神奈川県山北町中川のキャンプ場「ウェルキャンプ西丹沢」内を流れる河内川で1日夜、同県藤沢市片瀬山、IT関連会社社長大森慎也さん(43)ら一家4人が車ごと流された事故で、県警松田署などは2日朝までに、行方不明だった大森さんの妻ルミさん(42)、長女の小学3年
自力で岸にたどり着いた大森さんは、腕にけがをした。
同署によると、4人は長さ約100メートル、幅約50メートルの中州に設けられた四輪駆動車専用の区域に車を止め、キャンプをしていた。同署はキャンプ場の安全管理に問題がなかったかどうかを調べるため、運営会社から事情を聞く方針だ。
同署の発表によると、4人は1日から2泊3日の日程でキャンプ場を訪れた。1日午後7時40分頃、大森さんは中州から車で幅約10メートルの浅瀬を渡り、左岸にある売店に食材などを買いに行った。雨が激しくなっていたため店員に避難を勧められ、いったん中州に戻った後、同8時頃、家族を乗せて左岸に避難しようとし、車ごと流された。左岸の一般のキャンプ区域には4、5台の車が止まっていたが、中州の四輪駆動車専用区域でキャンプしていたのは大森さん一家だけだった。
近くの別のキャンプ場を訪れていた横浜市の40歳代の会社員男性は、中州から左岸に渡ろうとしている大森さん一家の車を目撃した。激しい雨で川は増水し、車は進むのに苦労している様子だった。約1時間後、雨がやんだため、男性が再び様子を見に行くと、約10メートル下流で車が逆さまになっていた。
県流域海岸企画課によると、大雨の影響で、現場の下流にある水位計は1日午後8時45分までの1時間に水位が約70センチ上昇した。同署は、鉄砲水が起きた可能性もあるとみて調べている。
ウェルキャンプ西丹沢は、同県小田原市の不動産会社が運営。近隣住民らによると、このキャンプ場では約10年前、岸を削って川幅を広げた上で、元々あった小さな中州に土砂を運び込んで広くし、四輪駆動車専用区域を造ったという。
一般社団法人「日本オートキャンプ協会」(東京)の吉田章会長(67)は「中州は急激な増水時などは極めて危険。絶対にテントを設置してはならない」と話している。