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2010/04/15

キャプテンゆうかりん(東方×ピクミン)

 向日葵が美しく咲き乱れる幻想郷でもトップクラスの絶景が見られる場所、通称・太陽の畑には強力な妖怪が居ると言われている。
 その妖怪は風見幽香。四季のフラワーマスターとも呼ばれる彼女の評価は様々なものがあるが、ある程度方向性は決まっている。
 曰く、幻想郷で一番笑顔が怖い。曰く、ドS。曰く、戦闘民族…
 そんな評価を受けている彼女ではあるが、草花にはとても優しい。それこそ他の幻想郷住人が見れば違和感を感じてしまう程に、慈愛に満ちた姿を見せるのだ。

 ある日、風見幽香はいつも通りに咲き乱れる向日葵達の様子を見ながら散歩をしていた。
 いつも差している日傘で日光を遮り、かつ向日葵達の光合成を影で邪魔しない様に気を配って歩く。
 その姿はまさしく見た目はお嬢様。向日葵と彼女のスカートが彼女でゆらゆらと揺れ、まるで絵画の様な幻想的風景。

「あら、何かしら?」

 そんな風景の一部になっていた風見幽香は、視線の先に見慣れない妙な物を見つけた。
 平べったい円形に、数字が書かれた板の様なもの。五種類の色のパターンがあるそれは、いまいち用途のわからない物だった。
 まさかゴミの不法投棄?許せない。犯人を見つけたらこのゴミと同じ形にしてやろうか。
 そんな恐ろしい思考しながらゴミを処分しようと近付くと、フラワーマスターとしての勘が何かを訴えかけてきた。

「まさか…これ、花の種なのかしら?」

 花の種な気がする。でも何かが違う気もする。言うなれば、花の種っぽいニュアンスの何か。
 風見幽香は悩む。
 どうする。花の種なら植えるべきか。しかし何かが違う。変なものに育ったら困る。なら処分か。

「…育てましょうか」

 明らかに怪しい物体。普通ならスルーしそうなものではあるが、とりあえず植えて育てる事にした。流石お花に優しいフラワーマスターは格が違った。
 花の種っぽいニュアンスの何かはかなりの数があるので運搬は少し面倒だ。
 しかしこれが落ちている場所は都合良く、新たに花の種を植えようとしていた場所。ならばこのまま植えてしまおう。

 暫くの時間をかけ、花の種っぽいニュアンスの何かを全て植え終わった。
 ここで自らの能力を使えばすぐに花が見られるだろうが、それでは面白くはない。ここはゆっくりと成長を見守ることにしよう。
 早く元気な花を咲かせなさい。そう母親の様な穏やかな笑みを浮かべながら、風見幽香は太陽の畑近くにある自宅へと向かい歩き出した。

 翌日、風見幽香は昨日と同じく晴れた空の下、太陽の畑を散歩していた。
 学校も試験も何にもない妖怪にやる事等殆ど無く、ましてや他の妖怪が滅多に来ない太陽の畑に住む彼女には会話相手も居ない。
 否、会話相手には草花がいた。言葉に出すと悲しくなる響きだが、フラワーマスターにはむしろ望むところだ。

 ゆったりとした時間を過ごしながら向日葵達の様子を見て周り、ふと昨日の事を思い出した。
 流石に一日で芽を出しはしないだろうとは思うが、何やら普通の花では無いようなので可能性はある。
 どうせ暇なのだから行ってみようと、風見幽香は進行方向を昨日の場所へ向けて歩みだした。

「…これは、予想外だわ」

 花の種っぽいニュアンスの何かを植えた場所には、白い花が咲き乱れていた。
 成長が早すぎる。なにこれこわい。まさか魔界か何処かの妖怪花だったのか。そういえば似た様な花を見たな。
 そんな事を考えながらそよ風に揺れる白い花を見ていて、とある事に気付いた。
 風とか関係無しにゆらゆら揺れて…というか、動いてないコレ?

「動く花はそれなりに知ってはいるけど…」

 しゃがみこんで花を間近に見る。そして花の根の部分が赤いのに気付く。
 まさか本当に妖怪花なのか。可愛らしい花だから別に問題は無いけれど、流石にどんな妖怪花なのか気になる。
 気になった風見幽香は花の根本を優しく掴み、茎や根が出来るだけ千切れない様に土の中から引っこ抜いた。

「…」
「…」

 なんか赤い宇宙人みたいなのが出てきた。
 え?宇宙人?でも頭に花が咲いてる。まさに頭がお花畑。いやいや、落ち着きなさい。
 赤い宇宙人のつぶらな瞳に見つめられながら風見幽香は悩む。果たしてこいつは本当に花と認定して良いものかと。
 というかこんな花あったのか。全然知らなかった。これではフラワーマスター等と名乗れないのでは無いか。いいとこフラワーフリークだ。いやいやだから落ち着きなさい私。

「…とりあえず、あなたも他の花を抜くのを手伝ってくれないかしら?」
「…」

 どうやら花に認定したらしい。流石お花に優しいフラワーフリークは格が違った。
 コクリと頷いた赤い宇宙花は風見幽香の手から地面へと降ろされ、共に他の宇宙花を引っこ抜き始めた。

 全ての宇宙花を引き抜き終わり、風見幽香はふぅ…と一息ついた。
 そして作業中畳んでいた日傘を差し直し、くるりとスカートを翻しながら後ろへと振り向く。
 そこには、赤・青・黄・紫・白の五種類の宇宙花が団体を作り、フラフラしたりピクピクしたり。

「…引っこ抜いておいて何だけど、何なのかしらこの光景」

 彼女の発言を聞いた宇宙花達がつぶらな瞳で一斉に此方を見つめてくる。こわい。なんかこわい。幻想郷では味わえない変な怖さがある。
 如何に花を愛する風見幽香と言えども流石にまだ慣れてない様で、ちょっとだけ後ずさった。最後に後ずさった時から何百年ぶりだろうか。

「そ、そういえばあなた達、名前はあるの?」

 無反応。無表情。
 なんなのこの子達こわい。でもお花に厳しく当たるなんて私には出来ない。だってお花大好きなんだもん。
 ともかく名前は無いのだろう。実はあるのかも知れないが、反応を示されない故に確かめようがない。
 ならば私が名前をつけようと風見幽香は考える。
 どんな名前がいいだろうか。宇宙人っぽい名前?ならばグレイ。カラフルなのにグレイ。無いわ。
 悩みながら宇宙花を眺める。ピクピクと動く姿。みんなでピクピク。ミンナピクピク。

「…ピクミン…」

 風見幽香がそう呟くと、全員がバッ!と一斉に視線を向けてきた。こわい。
 それはともかく、この宇宙花達はピクミンという言葉に過剰反応を示した。まさか本当にピクミンという名前なのだろうか。

「ならピクミンでいいかしら?」
「…」

 コクコクと宇宙花…ピクミン達は頷いた。あらやだ、何だか可愛く見えてきた。

 命名から暫くの間ピクミン達と交流し、日が沈んできたのでそろそろ帰ろうかと思った所で気付く。この子達どうしようか。
 とりあえず聞いてみようと思い目をやると、半数以上のピクミンが地面に潜っていた。
 ああ、夜は土の中で眠るのだろうか。ならこのままで問題は無さそうだ。

「また明日来るわ。お休みなさい」

 そして風見幽香はピクミンの畑から離れて自宅へと歩みだした。
 今日は精神的に少し疲れたし、少し早めに寝ようかしら?
 そんな事を考えていると、ふと気付く。

「…明日は全員土の中だから、まさかまた引っこ抜かなきゃならないのかしら?」

 いやいや、自分から埋まったんだから自分で抜け出せる筈よね。でももしまた抜かなきゃならないなら少し面倒ね。
 そんな事を、風見幽香は自宅に到着するまで考えていた。

 ちなみに翌日の朝、自力で抜け出たピクミン達に自宅を取り囲まれていたのを見て再び後ずさったのは余談である。

コメント

これは面白いですね~。出来れば是非とも続編をお願いしたいものですが・・・w

あとずさる、ゆうかりん見てみたいw

この発想は無かったw

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