JR中央線:被災地に試験列車「ドクター東海」
毎日新聞 2014年08月05日 09時34分(最終更新 08月05日 09時55分)
JR東海は4日、長野県南木曽町の土石流災害により一部区間でバス代行が続いていたJR中央線を6日に全面復旧させると正式発表した。特急「ワイドビューしなの」の運休も長引いて大きな影響を受けていた木曽地域の観光関係者からは、喜びや安堵(あんど)の声が上がった。
復旧するのは、坂下(岐阜県中津川市)−野尻(長野県大桑村)間。4日午後3時過ぎ、JR東海のホームページに復旧決定の案内が出たのを確認した木曽町観光交流課の星野亮二課長は「ほっとした。早い復旧で、感謝している」と話した。
町観光協会によると、土石流災害発生後の町内の宿泊客は例年より2割から3割減。中高年の夏山登山客の落ち込みが目立つ。また、駅前の土産物店やタクシー、レンタカーなどへの打撃も大きい。町が1日1往復運行する名古屋−木曽福島間の無料バス利用者は、7月28日から4日までに129人に上った。
須藤邦男事務局長は「予想以上に鉄道を利用して来訪する人が多いことを実感した。観光のトップシーズンを迎えているので、これを機に町が活気づいてほしい」と期待する。
南木曽町の長渕秀司副町長も「早期復旧は大歓迎。通勤・通学や病院通いに使う住民の生活の足。観光への影響も大きい」と話した。
一方で、ある木曽地域の観光施設の関係者は「遠方の人の中には、木曽全体で土砂災害が起きているとの印象を持った人もいる。交通は元に戻るが、今後どれだけ取り戻せるかはまだわからない」と慎重な見方を示した。
JR東海は4日夕、土石流で流され架け直された梨沢橋付近で試験列車「ドクター東海」(3両編成)を走らせ、線路などの状況を確認した。【古川修司】