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【社会】

合格通知、今さら? 都立高入試 新たな採点ミス

 「半年近くたっておわびの言葉もありません」。今月三日、東京都内の私立高一年の生徒に、このような手紙が届いた。差出人は、二月に受験して不合格だった都立高。「追加合格」の通知だった。四月以降、相次ぎ発覚した都立高入試の採点ミス問題で、誤って不合格とされた受験生が、六月に都教育委員会が発表した十八人よりもさらに増えることが、生徒の保護者が本紙読者応答室に寄せた情報や都教委への取材で分かった。しかし、もう夏休みは中盤。生徒の保護者は「今さら取り返しがつかない」と憤っている。

 「すべての答案を再点検した結果、合格となるべきことが分かりました」。手紙は、このような内容だ。

 保護者によると、生徒はこの都立高が第一志望で、私立は併願せず、都立一本で二月二十四日の入試に臨んだ。塾の先生も太鼓判を押していたという。

 ところが結果は不合格。「試験で緊張してしまい、体が震えていた」と悔やんだ生徒は、二次募集で受験した私立高に進学した。

 高校での最初の夏休みに届いた突然の合格通知。生徒は「都立高に入る。入りたい」と転学を望んだ。

 ただ保護者は、生徒の今後を考え、戸惑っている。「今の学校で友だちもでき、部活動も頑張っている。今さら知らせないでほしかった気持ちもある。二学期から転学すれば、合格点ぎりぎりだったのでは、と周囲に思われかねない」

 都立高の採点ミス問題で都教委は、今春と昨春の二年間の不合格者の答案を再点検した結果、本来は合格だったのに誤って不合格とされた受験者数が十八人いたと、六月に発表した。

 都教委は六月以降、合格者の答案計二十五万枚の点検を実施。すると、誤って点数を加えていた事例が見つかった。採点をやり直して合否を再判定した結果、合格点に達する受験生が新たに判明した。

 都教委は、すべての合否判定を終えた後、追加合格者の総数と再発防止策を今月下旬に発表する。すでに入学した生徒の合格は取り消さない。都教委は、追加合格の生徒が二学期からの転学に対応できるよう、順次、通知を送るという。ただ通知を受けた生徒の保護者は「謝罪されても、子どもが受けたショックは取り返しがつかない」と話していた。

 

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