしく狭い所や暗い所が苦手になったらしい。
「…多少は修行でもした方がいいのかしら」
しかしそれはめんどくさい。めんどくさいので…暇で仕方ない時にでもやっておこう。紫にも言われたし。近いうちに稽古つけるとも言われたし。
そう霊夢はグダグダな決断をし、再びのんびりとお茶を啜り出した。
自分ぼのぼの好きなんで、これは面白話です。
てか、幻想郷最強の御子さんに勝てる、
しまっちゃうおじさんって・・・。
投稿 ossann | 2010/11/06 00:23