東京レター
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【政治】「積み上げた平和」一変 防衛白書40回目 安倍色鮮明2014年8月6日 07時06分 政府は五日の閣議で、二〇一四年版の防衛白書を了承した。四十回目となる防衛白書だが、武力で他国を守る集団的自衛権の行使容認が初めて盛り込まれたことをはじめ、一三年版以前とは一変。憲法の平和主義に基づいて積み上げられてきた安全保障政策を、安倍政権がこの一年間で次から次へと変えてきた軌跡が浮かび上がった。(中根政人) 集団的自衛権では、七月一日に閣議決定した行使を認める新三要件をそのまま反映。集団的自衛権行使は「憲法九条のもとで許容される範囲を超えるものであり、許されない」としてきた一三年版以前の記述は姿を消し、新三要件を満たせば「憲法上許容される」と大きく転換した。 四月に閣議決定した防衛装備移転三原則も明記。国内の防衛産業の振興に向けて、米国などとの武器の共同開発を積極的に進め、連携を強化していくとした。一三年版白書では、一九六七年から半世紀近く武器や関連技術の海外提供を原則禁止してきた武器輸出三原則を盛り込んでいた。 昨年十二月に創設された国家安全保障会議(日本版NSC)にも初めて言及し「外交・防衛政策の司令塔として機能している」と主張。NSCは少数の閣僚だけで重要な外交・防衛政策を決定し、議事録も公開されない閉鎖性が問題視されている。 同月に成立し、国民の知る権利を侵す恐れがある特定秘密保護法にも初めて触れ、「安全保障上の秘匿性の高い情報管理について信頼を高める」などと強調している。 武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」に関しては中国が領有権を主張している沖縄県・尖閣諸島などを念頭に「領土や主権の対立で、一方の当事者が実力組織を用いて現状変更を試みようとする行為」などと初めて具体例を挙げた。 中国が尖閣諸島を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定したことや北朝鮮の核開発も盛り込み、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増しているとも指摘した。安全保障政策を変えたのは、こうした環境変化に対応する狙いだと正当化するためだ。小野寺五典(いつのり)防衛相は五日の記者会見で「安全保障環境が厳しくなっていることは国民全体で共有してほしい」と説明した。 しかし、近隣諸国との緊張は放置できない。安倍政権が本気で国民の命を守るというなら、緊張緩和に向けた外交努力こそ求められる。 (東京新聞) PR情報
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