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旅体験プラットフォーム「TraBerry」を展開するActie代表の杉江直哉と申します。アメリカ・イリノイ州シカゴ市で生まれ、18年間アメリカで過ごしました。高校卒業後はICUに進学し、外資金融で社会人生活がスタート。シンガポール、シアトル、ハワイと、さまざまな国、業界で経験を積んだ後、2013年に「世界最高の旅体験を実現」すべく日本で起業しました。
わたしはこれまでにアメリカ、シンガポールで会社を設立した経験があります。アメリカ・ハワイ州では、ネット上から百数十ドルで登記完了。その後１週間程でファーストバンクハワイアンで口座開設ができました。シンガポールでは、2008年と少し前の話になりますが、代行業者に協力してもらったとはいえ、１日で会社登記からOCBCでの銀行口座の開設ができました。
今回マジョリティ・オーナーとして、はじめて日本で起業したわけですが、日本での会社設立にあたり、登記完了から口座開設までに費やした時間やお金は想像を超えるものでした。そこで、わたしが実際に起業時に感じた「登記回りで特に気をつけるべきポイント」をまとめましたので、シェアさせていただきます。
１．良い行政書士を見つける
理想はスタートアップの設立に慣れている行政書士を見つけることです。将来増資をしたり、株式分割することを想定しているなら、それに合わせて定款を作成してもらえるので、後で余計な時間や労力を使わずに済みます。
事業内容はなるべく幅広く書いた方が得策といえるでしょう。例えば、ネット広告の新規事業を考えているなら計画に沿った内容にすべきですが、あまりにも限定し過ぎると、O2Oビジネス、物販へと広げた場合、定款変更を余儀なくされる可能性が出てくるからです。メイン銀行で口座を開く前に変更があると開設出来なくなったりと、お金だけでなく時間ロスも発生します。余計な手数料を支払わない為にも幅広く記載すべきです。また定款の最後には「前各号に付帯または関連する一切の業務」という一文を書いておくと良いでしょう。
スタートアップの環境や状況を理解できている「士」はあまり多くない印象です。一回、一回それなりの金額が発生するので、依頼相手は慎重に選ぶ必要があります。私が会社を登記するときには無かったサービスですが、「士業」がクラウド上で集まる「Bizer」で検索するのも一つかもしれません。
２．会社登記や銀行口座開設は時間とお金が予想以上にかかる
日本では「会社登記を最短５営業日」と謳い文句にしている業者が多いですが、ハンコや書類を用意するだけで実質２週間近くかかります。無事、会社登記できても、メイン銀行で口座を開設するのに、そこから数週間から１カ月近くかかりました。銀行や役所のスピード感を比較しても、いかに日本でスタートアップする環境が遅れているかを痛感しました。
費用も会社設立だけで23万円前後（2013年時）要し、これに行政書士に依頼した場合は別途手数料が加わります。ほかにも、会社印鑑の作成や収入印紙、資本金の払込など、最低でも50万円は見ておいた方が無難です。
３．登記後の手続きも早めに
登記後は税務署、都道府県税事務所、市区町村役場に対して、一定の書類を届け出なければなりません。設立直後でバタバタしていないスタートアップは無いと思うのですが、登記２カ月以内に法人設立届出書、定款、法人登記簿謄本、給与支払事務所等の開設届出書、設立時の貸借対照表、株主名簿が必要となります。
また任意ですが、申請することで優遇が受けられる書類（青色申告の承認申請書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書、申告期限の延長の特例の申請書）があるので、この手続きも早めに動く必要があります。
わたしは、１〜３について甘く見すぎていた部分がありました。事前に把握していなかった落ち度は自分にあるのですが、優遇処置を受けれる期間を過ぎていたり、ギリギリになって冷や汗をかいた経験をしました。これから起業する方が同じ過ちやトラブルを最小限に抑えられるよう、参考になれば嬉しい限りです。
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