【教育再生考】現場からの報告(4)
「90-30=?(ナインティー マイナス サーティー イコール?)」
小学1年生の算数の授業。外国人教師の問いかけに、子供たちが競うように手を上げる。
「I know, I know(アイ、ノウ アイ、ノウ)」
廊下と教室を隔てる壁のない開放的な校舎から聞こえてきたのは、子供たちが話す流暢(りゅうちょう)な英語だった。
群馬県太田市などが平成17年に開校した「ぐんま国際アカデミー(GKA)」は、国語と社会科を除く全教科を英語で教える「公設民営」の私立小中高一貫校だ。日本語を話さない外国人教師が教壇に立ち、英訳された教科書で学ぶ「イマージョン教育」を実践している。
GKA初等部の井上春樹副校長(69)は「日本で暮らしながらバイリンガルに育てるなら、日常的に英語を使うイマージョン教育以上の方法はない。これからの英語教育の方向性を示しているのではないか」と胸を張る。
実際、成果も出ている。平成23年度のTOEICで、同校の中学3年生の得点は平均572点。大学生平均の450点前後を大きく上回り、うち2人は900点の大台に乗った。
一方、英語以外では課題もあるようだ。同校は今春、高等部から初の卒業生を出した。しかし開校時4年生として入学した1期生60人のうち、卒業まで残ったのは17人。大学入試を意識し、数学などほかの教科の指導に対する不安から、高校進学を機に転校する生徒が相次いだという。