防犯カメラ:通学路に750台 大阪・箕面市が年度内運用

毎日新聞 2014年08月05日 21時30分(最終更新 08月05日 23時28分)

 大阪府箕面市は5日、市内の公立小・中学校全20校の通学路に、防犯カメラ750台を設置する計画を明らかにした。市によると、各校区に50台前後置き、通学路に置くカメラとしては全国でも異例の規模という。費用1億5000万円を計上した補正予算案を9月議会に提出し、年度内の運用開始を目指す。

 市はこの日、府警箕面署と設置に伴う連携協定を結んだ。設置場所や運用規則などを今後、府警と協議する。

 市内には小学12校▽中学6校▽小中一貫2校があり、大半の小・中学校が隣接する。主要通学路(総延長約40キロ)70メートルおきに1台を置く想定で、全14の小学校区に計700台、小学校と隣接していない2中学校周辺に計50台を置く。プライバシー保護の観点から、モニターはチェックはせず、映像の保存は1週間程度を想定。外部への提供は、捜査協力の必要がある時に限る。

 市内では昨年、小・中学生を狙った声かけ事案が7件あり、箕面署が市に防犯カメラ増設を要請していた。市は「犯罪抑止や検挙率向上につながる」と判断し、国の交付金や市の基金を財源に、予算化する方針を決めた。

 倉田哲郎市長は「効果を検証し、発信していく。他地域にも広がるきっかけとなり、全国の治安向上につながれば」と話した。

 自治体の防犯カメラを巡っては、東京都が今年度から5カ年計画で、都内の全公立小学校約1300校の通学路への設置を進めている。都教委によると、各校の調査で「通学路の危険な場所」が平均5カ所あったため、1校区5台を設置する。【村上尊一】

 ◇小宮信夫・立正大教授(犯罪学)の話

 防犯カメラは「入りやすく見えにくい」場所に最終手段として設置するもので、今回は費用対効果が見合うか疑問だ。行政と地域が「安全マップ」を作りながら町を点検し、犯人が現れそうな場所を選ぶべきだ。なぜここにカメラを設置しなくてはいけないのか、大人と子供が一緒に考えれば、防犯意識の向上につながる。

 ◇田村正博・京都産業大社会安全・警察学研究所長の話

 防犯カメラは公共インフラになりつつあり、犯罪抑止効果を期待できる。ただ、どれだけ台数を増やしても防犯対策に完璧はなく、家族や地域による見守り活動とセットになってこそ効果は高まる。プライバシーへの配慮の観点では、住民に設置目的や効果をきちんと説明し、安心感を確保することが大切だ。

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