TOEICで920点の高得点を取った女性は大都市での就職以外にないと考えていたが、北陸地方や地元大学卒業者限定の募集で20倍以上の競争率を突破し、生まれ育った地元で勤務できる喜びを語っていた。
また、10人以上の部下を持つ管理職の女性は、3人の母親でもある。該本部で働く女性で子供3人を持つ母親は多いと語り、地方は社員の満足度と業績を高めることにつながっているという。
該企業の相談役は北陸所在の企業で働く既婚女性社員の平均子供数は1.9人で、東京の0.7人の約3倍というデーターを示しながら、キャリア・ウーマンは子供を持てないというのは東京の論理で、地方は逆に管理職の方がたくさんの子供を持っている事実があるという。
この演繹で、地方にもう少し若い人が残って働く場所があるという状況ができれば、地方をもう少し活用していけると言う。地方と国の少子化防止であり、活性化への燭光のように思える。
こうしたことを踏まえての発言であろうが、増田寛也・東京大学公共政策大学院客員教授は、過密で混雑した東京での仕事に打ち込むのを尊ぶ風潮があったが、従業員の意識の変化に伴い今後は本社機能を地方に移転する企業が増えるだろうと語る。
おわりに
過疎化は地方の消滅につながり、日本の衰退をもたらす。自衛隊はかつて過疎地対策として誘致され、地方の活性化のために伝統的な祭りに参加するなど、地方再興の切り札となったこともあった。いまは過疎地の安全保障の観点が大きな考慮要件となろう。
7月18日の閣僚懇談会で、人口減少対策や地域経済活性化に取り組む組織「まち・ひと・しごと創生本部」の立ち上げが決まった。「経済の好循環の波を全国に広げ、各地域で若者が元気に働き、子供を育て次世代へと豊かな暮らしをつなぐことが重要」(安倍晋三首相)との観点からである。
アベノミクス実現には女性の積極的活用が不可欠として、すでに中央官庁で局長級以上の管理職15人が誕生した。
問題の根源は少子化や地方の過疎化にあり、能力発揮と子育てを並立させている女性を重用する手もあるのではないだろうか。華々しく登場した最初の4人の局長を各種情報で瞥見すると、2人には子供が1人づつ、他の2人は独身らしい。
専業主婦の多くは高尚な理論などを振り回しはしないが、結婚・出産・子育てを不言実行して日本の社会を支えている。その点からは範を示すべき中央省庁の人事には疑問なしとしない。