胎内被爆:初の全国組織発足 広島でつどい

毎日新聞 2014年08月05日 21時01分(最終更新 08月05日 22時53分)

 母親の妊娠中に被爆した胎内被爆者でつくる初の全国組織「原爆胎内被爆者全国連絡会」が5日、発足した。広島市内で同日、「第1回胎内被爆者のつどい」が開かれ、胎内被爆者ら22人が参加した。被爆者の高齢化が進む中、最も若い被爆者として会員同士の交流や、被爆体験の継承などに取り組む。

 胎内被爆者として、被爆者健康手帳の交付を受けてい人は全国に7351人(今年3月末)いる。連絡会には29人が入会した。

 香川県坂出市のジャズピアニスト、好井敏彦さん(68)は昨年、小学校の同級生で被爆相談事業に長年携わってきた広島市の三村正弘さん(68)が被爆者健康手帳を取得し、自ら胎内被爆者と明かしたことを紹介した毎日新聞の記事を読み、初めて自分と同じ境遇だったと知った。好井さんが三村さんに声を掛け、ともに設立準備を進めてきた。

 この日の集いでは、参加者から「直接体験していないのでずっと思い悩んでいた」「(被爆死した)父を私は知らないし、父も私を知らない」など、胎内被爆者ならではの苦悩が語られた。被爆で両目の光を失いながら懸命に生きた母の苦労話など、親の被爆体験も共有した。

 好井さんは「今日からが始まり。(胎内被爆者は)周囲にもたくさんいるはずなので呼びかけてください」と訴えた。問い合わせは三村さん(090・7375・1211)。【加藤小夜、中村敦茂】

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