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食中毒拡大321人に 静岡・露店の冷やしキュウリ

(2014/8/ 6 08:11)

 静岡市で7月26日に開催された安倍川花火大会で露店の冷やしキュウリを食べた客が食中毒症状を訴え、腸管出血性大腸菌O157が検出された問題で、発症者の増加が止まらない。発症者は5日午後3時現在で321人(県外3人)、入院者は92人(同1人)となった。今後は発症者の家庭内などでの二次感染も危惧される。
 厚生労働省食中毒被害情報管理室によると、過去10年のO157の集団食中毒で2番目の発症者数となる。
 市保健所によると、発症者の中には激しい下痢や血便、腹痛などの症状を訴える重症者もいる。重篤な症状の発生情報は現時点ではないという。O157の潜伏期間は3〜7日程度あることなどから、最初に病院から発症者の連絡があったのは今月1日になってからだった。症状が軽度な人が報道により後から気付くケースもあるため、今後も増加が見込まれる。
 県衛生課は「これからは二次感染にも気を付けなければならない。特に発症者の家族は感染リスクが高い」と注意を呼び掛ける。
 冷やしキュウリを提供した同市駿河区の男性(38)は露店を2店出し、約千本を完売した。従業員6人で当日夕方以降に車内で仕込みを行った後、露店で浅漬けにし、串に刺して販売したという。
 市保健所は今後、食品衛生法違反などの疑いで刑事告発することも検討する。
 県衛生課によると、露店を出店する際、調理が複雑なお好み焼きや焼きそばなどの場合は保健所の許可が必要だが、加工が簡易な冷やしキュウリは不要。市の担当者は「行政が直接指導するのは難しい」と頭を悩ませる。
 市や県は再発防止に向け、花火大会や祭りの主催者を通じて、出店者に手洗いや原材料の適切な温度管理を徹底するよう求める方針。
 今月14日に焼津市で予定されている焼津海上花火大会の実行委事務局の市観光協会は5日、露店営業を取り仕切っている県中部街商協同組合に、冷やしキュウリなど非加熱食品の販売自粛を申し入れた。
 同協会は「事が起こってからでは遅い。ほかの露天商への指導も徹底し、万全を期す」と話している。

◇菌繁殖しやすく
 露店で販売された冷やしキュウリによる集団食中毒について、衛生学や微生物学が専門の内藤博敬県立大食品栄養科学部助教(46)は「浅漬けは塩分量が少なく加熱殺菌もないため菌が繁殖しやすい。製造工程の衛生環境に加え、井戸水が使われた場合は感染源になり得る」と指摘する。
 野菜が原因となった腸管出血性大腸菌O157の集団食中毒は、2012年に北海道で起きた白菜の浅漬けによる事例などこれまでに複数起きている。
 内藤助教は「屋外での作業では、温度や保管状況が適切だったか、洗う水が汚染されていなかったかなどがポイントになる」とした上で、「O157の感染源は複数あるため、調理器具の洗浄や手洗いなどの衛生管理に加え、水道水を使うなど細心の注意を払う必要がある」と呼び掛けている。

◇O157 毒性の強いベロ毒素を産生する腸管出血性大腸菌の一種。汚染された牛肉や野菜などの食品を十分に加熱せずに食べるなどして感染すると、下痢や血便、腹痛などの食中毒症状が出る。県によると、感染力が強く、菌数が10個程度でも発症するという。溶血性尿毒症症候群や脳症などを併発した場合、死に至るケースもあるため、早期に適切な診断・治療が必要となる。加熱の目安としては、中心温度が75度の状態を1分以上保つと死滅するとされる。

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