米国:慰安婦像撤去訴訟、日系人団体の訴え棄却

毎日新聞 2014年08月05日 20時45分(最終更新 08月05日 20時48分)

 【ロサンゼルス堀山明子】米カリフォルニア州グレンデール市が設置した従軍慰安婦を象徴する少女像について、在米日本人らでつくる市民団体「歴史の真実を求める世界連合会」が市を相手取り撤去を求めた訴訟で、同州の連邦地裁は4日、原告の訴えを棄却した。原告は判決を不服として争う構え。

 判決は「市が設置した慰安婦像は、連邦政府が持つ外交権の侵害にはあたらず、外交権に触れているとしても、連邦政府の外交政策に合致している」と棄却理由を述べた。

 訴訟では、碑文に記された「20万人」という慰安婦数や「性奴隷」という表現を巡っても争われたが、地裁は「歴史事実の認定に立ち入る必要がない」と、踏み込まなかった。

 連合会会長を務める目良浩一・南カリフォルニア大元教授は「極めて主観的な判断だ。ここで撤退するわけにはいかない。控訴するか、州の裁判所に舞台を移すか、適切な法的手段をよく検討したい」と語った。

 慰安婦像設置を推進した在米韓国人団体「加州韓米フォーラム」のフィリス・キム幹事は「控訴されれば積極的に対応する。根本問題は議論されていないので究極の勝利ではない」と、市と連携して碑を守る姿勢を示した。

 グレンデール市の慰安婦像は昨年7月、公聴会を経て市議会の賛成多数で可決され、市立公園に設置。公聴会で反対意見を述べた目良氏らは今年2月に撤去を求め提訴。「碑設置は憲法で保障された表現の自由だ」と反論する市と争っていた。

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