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HKEPC、Pentium G3258を90個集めてオーバークロック耐性を調査

 香港のPC関連情報サイトHKEPCは、中国/台湾/香港の読者に協力を求め、90個ものPentium G3258(Anniversary Edition)を集め、オーバークロック耐性についての検証を行なった結果を公開した。

 調査を行なったのはHKEPCに属するオーバークロッカー“Chi-Kui Lam”氏を中心とした調査チーム8人。調査に要した時間は2週間。

 以前に筆者が執筆したHaswellオーバークロックガイドを既に読まれた読者はご存知だと思うが、Haswellの動作電圧は出荷時に「VID」としてプログラミングされる。これは同一のSKUでも、動作電圧に幅を持たせることで歩留まりを上げるためだ。

 一般的に、プリセットのVIDが低い場合、発熱が少なくオーバークロックのマージンがあるとされているが、今回HKEPCはこのVIDの分布とオーバークロック耐性の関係について調査している。

 なお、テスト環境については、マザーボードがASRockの「Z97 OC Formula」(BIOS 1.12C)、CPUクーラーがGEILDの「GX-7」(ファンはWing 12 PL)。室温は22℃。

 報告によると、全体でVID電圧は1.008Vから1.104Vまで約0.1Vもの差があることが分かった。このうち“当たり”と見ることができる1.008Vと1.024Vの個体は合計12.1%、“ハズレ”の1.088Vと1.104Vの個体が19.9%。間にある1.056Vの個体が最も多く30%であったという。

 このうち1.024V以下の11個を抜き出し、オーバークロック耐性を調べてみると、4.6GHzまでは電圧と設定できるクロックに大差はないが、4.7GHz以降は差が大きくなり、5GHzでSuperPi 3,200万桁を完走したのは、最も良い結果を出した個体が1.31V、最も悪い結果を出した個体が1.49Vと、0.18Vもの差が付いたとしている。

 結果が悪かった個体に関しては、4GHzオーバークロック時にもほかのサンプルと比較して温度が3〜5℃ほど高かったという。Lam氏は「VIDは半導体自体のオーバークロックのマージンを反映している。しかしHaswellはダイとIHS(ヒートスプレッダ)の間の熱伝導にグリスが用いられており、そのグリスの微妙な塗り具合の違いによって放熱にも差異があり、VIDはそれを反映できていない」と結論付けている。

 ちなみに、1.088V以上の個体に関しても5GHzを目指せなくはないが、より高い電圧を必要とするため発熱が増え、空冷では難しいという。つまり、低いVIDとグリスの塗布状況が良い個体が、オーバークロック耐性が高い個体と見ることができる。さすがに同じCPUを数十個も購入する強者は少ないと思うが、Pentium G3258を購入して、それがたまたま“VIDが低い当たり個体”であったのならば、“殻割り”してオーバークロックの世界記録に挑戦するのも悪く無いだろう。

(劉 尭)