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国際
【話の肖像画】評論家・呉善花(57)(1)日韓理解は価値観の違い認識から
〈1983(昭和58)年に27歳で来日して以来、韓国と日本、韓国人と日本人、似て非なるものに悩み苦しむ時期が続いた。そんな日韓のはざまで悩み、考えたことを本にしてみようと考えた〉
姿かたちや文化の類似性からすると、日本人と韓国人はとても近いと思えます。でも、ちょっと中に入り込むと全然違うのです。日本と韓国の差異に強く悩んでいたころ、日本語学校で知り合ったフランス人と欧州に行き、欧州の空気を味わいながら日本を見直しました。欧州はやはり個人主義で階層間の差が激しい社会。日本は私にとっておかしな人たちが住んでいる国なのに、なぜ大多数の人たちの生活が豊かな社会をつくり上げられたのだろう。それで自分の価値観や心情をいったんカッコに入れて、できるだけとらわれない目で日本人を探っていこうと思ったのです。
それまでは、いろんな激しい葛藤がたくさんあって、なかなかうまくいかなかった。親しい日本人との間でもうまくいかない。でも全てをあきらめるわけにはいかない、日本を探っていくしかないと思いました。日本人とは何か、なぜ韓国人の感覚と違うのか。悩みながら探っていこうと思いました。民族的なアイデンティティーの危機に陥り、悩んだ末のことです。
〈日本を、日本人を深く探りたい-。そんな思いの輪郭を、韓国人ホステスらとの出会いがくっきりと浮き出させた。初出版の『スカートの風』(三交社)は日本と韓国の社会を素直に見つめたものだった。大きな反響を呼んだ〉
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