防衛白書:集団的自衛権の行使容認「歴史的に重要」

毎日新聞 2014年08月05日 10時55分(最終更新 08月05日 12時37分)

 安倍政権は国家安全保障会議(NSC)の創設や特定秘密保護法制定、集団的自衛権の行使容認などを次々に打ち出してきた。しかし、従来の安全保障政策を大きく転換する一連の施策に対しては、説明不足という批判が絶えない。このため、2014年版防衛白書は13年版より71ページ増量し、コラムや図表を充実させて政策の浸透に努めた。

 白書は、昨年末に策定した「防衛計画の大綱」や、今年4月に閣議決定した防衛装備移転三原則など新たな政策に関する説明に重点を置いた。新三原則を巡っては、日本の防衛産業を支える技術者のコラムを3本掲載し、防衛装備品の共同開発などに参画する意義を強調している。

 また、北朝鮮関連では、射程の長い「スカッドER」や新型の「KN08」など弾道ミサイルを詳述。中国機、ロシア機に対し航空自衛隊戦闘機の緊急発進(スクランブル)が増えていることも明らかにした。いずれも日本を取り巻く安全保障環境の厳しさを強調する狙いがある。

 それを前提に、白書は集団的自衛権の行使容認を「歴史的に重要」と評価した。しかし、政府・与党は実際に行使を可能にする法案の審議について、11月の沖縄県知事選や来春の統一地方選を考慮し、来年4月以降に先送りする方針だ。防衛省幹部は「今年の白書は過渡的なもの」と認める。「平和国家としての歩み」が本当に不変かどうか、政権の今後の取り組みを丹念に検証する必要がある。【飼手勇介】

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