47NEWS >  47トピックス >  超おすすめ

47トピックス

中国軍「核弾頭を増加」  世界的軍縮に逆行斜め/米ロへの対抗視野


 中国人民解放軍が公式文書で、核戦略の要となる戦略ミサイル部隊の「核弾頭を適切に増加していく」と明記していることが分かった。 中国軍筋が3日、明らかにした。 中国軍は世界的な核軍縮の流れに逆行して核兵器を増強していると推測されていたが、軍の文書でもこれが裏付けられた。

 一方、中長距離弾道ミサイルなどの通常弾頭を増強するとも指摘。核による反撃力を高めつつも、核兵器が人道面などから実戦向きでないことを念頭に「使える兵器」としての通常兵器にミサイル部隊の重点を移していることがうかがえる。

 文書は、陸海空と第2砲兵部隊(戦略ミサイル部隊)の当面の目標を示した軍人向け教材。この中で、核兵器を柱とする同部隊を、中国が大国としての主導権を確保するための「抑止力」の核心と位置付けた。
 その上で核抑止力を高めるために適切に核弾頭を増やすと記した。ただ、ほかの核保有国と軍拡競争はしないとしている。

 また誘導ミサイルや殺傷力の高い弾頭を開発して中長距離弾道ミサイルの攻撃力を高めるなど、通常ミサイル部隊を強化すると指摘。人工衛星への攻撃やミサイル迎撃の能力も向上させる。

 戦略ミサイルは、単に本土「防衛」のためではなく、広い範囲で「戦略的な主導権」を握るために活用すると強調。

 中国の戦略ミサイル部隊は、1960年代の発足当初から米国などへの核反撃力を持つ目的で核兵器を中心に発展してきた。しかし冷戦時代から紛争で核兵器が使用されることはなく、通常兵器の戦力が実戦面では重要との認識が中国でも高まっていた。

 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所などによると、配備済み核弾頭数はロシアが約4500発、米国が約2100発。中国は250発程度保有していると推定されている。


 ◎米ロへの対抗視野 不透明な核戦力
  
 中国がミサイルの核弾頭を増やすのは、世界的に米国とロシアが圧倒的多数の核兵器を保有している現状では、大国として一定程度戦略バランスを近づける必要があると判断しているためだ。その一方で、実際の戦力としては通常ミサイルが効果的とみて増強を図っている。

 オバマ米政権誕生後、米ロが2010年に新戦略兵器削減条約(新START)に調印するなど核軍縮の流れが強まっているが、中国は 核物質の削減・保全を目指す核安全保障サミット などの場では「まず米ロが先に削減するべきだ」と強調、自国の核戦力については多くを語らず不透明にしている。核戦力を曖昧にした方が抑止力を保てるとの計算がある。

 ただ世界的に核軍縮の潮流にあり、核兵器は人道的にも使いにくい兵器。中国もそのことを十分に理解しており、通常兵器に力を入れている。

 核戦力のために発展してきた戦略ミサイル部隊で11年、初めて通常ミサイル部隊の出身者が司令官に就任したことも中国が通常ミサイル部隊を重視していることの証左だ。米国が強く警戒する対艦弾道ミサイル「東風21D」(射程1500キロ以上)を開発したのも、この戦略の延長線上にある。

(共同通信)

2014/08/04 10:45

ロード中 関連記事を取得中...


コメント

コメントをお寄せください