中州でのキャンプは、急な増水で命の危険にさらされる可能性がある。今回の事故現場周辺のキャンプ場関係者は、中州でのテント設置や避難指示の方法など、運営会社の安全管理に疑問を呈した。専門家らも「中州は川底と同じ」として、安易な立ち入りに警鐘を鳴らしている。
「増水時に取り残される中州にテントを許可していたのは信じられない。安全配慮が足りなすぎだ」
事故があった河内(こうち)川の下流にあるキャンプ場の男性経営者(66)は、こう指摘する。このキャンプ場では中州でのテント設置を禁じ、川岸に設置されたつり橋や県道など、複数の避難経路が確保されている場所を指定している。
被害にあった一家はキャンプ場内の店員に避難を促されたとされるが、男性経営者は「避難指示方法も含め、人災の側面があるのでは」と話した。
別のキャンプ場の女性従業員(42)によると、平成11年、同じ神奈川県山北町の玄倉(くろくら)川が増水し、中州にいた13人が死亡した事故を受け、川面から数メートル高い位置にキャンプ場を移動させた。さらに「雨が心配な場合は社員が近くで寝泊まりし、避難誘導を行う対策もとっている」という。
日本アウトドア協会の石川満好理事長(51)は「中州はそもそも川底の土砂が堆積してできた場所。常識的にテントを張る場所ではない」と驚く。バーベキューなどを含め、中州には長時間、滞在しないよう注意が必要という。
今回の現場は四輪駆動車で川を渡って中州に直接入れるよう整備されていた。石川理事長は「車は水に浮きやすく、水位が50センチも増えれば四駆でも流される」と指摘、「運営会社の責任は大きい」と非難した。
日本キャンプ協会もホームページで「中州は川底と同じと考え、テントは絶対に張らないように」と呼び掛けている。