韓国プロ野球ではオールスター戦が終わりシーズン後半戦が始まった7月22日から誤審の有無をテレビ中継画面を通じ判断する「ビデオ判定」を導入した。現在までで果たしてどのような成果が挙がっているのだろうか。
4日までのシーズン後半期に行われた42試合のうち、各チームがビデオ判定を要請したのは19回。14日間試合が行われたので、一日に1-2回のペースでビデオ判定を求める状況が発生していることになる。このうち審判の判定が覆されたケースは8回で、判定が覆る率は42.1%だった。
これは、米大リーグで審判の判定が覆る率がほぼ半分近い(46.8%)のに比べると少ない方だ。ビデオ判定が今年から全面施行されている大リーグは合計852件のビデオ判定で399回も判定が覆っている。
韓国のビデオ判定制度は今のところは「ウィン・ウィン(自分にも相手にもメリットがあること)」に見える。シーズン前半期、数多くの誤審騒動でたたかれた審判たちは歓迎ムードだ。ナ・グァンナム審判は「制度導入前は自分の誤審で勝敗が分かれ場合、(被害を受けた)チームにも申し訳なく、ファンからもたくさん非難を浴びていた。この制度が導入されてからはミスをすぐに正すことができるという思いから気持ちが楽になった」と語った。
監督も、各チームで少なくとも1回は誤審を訂正できたことから、満足している様子だ。
しかし、一定期間の検討を経ずに急きょ作られた制度だけに、改善の余地はある。現場では「審判の判定後、30秒以内にビデオ判定を申し立てなければならない」という規定に対し不満の声が上がっている。時間があまりにも短いということだ。韓国野球委員会(KBO)は、大リーグで監督がリプレイ画面を先に見て、判定を要請するためわざと時間を引き延ばすケースが多いため「30秒ルール」を作った。しかし、テレビ中継画面のカメラに頼っている韓国ではそうした都合上、異議申し立てのタイミングを逃す事態が発生してもおかしくない。事実、サムスンの柳仲逸(リュ・ジュンイル)監督は先月25日、浦項でのNC戦で「テレビ局のリプレイ画面が出るのが遅かったためにビデオ判定を要求できなかった」と不満を表明した。
KBOのチョン・グムジョ運営育成部長は「今年明らかになった問題はシーズン終了後に修正していく。大リーグのようにビデオ判定センターを別個に設ける案も検討対象事項の一つ」と話している。