安倍首相「世界で最も厳しい安全基準にのっとって」~ヨーロッパの10年ぐらい前にやっと追いついた7/25報道ステーション「原発の世界最高基準 驚きの現実・・・日本は遅れていた」内容書き出し
驚きの現実・・・日本は遅れていた
原発の”世界最高基準”。驚きの現実・・・日本は遅... 投稿者 kotetsu1111
2014年7月25日放送 報道ステーション
古舘
新聞のテレビ欄では何度も「今日この特集を放送をします」と告知していたにもかかわらずですね、
ずーっとなかなかできなくて今日に至ったんですが、
「世界の原発の安全基準についてみてみよう」という事で、
この写真は10万年後の安全という映画でも有名になりました、
フィンランドのオンカロ、最終処分場の方ですね。
こちらがあまりにも有名というところもありますけれども、
同じ所に地続きで、オルキオルト原発
これもあるんですね。
こちらの原発と日本の原発を比較してみます。
欧州の基準からみると
日本の原発は“安全か”
安倍総理大臣:
お、世界でも もっとも、お--、へー、厳しい、え、安全基準、に、へ、のっと、のっとってですね・・・
川内原発が審査に合格したその日
総理は「世界で最も厳しい規制基準だ」と胸を張った。
本当なのか?
我々は最新鋭の原発建設が進むフィンランドでその答えを探した。
ヘルシンキから車で3時間あまり走ってきました。
ここから先さらに進んだところにオルキルオト原発があります。
深い森を抜けると目的地にたどり着く。
初夏とは思えないような冷たい風が吹きつけていた。
ボスニア湾に面した広大な敷地の一角でオルキオルト3号機の建設が進む
すでに稼働している1,2号機。
そして、地中深くに核のゴミを埋める最終処分地オンカロも併せ持っている。
2005年着工の3号機は世界最大の原発メーカー、フランスのアレバ等が受注した。
EPRと呼ばれる次世代の原子炉だ。
田実万紗子:
まず驚かされるのが原子炉格納容器です。
こちら、ご覧ください。
ドームのようになっているんですが、日本の原発にも似ていると思うんですけど、
実はあのドームの部分は鉄筋コンクリートで二重の構造になっています。
ここには、設計段階から考え抜かれた数々の安全対策があった。
TVO(電力会社) パシ・トゥオヒマー広報部長:
あそこは二重のコンクリートがかぶさった二重構造です。
ですから何が起きても突き破られることはありません。
内部で、また外部でなにが起きても影響がないように作っています。
建物の二重構造はテロ対策の一環でもある。
核燃料を燃やす原子炉容器にそれを囲む格納容器。
ここでは原子炉を守る格納容器が二重の構造になっているのだ。
9.11のテロのあと、欧米で安全基準が強化され、
航空機の衝突に耐えられる構造が求められるようになった。
2重の格納容器という発想は日本の基準には無い。
福島の事故を受け、日本の新基準で義務付けられたフィルターベント。
事故の際、格納容器が破損しないよう圧力を下げる装置で、放射性物質を取り除くフィルターが付いている。
国内での導入は始まったばかりだが、ヨーロッパではすでに標準装備だ。
STUK(フィンランド規制当局) キルシ原子炉規制部門チーフ:
重大事故をコントロールする対策は、
スリーマイル島とチェルノブイリの事故後1980年代が終わる頃に定められました。
稼働中の原発にも1990年代に対策を講じています。
さらに驚いたのはメルトダウンを想定した対策だ。
格納容器の底にコアキャッチャーという受け皿が用意されている。
コアキャッチャーは事故の際、原子炉容器の底を突き破って溶け落ちた核燃料をまず受け止める。
そして引き延ばすように広げて高温の燃料を冷やし、格納容器の外に漏れ出すのを防ぐのだ。
広げて冷やすとは一体どういう事なのか。
これはフランスで建設中の同じ型の原発で撮影されたコアキャッチャーの映像。
超高温に耐える素材でできていて、広さは170平方メートル
核燃料を薄く延ばし熱を逃がしやすくする。
特別な化学材料が用いられ、ここで冷却し封じ込める。
事故が起こるたびその教訓を生かし二重構造やコアキャッチャーなどを取り入れてきたヨーロッパ。
原発の設計基準には
「メルトダウンに至る事象の始まりから12時間は格納容器保護のために人的対応に依存してはならない」
と規定されている。
電力会社TVO エサ・マンノラ顧問:
何よりも最優先に考えているのは「安全であること」です。
重大事故が起きた場合、たとえば福島の事故のようなケースでは、
数時間人の手を使わなくてもいいようにとは考えています。
これだけ厳しい基準となれば当然金がかかる。
とんでもないことになっていた。
田実万紗子:
原子炉での重大な事故を想定し、あらゆる対策を施した最新鋭の3号機。
ただ、安全審査が厳しいこともあり何年も工事が遅れてしまっています。
規制東京の容赦ない審査によって、
オルキルオト原発の工事は長期化している。
オルキルオト3号機
2005年着工
2009年稼働の予定は大幅に遅延
追加措置も指摘され、コストはみるみるうちに膨れ上がった。
その額は当初の3倍規模、1兆円を超すと言われている。
世界をリードしてきた原発メーカーアレバだが、
ドル箱の送電網部門を丸ごと売却する窮地にまで追い込まれてしまった。
当局の要求レベルはそれほど高い。
アレバ アレキレス・マランシック執行役員:
安全性を向上させるのに金をかけるのは良い悪いの問題ではない。
安全面での投資をやめれば節約にはなるが、建設はおろか原発は存在できない。
巨大企業をもってしても厳しい安全要求に従うほかない。
原子力コンサルタント(元GE技術者) 佐藤暁さん:
日本のこの安全基準とか、それからこれを発電所に導入するっていうこの仕組みがですね、周回遅れ。
追いついたというならばですね、ま、ヨーロッパの10年前ぐらいですか。
世界で最も厳し基準だと自画自賛する政府。
しかし規制委員会の田中委員長は言葉を濁す。
原子力規制委員会 田中俊一委員長:
その世界最高水準とか世界最高というのは、
やや政治的というか、ま、言葉の問題なんで、具体的ではないんですよね。
そして、コアキャッチャーなど海外の最新技術については「既存の施設に追加するのは難しい」とした。
記者:
コアキャッチャーですとか二重の格納容器といった設備を今後要求していく、
求めていくという考えはないのでしょうか?
原子力規制委員会 田中俊一委員長:
二重の格納容器とかコアキャッチャーっていうのは設計段階から入っていかないといけないので、
ちょっとそう簡単ではないよね。
だが、諸外国は現実に起こり得る危険に対し、常に高い意識で何重もの工夫を積み重ねてきた。
原子力コンサルタント(元GE技術者) 佐藤暁さん:
基準からですね、本当はもう一回作り直さないといけない位だと思うんです。
ですけれども、もう大分その先に進んできちゃっている訳ですよね。
ここから何をやったらいいのかと、
ヨーロッパ、アメリカと比べて明らかに欠けているところ。
これをきちんと洗い出してみていかなければならないとことだと思いますよね。
古舘:
姜さんに伺う前に、一つ、
フィンランドのあそこの地層は18億年前から動いていないと言われる強烈な岩盤で、
前提がちょっと違いすぎるんですけど、
あとどうでしょう?
姜尚中 国際政治学者:
やっぱりあの、見ていて思ったのは、結局被害の違いで
人間の命に対する考え方が根本的に違うんじゃないかなと。
古舘:ぁーーーー
姜:
ですからやっぱり「人間の命が安く見積もられている」としか思えないですよね。
ですから、基本的に「事故は起こるものだ」と。
人間がやるものは事故が必ず起きるわけで、
起きるという前提でコアキャッチャーを作ったり、
つまり炉心溶融が起きても核燃料をしっかりと補足してそれを冷やして封じ込めると。
それからまァ、格納容器を2重構造で作ってですね、
まず人間が10数時間何も加えなくてもいい状態にする。
前に東海村でしたか、原発事故が起きた時は
バケツで汚染水を汲みあげてた訳ですよね。
そうすると人がそこで莫大な被ばくを、起きている訳ですから、
ですから結局人間の命というものがやっぱり甘く見られているというかですね、
その根本的な違いがあるんじゃないかと。
ですからこれはもう生命観の問題で、その問題を解決しないと、
やっぱり安倍総理の言ってらっしゃる「アンダーコントロール」にせよ、
あるいは今回の「世界一厳しい基準」にせよ、
これは言葉のあやで実態をくぐりぬけようとしていて、
本人もそう信じ込みたいのかどうか、わからないんですけれども、
ある種「言霊の世界」に自分を追いやっているとしか思えないですよね。
だから、事態をしっかり見なければいけないし、
その上でやっぱり、「採算が合うのか合わないのか」という問題もあって、
原発を進めるという事は採算が合わない。
で、「合わなくてもやる」ということであればですね、今回の様な、フィンランドの様なことになるわけで、
採算も沢山取りたい。
そして進めたい。
これは実は、水と油でどちらかを選ばなければいけないわけで、
私は最終的には、採算が合わないならどうしたらいいか?
やっぱり脱原発を、求めるしかないわけですよね。
ですから資本主義社会においては採算、つまり経済性というのは一番優先される訳ですから、
おのずからそういうふうになっていくのではないかと。
古舘:
さらにもうひとつね、ちょっと穿つ過ぎといわれるかもしれませんが
正確に調べた訳じゃないんですけど、ヨーロッパもずるいなと思うところがあって、
フランスのアレバもそうですけれども、
あれだけの、何兆円とかかってしまうという現実がありながら、
「あれはヨーロッパ向け」の様な気分が一瞬してですね、
「新興国に向かってはもうちょっと割安な原発をどんどん売って儲けているんじゃないんですか?」と、
そこまで原発の事っていうのは考えないと、さっきの命にかかわってくると思っちゃうんですね。
姜:
そうですね。
だからヨーロッパも、ヨーロッパという枠組みの中での一つの価値観と、
しかも西ヨーロッパと東ヨーロッパと違いますけど、
やっぱりそういう西側諸国の高い水準はヨーロッパの外側に行くとやっぱりこう、かなり低く見積もられるし、
そういうダブルスパンがあるんですよね。
そういうものをやっぱり無くしていくならば、おのずから「原発は限界がある」、そうなるわけですよね。
ですからちょっとそこにある種の偽善的なものもそこに付きまとっていますよね。
古舘:繋がってきちゃいますね。
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