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 世界保健機関(WHO)は4日、西アフリカ諸国で流行中のエボラ出血熱の死者が887人に達した、と発表した。WHOは6日と7日に専門家による緊急委員会の会合を開き、緊急事態を宣言するかどうかなどを検討する。

 感染が広がっているのは、ギニアとリベリア、シエラレオネ、ナイジェリアの4カ国で、感染者数は疑い例も含めて計1603人になった。国別の死者数は、ギニアが358人、リベリアが255人、シエラレオネが273人、ナイジェリアが1人。

 緊急会合に先駆け、WHOのマーガレット・チャン事務局長は1日、ギニアで関係国の首脳と協議し、数百人規模の医療従事者を各国に派遣することを柱とした1億ドル規模の対策案を発表していた。

 WHOの広報担当者によると、緊急委員会の検討結果は8日に公表される。(ジュネーブ=松尾一郎)

■病気に対する誤解広がる

 エボラ出血熱の感染が広がっているシエラレオネに、国際医療NGO「国境なき医師団(MSF)」から派遣された看護師の吉田照美さん(43)が5日、東京都内で記者会見した。西アフリカ初の流行のため、病気に対する誤解が広がり、有効な予防策をなかなか施せないという問題があるという。

 吉田さんによると、MSFの施設に運ばれると「エボラ出血熱のウイルスを注射される」、「臓器を摘出され、売り飛ばされる」などという誤った話が住民の間で伝わり、MSFの車両に石を投げつけられたこともあったという。

 現地では、遺体に触れて死者を弔う習慣があり、感染拡大につながっている。だが、吉田さんは「外国人が文化や風習に口を挟むのは難しい」とも語り、医療の困難さを指摘した。

 吉田さんは6月18日から約1カ月間、同国東部カイラフンに滞在し、医療活動に従事した。(益満雄一郎)