神戸市の山間部で、登山客らがイノシシに襲われる被害が7月中旬から急増している。市内でイノシシ被害が多い東灘区では今年も含めここ数年、市街地で住民が襲われるケースが目立ち、山間部では2011年度以降、ほとんど報告されていなかった。登山客らの「餌付け」が背景にあるとみられ、市は被害が集中しているエリアに看板を設置するなど注意を呼び掛けている。(小川 晶、阿部江利)
神戸市によると、山間部で「ザックを奪われて腹をかまれた」「登山道で後ろから襲われた」などの連絡が7月12日以降、8件相次いだ。負傷者も既に7人に上っている(7月末現在)。
被害が集中しているのは六甲山の眺望スポット「風吹岩(かざふきいわ)」(同市東灘区)周辺。阪急岡本、芦屋川駅から六甲山最高峰へ向かうルートが合流する地点にあり、登山客らの休憩ポイントになっている。
市は7月末、風吹岩周辺など十数カ所に「餌付け禁止!!」などと記した看板を設置。今月2日には市の委託業者が登山道近くでチラシをまき、「襲われそうになったら荷物を放して逃げて」などと注意を呼び掛けた。
被害急増の背景について、市は「イノシシは学習能力がある。餌付けが繰り返されて食べ物目当てに人に近づく個体が出てきたのかもしれない」と推測。被害者からの情報では単独のイノシシと、子連れの2グループがいるという。
市街地ではイノシシを山間部に追い払えるが、生息地である山間部では“即効性”のある対策は難しい。担当者は「登山客らに餌付け禁止を徹底してもらい、イノシシが人に近づかなくなるようにしたい」と話す。
風吹岩近くで女性がイノシシに襲われる場面に出くわしたことがあるという京都府京田辺市の男性(63)は「今日(2日)も登山道脇にリュックと中身が散乱していた。六甲山にはよく来るが、1人だと怖い」と表情を曇らせた。
風吹岩周辺では10年秋にも登山客が特定のイノシシに襲われる被害が続発。神戸市が駆除に踏み切った。
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