Share...
05 Aug 2014 09:04

ここから本文です

乃木坂46、切り札投入で紅白出場&AKB48越えなるか? 生田絵梨花センター抜擢の10th選抜を分析

リアルサウンド 8月5日(火)17時55分配信

写真を拡大 写真を拡大

乃木坂46、切り札投入で紅白出場&AKB48越えなるか? 生田絵梨花センター抜擢の10th選抜を分析

写真を縮小 写真を縮小

乃木坂46、切り札投入で紅白出場&AKB48越えなるか? 生田絵梨花センター抜擢の10th選抜を分析
乃木坂46『夏のFree&Easy』(ソニー・ミュージックレコーズ)

8月3日放送分の『乃木坂って、どこ?』(テレビ東京系)にて、乃木坂46の10thシングル選抜メンバーが発表された。同作は8月21日に3周年を迎える乃木坂46が、10月8日にリリースする記念すべき10枚目のシングル。さらに、昨年期待されながらも出場が叶わなかった『NHK紅白歌合戦』を前にしてリリースする“勝負のシングル”となるわけだが、果たしてどのようなメンバーになったのだろうか。

・変化の少ない不動の陣容

(三列目)衛藤 若月 堀 星野 高山 斎藤
(二列目)松村 秋元 生駒 桜井 深川
(一列目)松井 白石 生田 西野 橋本 
 
 今回の選抜は、前作『夏のFree&Easy』の選抜メンバー17人から1枠減った16人で構成され、一列目と二列目のメンバーが「十福神」となる。この16人をセンターから順番に見ていこう。

 今回センターに選ばれたのは、9thシングルの期間中に活動を一時休止し、今回が復帰後初シングルとなった生田絵梨花。発表の瞬間、驚きのあまり放心状態になっていた彼女は、今作で初のセンター抜擢が決定した。

 堀未央奈を除く過去のセンター経験者は、今回生田の脇を固める形だ。8thシングル、9thシングルと2作連続でセンターを務めた西野七瀬と、6thシングルでセンターを務めた白石麻衣は生田の両隣に立ち、計5回のセンター経験をもつ生駒里奈は、2列目中央(生田の後ろ)に配置された。

 そして、アンダーメンバーから選抜入りを果たしたのは斎藤ちはるの1人のみと、前作からの変化は少ない手堅い陣容になっている。9thシングルの選抜発表の際は、初選抜だった大和を除くと、選抜復帰を待望されていた衛藤美彩、星野みなみ、斉藤優里、井上小百合の4人が復帰を果たしていた。今回そのうちの2人が残ったということは、9thでの選抜復帰は実力者である4人の中でも10thで誰を残すかふるいにかける意味合いもあったのかもしれない。ここ最近選抜メンバーに変化が少ないことで、メンバーからもファンからも不満の声はもれているが、世間に乃木坂のイメージを発信するために主要メンバーを固定することは勝負の年である以上悪いことではない。

・第1期選抜メンバーのラストピース 斎藤ちはる

 そんな変化の少ない今回の選抜発表で、唯一アンダーメンバーの中から選ばれたのは、ここまで1期生唯一の選抜未経験者となっていた斎藤ちはるだった。彼女は9thシングルの選抜発表の際に選抜メンバーに選ばれなかったことで、1期生唯一の選抜未経験者になったわけだが、それが逆に彼女への注目を集めた。

 本人にとっては気持ちのよいことではないかもしれないが、そのような立ち位置にあえて置くことで注目を集めさせる運営側の戦略だったのだろう。長身かつ美人で、楽屋での面白さは他メンバーがこぞって太鼓判を押す存在だけに、与えられた大きなチャンスをものにしてもらいたい。

・乃木坂46の切り札 生田絵梨花

 今回のセンターは今年リリースの2作でセンターを勤めた西野七瀬でもなく、AKB48との兼任や選抜総選挙で再び注目を集めた生駒里奈でもなく、今回が初のセンターとなる生田絵梨花だった。生田は“清楚で洗練されたお嬢様”というまさしく乃木坂46のイメージを体現するメンバーで、ファンからもセンターに推す声は以前から多かった。現在高校3年生と若く、フロント経験も多い彼女は乃木坂にとって「最後の切り札」的な存在だった。

 生田がセンターに選ばれたこと自体は誰もが納得のところであるのだが、このタイミングでセンターに起用されることは多少の驚きもあった。乃木坂は今年リリースされた2枚のシングルで20歳の西野をセンターに据え、22歳の3人からなる「乃木坂御三家」白石麻衣、橋本奈々未、松村沙友理でその横を固め、「綺麗なお姉さんグループ」というイメージを作り上げていた。8thシングル「気付いたら片想い」は同時期にリリースされたAKB48の姉妹グループを超え50万枚以上のセールスを記録するなど、その戦略は一定の成果を残していた。ではそれをいったんリセットしかねない若い生田の起用はどのような意図があるのだろうか。

 考えうる要因としては、9thシングル『夏のFree&Easy』のセールスが運営側の目指すところに届かなかったことだろう。同作は発売されて1ヶ月ほど経つが、未だ前作のセールスを上回れていない。発売の少し前にAKB48の握手会の事件があったという外的な要因がセールスが伸び悩んでいる理由の一つではあるのだろうが、今一番勢いのあるグループという声もあるだけに、前作割れという事実は運営側にとっては頭を抱える問題だ。つまり、それを挽回するための手段として「最後の切り札」生田絵梨花のセンター起用というわけだ。ミュージカル「虹のプレリュード」の主演も決まり、大学進学に向けて大事な時期でもあるだけに、この時期のセンター抜擢は生田本人にとってかなりハードなのは間違いない。それでも運営側が生田のセンター起用を決めたのは、グループにとって今回のシングルがそれほど大きな意味をもつということの表れだろう。

・1つ目の坂の頂、そして次なる坂へ

 一般的に、アイドルグループの成長を測る材料としては、CDセールスやライブの動員数、メディア露出の頻度などが主な指標となる。CDセールスやライブの動員はグループとファンの関係になるが、メディア露出に関しては起用する側の意図も働くため、前者とは違ったハードルが存在するといえる。念願の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)への出演も果たし、多くのメンバーが一つの集大成となると語る今年、グループが次に目指すのは、年末の『NHK紅白歌合戦』。これが上り続けていた大きな坂の一つ目の頂となるだろう。紅白はそもそもの出演のハードルが高いのに加えて、出演できるアイドルは限らられているため、自らの手で紅白出場を勝ち取るためには、やはりこの10thシングルの成功は絶対条件だ。選抜メンバー固定化に加え、切り札である生田を投入するということは、紅白という大きな坂を登りきるために必須の布陣なのである。

そして、紅白の向こう側には、次なる坂が待ち構えている。それはもちろん、ライバルグループであるAKB48だ。これまでは他の姉妹グループのような位置づけで語られることも多く、グループのコンセプトや楽曲のテイストが異なるものの、公の場でこの二つのグループが並び立ち、ライバルとして比較されることはあまりなかった。

 実際、乃木坂のファンのなかにはAKB48グループを通ってこなかったファンや、そもそもアイドルに興味のなかった客層もおり、そういった人々にも訴えかけられるだけの魅力を事実持ち合わせているのだ。乃木坂46が4年目を迎える際に、AKB48のライバルグループとして対等に比較されるために、そして乃木坂46が「乃木坂46」という一つのグループとして認識されるために、今回の10thシングルの成功と紅白出場は、彼女たちにとって上りきらなければならない大きな坂となる。

 10月8日に発売が発表された10thシングルを、乃木坂46の体現者生田絵梨花と不動のメンバーはどのように彩るのだろうか。そして、その先にある乃木坂46の未来はどのように変化していくのだろうか。今年最も勢いのあるアイドルグループからますます目を離すことができなさそうだ。

ポップス

最終更新:8月5日(火)17時55分

リアルサウンド