笹井氏自殺:「なぜ」関係者に衝撃 「再起信じていた」

毎日新聞 2014年08月05日 11時44分(最終更新 08月05日 13時05分)

笹井芳樹副センター長が自殺したとみられる理化学研究所発生・再生科学総合研究センターに隣接する先端医療センター研究棟=神戸市中央区で2014年8月5日、神足俊輔撮影
笹井芳樹副センター長が自殺したとみられる理化学研究所発生・再生科学総合研究センターに隣接する先端医療センター研究棟=神戸市中央区で2014年8月5日、神足俊輔撮影

 なぜだ−−。5日朝、飛び込んできた理化学研究所の笹井芳樹発生・再生科学総合研究センター(CDB)副センター長(52)が自殺したとの一報。理研や研究者仲間らの間には大きな衝撃が走った。STAP細胞論文を巡っては、小保方晴子研究ユニットリーダー(30)の共著者として指導する立場だった笹井氏。理研によるSTAP細胞の検証実験について近々中間報告がされることになっていた中での出来事だけに、関係者らの間に動揺が広がった。

 再生科学の第一人者の突然の死亡に、親交のあった研究者は驚きを隠せない様子だった。

 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)時代に笹井氏の同僚だった斎藤通紀・京都大教授は「信じられない」と絶句した。

 2月半ば、STAP論文中の画像に疑義が出ていることを指摘するメールを笹井氏に送ったところ、「たいした問題ではない。落ち着いたらゆっくり議論しましょう」という返信があったという。「笹井先生の研究能力の高さは万人が認めるところ。だからこそ、今回の問題に皆が驚いてた。こんなことになるなら、何かもっとできなかったかと思う。残念です」と言葉を絞り出した。

 小保方晴子・理化学研究所研究ユニットリーダー(30)代理人の三木秀夫弁護士は「事実関係を確認中でコメントできない」と談話を発表した。

 笹井氏は、小保方氏理研に採用された際の面接に関わり、STAP細胞の研究も後押ししてきた。疑惑発覚後の4月に記者会見した笹井氏について、小保方氏は「尊敬する笹井先生が私の過ちのために厳しい質問にお答えされている姿を見て、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました」と話していた。

 笹井氏を指導したことがある京都大名誉教授で大阪バイオサイエンス研究所の中西重忠所長(72)は数日前、笹井氏に電子メールを送り、「がんばりなさい」との言葉も添えたが、返信がなかったという。中西氏は5日午前に記者の取材で笹井氏が自殺を図ったことを知り、「忙しいのかなと思っていたが、まさかこんなことになるとは」とショックを隠し切れない様子で語った。

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