漁業の問題をもっと知るには、やはり現場を知らねばいけないだろうということで、富山県氷見市の定置網漁師に一日入門してみることにした。
水産資源管理のあり方を考える材料としての現場レポート
マグロやトラフグなどの水産資源の減少が危機的状況となっている中、農林水産省において「資源管理のあり方検討会」という会議がおこなわれている。
これは申し込みをすれば誰でも傍聴可能ということで、私も傍聴に参加しているのだが(こちらの記事参照)、やはり漁業の現場を知らないと、話を聞いてもピンとこないことが多い。
だんだんと注目度が高くなり、傍聴人数も増えているみたいです。
第3回の検討会では、マグロを捕っている定置網漁師、巻き網漁師、曳き縄漁師の代表の方が、それぞれの立場から意見を発表したのだが、それぞれがどんな漁法でどんな特徴があるのかを多少なりとも知った上で、話を聞いたり、資料を読んだりすれば、より資源管理のあり方を深く考えられるはずだ。
ということで、ちょうどたまたま定置網漁の体験をする機会があったので、定置網漁というのがどういう漁なのか、その様子をレポートしたいと思う。
富山県氷見市の定置網漁を体験しました
普通に陸の上で生活をしていると、漁師の船に乗ってその現場を見る機会というのはなかなかないものだが、今回たまたま定置網漁の体験をすることになった。
なんでそうなったのかという話を一応すると、ゴールデンウィークにホタルイカを捕まえに行こうと思って、富山県氷見市在住の友人のところにいったのだが、今シーズンはすでに時期が遅すぎる、そして氷見にはあまりホタルイカが上がってこないという話を、氷見で定置網の網元をしている方に伺い(私のリサーチ不足ですね)、「じゃあ、せっかくなので定置網を見せてください」となったのだ。
なにが「じゃあ」なのかよくわからないと思うが、とにかくそうなったのである。
定置網の網元をしている掘埜さん
さて氷見といえば、富山湾の王者とも言われる「氷見ブリ」で有名なあの氷見だ。氷見ブリは冬に氷見の定置網で獲れたもので、築地市場などでも、とても評価が高い魚である。要するに高く売れる魚なのだ。
もちろんこの時期に氷見ブリは獲れないが、氷見の定置網漁を見学させてもらうことで、氷見ブリが高く売れる理由の一端を知ることができるかもしれない。「氷見で獲れたブリだから」という理由にプラスして、「氷見の漁師が定置網で獲ったブリだから」という理由があるはずだ。
漁師が獲った魚を少しでも価値のある魚として出荷する方法は、資源のあり方を考えることに通じる話なのだと思う訳だ。
定置網の模型。海に設置されたとても大きな罠だと思ってください。
魚が網に沿って泳いでいくと、この場所に入り込む。ここの網を引き揚げて、魚を捕まえるのだ。
漁師の朝は早い
漁師の基地である番屋へとやってきたのは、なんと早朝の3時半。午前6時頃に氷見魚市場でのセリがはじまるので、それに合わせてこの時間なのである。遅くまで友人と氷見の旨い魚をツマミにして飲んでいたのに、よくちゃんと起きれたもんだなと、自分を褒めてあげたくなる時間だ。
この番屋で身支度をしてから船へと向かうのだが、ここでベテラン乗組員っぽい方から、「この前乗ったやつは、写真ばっかり撮っていて、なんにも手伝わなかったんだよ」というようなお言葉をいただく。
素人が通常営業している漁師の船に乗ったら、普通は見ているだけしかできないと思うのだが、どうやらお気楽な見学気分で乗船させていただくのではなく、乗組員見習いになったくらいの心づもりでいた方がいいようだ。汗。
ドキドキする初顔合わせ。ごめん…ください。
早朝ということもあり、みなさん寡黙です。ハラハラ。
関西では「ヨコワ」としてメジマグロがたくさん売られています。スーパーや居酒屋でよく見かけますので、かなりの流通量があると思います。混獲にしては多すぎるので専門の漁があるかもしれないですし、混獲だとしたら対策が必要なぐらいの漁獲量があると思います。