2014年08月04日

周永康終了の後を考える

 中央規律検査委員会が、周永康に対して「立案審査」を行うとの発表から1週間。本来なら翌日にでも続きを書くべきでしたが、今日まで延び延びになてしまいました。

 2012年11月の第18回党大会で政治局常務委員と兼任していた政法委書記を降り、完全引退した周。中国石油、四川省、政法委時代の秘書ら元部下、薄熙来、徐才厚と周に近いとされてきた政治局委員経験者がこの1年半の間に相次いで失脚。

 決定的な兆しは旧正月前に開かれた中央政法工作会議にありました。

 習近平が同会議で「二股をかけてはならない」「政法隊伍の主流はすばらしい」と、非主流の存在をほのめかしつつ、「獅子心中の虫を排除しなければならない」と政法圏内の周永康色一掃を求めました。この時点で周に対する処分が決定したと言われています。(参考

 これを受けてか、今年3月には、周の件についてSCMPから問われた全国政協の報道官が「どのような人間であれ、どれほど職責が高くても、党紀、法律に抵触すれば厳しい追及と処罰を受ける。これは絵空事ではない」と回答。

 ここまでなら薄熙来の時にもあったいつもの定型文なのですが、「私に言えるのはここまでだ、なあ、わかるだろ」と続き、周に対する調査が始まっていることが半ば公になったこの時点で、私の興味は「周の罪状」と「周の次」に移りました。

 もう、いくらガメてましたとか、愛人が何人いましたとかどうでもいいじゃないですか。失脚した高官を醜く描くのもやり過ぎるとかえって求心力()を失うのではないかと思いますが、せいぜい悪行を暴いてればいいでしょう。

 周の罪状は今のところ明らかになっていません。7月30日の公報では「重大な紀律違反」とだけ。

 現状では法に触れているとは指摘されておらず、法に触れてないんだったら検察へ身柄を移すことはありえないのでは、などと屁理屈をこねたくなります。

 罪状となりそうなものとしては、石油部副部長として北京入りした後、愛人の存在を確信した前妻が邪魔臭くなったのか、事故に見せかけて軍車両でひき殺したとフェニックスが報じているくらいですか。

 時期としては2002年から03年ごろと言われていたと思いますが、フェニックスははっきりと時期を書いてくれていません。

 石油業界で下積みだった頃からの古女房をあっさり殺し、若い後妻をCCTVから貰ってきた、みたいな話に繋がりそうですが、CCTVまで巻き込むつもりがなければこの話はお蔵入りにされるかもしれません。

 今後も本当の罪状が公表されるかどうかは不透明ですが、公表されるなら「反党分子」クラスの汚名が着せられるのではないかと思います。

 常務委員クラスの失脚ですから、ただの経済犯罪では割に合いません。それも、引退済の人間をわざわざ悪い奴認定しているのですから。

 反党分子とは林彪クラスの大物にしか与えられない称号ですから、それ相応の働きがないといけません。薄熙来に政法委麾下のパトカーや装甲車を貸し与え、王立軍が逃げ込んだ成都の米国総領事館を取り囲んだくらいの業績では当然足りません。(参考

 薄熙来失脚直後から噂されるように、薄の金づるであった徐明(大連実徳集団総裁)を中央紀律委と取り合いになり、発砲騒ぎになった、というのが現在漏れてきている情報では反党行為として最も有力です。

 このもみ合いでは、当然公安なり武装警察を動かしているわけで、クーデター未遂にカウントされアウト。その後の干されっぷりや、政法委の格下げ、総書記直轄の国家安全委員会設置と合致するのですが、クーデター未遂を公表するつもりがなければ、ただの経済犯罪として処理されるでしょう。

 周の次、というのは、周を支持していたとされる曾慶紅です。元々江沢民の右腕として喬石や李瑞環を引退に追い込む有能なおっさんですし、太子党、というか紅二代(親が建国前から、もしくは建国後の大物)としてのレベルもかなり高く、曾まで手を伸ばせば、習近平自身が引退後危なくなるやもしれません。

 曾は6月の葬儀で名前が出ておらず、どうしたのかと気をもんでいるところなのですが、果たして。(参考

ニックネーム aquarelliste at 22:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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