http://d.hatena.ne.jp/locust0138/20140803/1407063308
こちらのブログを拝見しました。
身内にCS(化学物質過敏症)/ES(電磁波過敏症)持ちがおり、
エントリ主さんが「これは幻覚・妄想ではないか」ととらえている内容について、
思うところがありましたので、まとめました。
3)経皮毒・デトックスについて追記しました(8/4 18:00)
前置き
予め申し上げておきますが、私は医者でもなんでもありません。
健康体であり、同じように感じることができないながらも、
身内の言うことを客観的にみた経験があるだけです。
ですが、科学物質で特定不可能というだけで、あたかも「ただの気のせいだ、妄想だ、幻覚だ」というような言い方は、
「かびんのつま」という漫画の表現だけを対象にしているという前置きがあるとはいえ、ずいぶん乱暴だと思いました。
化学物質過敏症、電磁波過敏症は、
花粉症のように大多数が発症して、特定の原因・症状に共通しているわけでもなく、
アナフィキラシーショックをともなうような、直接的に生命にかかわる症状が頻発するものでもありません。
だからといって、「気のせい」や「精神科案件」というような誤解で、症状はごまかされてくれません。
正しい処置を受けられずアレルゲンに曝露され続ける生活を送る人が、
周囲の理解が得られない、適切な治療が受けられないことから、結果として精神的な病を抱えてしまう事も多いように思います。
原因はアレルギーなのです。
アレルゲンに曝されなければ症状は出ないのです。
花粉症やぜんそくやアトピーが精神科でどうにかなりますか?
指摘についての反論
(1)科学的にデタラメ
- 1)「無農薬」=「安全・美味しい」ではない
無農薬農産物が慣行農産物より優れていると感じるのはただの思い込みです。
化学物質に反応するアレルギーということをお忘れでしょうか。
アレルゲンが交差していない野菜を何種類か食べていずれも消化器症状が出たが、
原因は野菜そのものが持つ成分ではなく、共通に使われている農薬・肥料が原因ということがあります。
そのため、土壌や栽培方法の異なる野菜であれば問題なく食べられる場合もあるのです。
自分が安心して食べられるものが「優れて」いて、食べると具合が悪くなるものは「劣って」います。
なんでも食べられる人にとっての優劣ではないはずなのですが、漫画の表現としてそのように記載されているとしたら問題があるかもしれませんね。
- 2)化学の知識がない
これについてはノーコメントです。
個人的に気になったレベルの話ですが、食品から摂取する鉄って2種類かあったと思うのですが、そのうちのいずれかがダメというようなケースは「ない」と断定しても良いのでしょうか…。
- 3)経皮毒・デトックス (8/4 18:00 追記しました)
CS患者の「経皮毒」の概念は、鎮痛剤の張り薬が痛みを取ったり、ステロイド塗り薬が皮膚の再生を助けることと同じ原理です。
また「デトックス」は、禁煙をすることでタバコのニコチンが体から抜け、中毒症状がおさまるのと同じく、代謝と意味を同じくするものです。
エントリ主さんは、「経皮毒」や「デトックス」が医学的に否定されていると仰っていますが、
自分の体に害なすものを「毒」として否定的に扱いたがる為に、一部の思想と親和性高く見えるのですが、その言葉の定義の是非はともかくとして、意味としては医学的に肯定されごくごく当たり前となっている上記の作用が否定されるわけではありません。
毒そのものが吸収されなくとも、接触皮膚炎のように、アレルゲンに触れたことが原因で免疫の反応が強く出れば症状は現れるのです。
某緑茶石鹸が原因で小麦アレルギーになられた方の中には、
その石鹸で顔を洗い続けていて、全身性の症状を発症されてしまった方もいらっしゃいます。
繰り返しますが、アレルギーが起こる作用は、当人が対象を認知しているかどうかではありませんので、
思い込んでいるから症状が出るのだとしか考えられません。
というのは大きな誤解であり、危険な発想です。
食品アレルギーの場合は、形状をごまかして混ぜ込まれたものを少量食べてすぐにアナフィキラシーショックが起こる方もいらっしゃいます。
第三者が「単なる好き嫌いではないか」と考え、試すように食べ物に混ぜ込んで、救急病院の医者からガッツリ怒られている人の話をよく聞きますが、とても危険な考えです。
(「アレルギー 殺人未遂」で検索してみてください。)
(2)幻覚・妄想
- 1)見えない物が見える
- 2)聞こえない物が聞こえる
- 3)存在しない臭いを感じる
共感覚で説明がつきそうですが、いかがでしょうか。
共感覚 - Wikipedia
また、味覚・嗅覚過敏症、聴覚過敏症、光線過敏症…と、併発している人も多いので、
通常では聞き取れない範囲の音や香りを知覚している人もいます。
脳の異常から症状が出ていると予想されているようですが、
化学物質によるアレルギー反応で脳内物質の混乱が起きている可能性はないのですか?
少し話はそれますが、
歯科で治療を行った後から、常にどこにいても人の話し声が聞こえるようになった人がいます。
これは幻聴ではなく、咬み合わせの上下に別の種類の金属を使用していて、
ラジオの電波を受信していたせいで、金属を変更することで改善したという事例も報告されているようです。
(ガルバニー電流で調べていただくとよいかと思います。)
- 4)皮膚から毒が吸収される
3)経皮毒・デトックスで述べた通りです。
ちなみに、私の身内の場合は臭気として知覚される成分は総じてダメなことが多いです。
- 5)謎のおまじない、「アース」
おまじないの域を出ないかもしれません。
ただ、プラセボの効果は証明されていますね。
- 6)マルチプロテクター、アルミ箔
身内のCS/ES持ちは金属アレルギーもありますが、以前「アルミは案外大丈夫」と言っていました。
一般的な金属アレルギーの人でも、傾向として、
- メスに使われる医療用ステンレス
- チタン
- 24K
等であれば大丈夫といわれているものがありますので、
アルミが大丈夫であったとしても妙ではありません。
- 7)電磁波への反応が恣意的過ぎる
身内はガソリン車は大丈夫ですが、ハイブリッドカーは試乗したうえでダメでした。
カーオーディオのスピーカー、携帯電話、パソコン等は、調子が悪い日でなければ問題なく使えますし、車の運転もできます(本人の通院は自力で運転していきます)。
それを気にしだすと悪化するという傾向は(プラセボの裏返しとしても)たしかにあると思います。
ただ、「どれがOK、どれがダメ」というのは自分が実験台にならないと正確な情報が得られないのが特徴です。逆に交通機関が使えるのは喜ばしいことです。
(自宅でも症状が出るのに屋外ではもっと激しく症状が出る方が自殺してしまうケースも多い中、
飛行機に乗れる、電車に乗れることが良いことでなくて何なのでしょう)
画一的に判断できないからといって「症状がない」ということはあり得ません。
(共通する傾向としては「ない」かもしれませんが)
- 8)音への恐怖
前述の通り、共感覚であるとか、聴覚過敏で通常の人なら無視できる範囲の音が聞こえている場合があります。
低周波は振動としても知覚可能なエネルギーです。
低周波音 - Wikipedia
https://www.env.go.jp/air/teishuha/yokuwakaru/full.pdf:よくわかる低周波音 - 環境省
- 「早く精神科に連れて行け」
「CS/ES患者への精神科へ連れていく対処」というのは
ブログ主さんとしては投薬治療を前提に考えて仰っているように思います。
しかし、化学物質の塊である薬剤を使用しても大丈夫という前提がありませんし、
必要なのは脳内物質のバランス調整ではなく、アレルゲンに暴露されないことです。
花粉症ですら「できるだけ花粉と接触しないように」としているのに、CS患者へ投薬するということは花粉の塊を浴びせるようなものです。
私の身内は胃カメラの検査で使用した潤滑剤が原因と思われる激しい消化器症状が出て、
自宅のトイレで気絶していたことがあります。
検査を行った医療機関は協力的で、使用する予定のものを予め知らせてくれたり、選ばせてくれたりしていたにもかかわらずです。
医療関係者でも「これなら大丈夫」と言えないものなのです。
また、消毒臭もそうですが、病院に来ている他の患者さんの「衣類から発せられる洗剤・柔軟剤の香り」というのも耐えがたいようですね。
そろそろ疲れてきたのでまとめ。
原因が違うところにあるのがわかっているのに、他科で対処療法を続けよというのは
いったい誰のための治療なのかと問いたいです。
何事も、自分の体験したこと(主観的な事実)が客観的な事実であるとは限りません。
これについては同意です。
自分では体験しようもない、客観的な事実だってありますからね。