社会
県立近代美術館鎌倉の建物存続求め 知事に署名1万6千人分
神奈川県立近代美術館鎌倉(鎌倉市雪ノ下)の建物存続問題で、鎌倉市在住の女性たちが4日、1万6453人分の署名を添え、同館が立つ鶴岡八幡宮と県の借地契約が終了する2016年3月末以降も建物の存続を求める要望書を黒岩祐治知事あてに提出した。
署名を集めたのは横松佐智子さん(68)=同市長谷=ら3人。すでに建築家や文化人らが建物の建築的価値を訴え存続を求めているが、「市民や県民の声も届けたい」と5月下旬から街頭などで署名を呼びかけたという。
要望書は、建築家・坂倉準三が設計し1951年に開館した建物について「源平池の水面に映える風景は古都鎌倉の象徴。私たちの生活に刻まれた鎌倉らしい貴重な文化環境」と説明。さらに「一度失ったら取り戻せない計り知れない財産。関係者の柔軟な発想で問題を解決されることを願う」とし、建物と景観の維持保全を求めている。
県庁で会見した横松さんは「戦後すぐの食糧難の時代に文化的な希望を込めて建てられた建物。市民にとっても誇りであり、残してほしい」と訴えた。今後、鶴岡八幡宮、文化庁、鎌倉市、県教育委員会にも順次、複写した署名を同様に提出する。
県と鶴岡八幡宮の間では更地にして返す契約が結ばれているが、両者は建物を存続できるか見極めるために9月から建物調査を実施する。仮に耐震工事を行って存続させるにしても、地下の遺構を傷つけない工法が必要とされており、技術的な課題や費用などを年内に調べるという。
【神奈川新聞】