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 STAP細胞論文をめぐる問題の渦中にいた理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)の笹井芳樹・副センター長が5日、首をつっているのが見つかり、死亡が確認された。論文問題で揺れ続けた理研に、改めて大きな衝撃が走った。

 兵庫県警によると、午前8時40分、先端医療センターの関係者が、笹井氏が首をつっているのを発見し、午前9時2分に「男性が首をつっている」との110番通報があった。午前9時46分に神戸市立医療センター中央市民病院に搬送されたが、午前11時3分に死亡が確認された。

 5日正午ごろ、CDBの斎藤茂和・副センター長が神戸市中央区のCDB玄関ホールで集まった報道陣に対応した。

 斎藤氏は「笹井さんは毎日出勤していた。先週会ったとき、普段のような愛嬌(あいきょう)は衰えていたが、このようなことになるとは予想もしなかった。残念で、残念で、たまらない」と沈痛な表情で語った。

 斎藤氏によると、5日午前9時前、CDBに隣接する先端医療センター研究棟の階段の踊り場で、自殺をはかったとみられる笹井氏を職員が見つけた。笹井氏の研究室はこの研究棟の2階にあり、職員約30人が働いていた。笹井氏が4日に帰宅したかについては「分からない」と述べた。5日朝に笹井氏と会った人がいるかどうかは確認されていないという。

 STAP細胞問題の中間報告への影響については、「理研としては淡々とやりたいが、すべてはこれからの問題です」と語った。

 かつて笹井氏の研究室に2年半在籍した研究者の一人は「実験から論文の執筆まで、研究室のメンバーに対してものすごく目が行き届いたこまやかな人だった」と振り返った。

 神戸市の久元喜造市長は「本日、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター副センター長の笹井芳樹様の訃報(ふほう)に接し、あまりに突然のことで驚きを禁じえません。これまで神戸医療産業都市の発展に多大な貢献を頂くとともに、著しい研究業績を上げられていただけに残念でなりません。今はただ笹井様に心より哀悼の意を表します」とのコメントを出した。