2014年08月05日(火)14時46分

『Papers, Please』クリエーターが最新作『Return of the Obra Dinn』を語る「前作とは正反対のゲームに」

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インディ・ゲームの祭典Independent Games Festivalでも賞を総なめにした『Papers, Please』は、その独創性が高く評価された。しかし、その『Papers, Please』を1人で作り上げたLucus Pope氏には、続編を作る意思はないという。

Lucas Pope
『Papers, Please』の続編を望む声は絶えないよ。あらゆる出入りチェックをゲームにできると考えている人が多い。空港の入国審査とか、クラブの用心棒とかね。でも、『Papers, Please』にはもう興味がないんだ。もう炎は鎮火してしまった。私の脳みそはもう、ああいうプロジェクトに集中できなくなってしまったので、続編は作れないんだ。少なくとも今はね。

『Papers, Please』が予想以上のヒットになったせいで、似たようなゲームを期待されるのではという懸念があったというPope氏。

Lucas Pope
『Obra Dinn』は、今までとは正反対のゲームだ。誰もがコメディを期待している時にシリアスな役柄に挑戦するジム・キャリーのようなものだよ。

Pope氏の最新作『Return of the Obra Dinn』は、東インド会社の商船Obra Dinnが舞台の一人称視点ミステリー・アドベンチャー。消息を絶ってから6年振りに姿を現した商船に乗り込んだ調査員の冒険を描いている。

Lucas Pope
3Dにすると決めた時点で、ステージ構造に関しては規模を小さくする必要があることが分かっていたし、船というアイデアはそこに上手くハマったんだ。一隻の船だけで、それ以外の環境は存在しない。それがあのビジュアル・スタイルに貢献しているんだ。最初は船以外の設定も頭にあったんだ。ピラミッドとか、原子力発電所とかね。

船にするなら、少しヒネリを加えなければならないことに気付いたんだ。海賊船とかガレオン船のように、最近のゲームでお馴染みのものは避ける必要がある。そこから、1800年代初頭の東インド会社の商船という設定に辿り着いたというわけだ。

欧州交易の主力だったにもかかわらず、あのような船の情報はなかなか入手し辛い。地味な存在だったというのも、私には興味深かったんだ。ありふれた題材からゲームを生み出すというのがね。東インド会社はただ物資のやり取りをしていただけで、第三者がそこから利益を得ていたんだ。


開発模様を収めた映像

『Obra Dinn』はまだ初期の試作品段階で、コア・メカニックなどは決まっていない。

Lucas Pope
世俗的な要素も盛り込むつもりだが、本作はもっとファンタジー寄りになるので、『Papers, Please』よりもファンタジー要素は増えることになるよ。現実的なゲームというわけじゃない。ある程度のリアリズムも盛り込む予定だし、そのアイデアも既にあるが、それらはコア・メカニックに関連したものになる。まだ手を付けていない状態だが、私は大抵コア・メカニックから始めるのでマズいんだが、本作はビジュアル・スタイルが原動力になっているので、まずはそこから始めることにしたんだ。マズいやり方かもしれないが、ゲームに登場する装飾品には十分な自信があるので、最終的には物語と舞台設定から優れたメカニックを生み出せると考えている。プロジェクトによってどこに重点を置くかは変わってくるし、『Papers, Please』ではデザインに振り過ぎたので、『Obra Dinn』では逆にビジュアルに大きく傾かせたかったんだよ。

『Papers, Please』とは異なり、『Return of the Obra Dinn』は視覚情報よりも聴覚情報に重きを置いたデザインになるという。

Lucas Pope
今回は文字を減らして、プレーヤーが空白を埋めることができるよう、曖昧にしたいんだ。なので、『Obra Dinn』ではテクスチャを導入してリアルにはしたくなかった。ビジュアルは原始的で限定されたものになるが、オーディオはハイレゾで現実的なので、目を閉じれば船にいるような気分を味わえる。イマジネーションを喚起するし、グラフィックを見ると80年代ゲームの電子音を連想するかも知れないが、そういう方向性は目指していないんだよ。

そのため、ローカライズに半年近くを要したという『Papers, Please』とは異なり、『Return of the Obra Dinn』はより容易にローカライズできるようになっている。

Lucas Pope
『Papers, Please』のローカライズは厄介で、本当に大変だった。でも今回は、信じられないほど簡単にローカライズできるようにしたんだよ。

『Return of the Obra Dinn』の具体的なリリース時期はまだ未定だが、Pope氏はIndependent Games Festivalへの出展に間に合わせることを目標にしているという。

Lucas Pope
多くのインディが一つのゲームを延々と作り続けるが、私はそれは嫌なんだ。飽きてしまって、他のことをやりたくなってしまう。燃え尽きてしまうんだよ。だから、IGFまでに完成させると公言してしまえば、自分に厳格な締め切りを設けることができるんだ。

ソース: Polygon

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  • カテゴリ: ニュース タグ: Return of the Obra Dinn




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