4月13日。「ふりそでの少女」の絵で知られ、声を失いながらも人工喉頭(こうとう)で語り部活動を続けた松添博さんが亡くなった。「また会えると思っていたのに……」。長崎市立小ケ倉中の教諭、豊坂恭子さん(42)は突然の別れを惜しんだ。

 豊坂さんと松添さんが出会ったのは、豊坂さんが市立滑石中にいた5年前だった。豊坂さんは、平和学習の一環で、校区に残る被爆遺構などを子どもたちと回っていた。滑石は松添さんの地元。ふりそでを着た2人の少女が火葬された場所も校区にあった。それが縁で松添さんと知り合い、子どもたちが「ふりそでの少女」の紙芝居を上演するようになった。

 「滑石の子ががんばるから、自分もがんばれる」と松添さんは話していたという。