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【国際】

在外中国人 テロの危険 ウイグル族3000人超 東南アジアへ

タイ南部ソンクラー県で3月、避難所で息子を抱く、中国新疆ウイグル自治区から来たウイグル族とみられる男性=ロイター・共同

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 【北京=白石徹】漢族とウイグル族の紛争が激化する中国新疆ウイグル自治区から、東南アジアへ密出国するウイグル族が後を絶たず、この一年で少なくとも三千人に上ることが四日、中国人研究者の調査で明らかになった。密出国者の中にはイスラム過激派の思想に影響された者もおり、研究者は「国外在住の中国人や中国企業に対するテロのリスクが高まっている」と警告している。

 今年三月にタイで拘束されたウイグル族二百十六人(男七十八人、女六十人、児童七十八人)は家族連れが中心。家財道具など所有物を全て売却し、国外の指定された銀行口座に送金した後、中国南部の雲南省から密出国していた。家族主体の密出国は犯罪組織が手助けし、イスラム教の信仰の自由がある国を目指すケースが多いという。

 一方、個別に密出国する者は、中国内での対立について、イスラム教への迫害から逃れるヒジュラ(聖遷)や信仰のための戦いであるジハード(聖戦)になぞらえる場合があり、国外テロ活動も懸念される。

 四月十八日、ベトナム国境警備隊員が、中国から不法入国を図ったウイグル族五人を国境で射殺した事件では、国外でのテロ行為に関与する可能性もあったとみられる。

 また雲南省の昆明駅で三月一日、ウイグル族のグループ十人ほどが刃物を使って無差別に二十九人を殺害した事件は密出国に失敗したウイグル族の犯行とされる。研究者は「密出国したウイグル族の一部は、いずれ中国に戻りテロの危険を増大させる」とも指摘した。

 中国政府は、ウイグル族の活動が周辺国と摩擦を起こして外交問題に発展することを警戒し、国際社会の世論が中国批判に向かう事態にも神経をとがらせる。

 トルコ系のウイグル族を支援するため、トルコのアンカラやイスタンブールの市民はトルコ政府に対し、「宗教弾圧」を見過ごさず中国政府に抗議するよう求める署名活動を実施。中国側は、自治区内での紛争は「ウイグル族によるテロ行為」として、国際的な批判をかわそうとしているようだ。

 

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