ストーカー規制:SNSも 再犯対策先送り 警察庁検討会
毎日新聞 2014年08月05日 11時05分(最終更新 08月05日 13時21分)
ストーカー対策の在り方を議論してきた警察庁の有識者検討会(座長・前田雅英首都大学東京法科大学院教授)は5日、禁止命令手続きのスピードアップなどストーカー規制法の見直しを柱とする報告書をまとめた。LINE(ライン)などソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)によるメッセージの連続送信を新たに規制対象に含めることや罰則強化も盛り込んだが、加害者の再犯防止に向けた取り組みに関しては「更生プログラムの実施を検討すべきだ」との表現にとどまり、具体策は盛り込まれなかった。同庁は今後、提言を反映させた法改正を目指す。
有識者検討会は昨年11月に発足。ストーカー事件の被害者遺族も含めた委員7人が7月まで計8回、議論を重ねてきた。報告書は現行法による規制について、「不十分な点も認められる」と指摘。警告に従わなかった場合に出せる禁止命令について、聴聞などの手続きがあるため命令までに1カ月近くかかる場合が多く、その間に重大事件に発展するのを避けるため、警告を経ずに出す検討を求めた。正当な理由なく被害者宅付近をうろつく「はいかい」行為についても規制対象に含めるべきだとした。
ストーカー行為の罰則に関しても、現行法は、懲役6月以下または50万円以下の罰金▽禁止命令等違反は懲役1年以下または100万円以下の罰金−−としているが、「国民の納得のいく重さまで引き上げるべきだ」とした。検討会の議論では現行の2倍程度を想定して話し合われた。
手つかずだった加害者対策を巡っては、報告書はカウンセリングや治療について「逮捕などでも加害行為を止めることができない場合、有効な対策となる可能性があると考えられる」と言及しながらも、警察庁が進めている加害者治療の調査研究結果を踏まえてさらに検討するとし、具体策は先送りされた。また、被害者支援の拡充も求めた。女性警察官を中心に大幅な増員を求めたほか、一時避難場所の確保や経済面の支援▽警察以外の機関が連携して被害者を守る体制−−などの検討を提言した。【長谷川豊】
■有識者検討会による報告書の骨子
【規制強化策】
▽SNSによるメッセージの連続送信や「はいかい」も新たに法規制対象の「付きまとい」に
▽罰則付きの禁止命令をすぐに出せるよう、警告を飛び越すことも検討
▽現在の罰則(最大で1年以下の懲役または100万円以下の罰金)の引き上げ
【加害者対策】