神奈川県山北町のキャンプ場で会社経営・大森慎也さん(43)=同県藤沢市片瀬山=一家4人が車ごと川に流され妻子3人が死亡した事故で、一家がテントを張っていたキャンプ場の中州を、運営会社が無許可で形を変えるなどの工事を繰り返していたことが3日までに分かった。県は少なくとも過去6回、河川法違反で行政指導していた。
県によると、2008年4月、運営会社が無許可で中州に土砂を搬入したのを確認。同11月には無許可で上流側の埋め立てを行った。県はいずれも川の流れを変える行為で、河川法違反に当たると指導した。いずれも是正に応じたという。
運営会社は11年4月にも中州付近の山を無許可で採掘。県が指導したがこの時は是正しなかった。ただ、その後の台風の影響で地形は元に戻り、現状は違法状態にないという。
この運営会社は過去、別の公園内に無許可で宿泊用コテージを設置。原状回復も行わなかったため、当時の経営者らが書類送検された。事故の起きたキャンプ場では、中州以外の区域にトイレや洗い場などを無許可で設置。県の再三の指導に応じなかったため、12年3月に県は撤去を命令した。運営会社は取り消しを求め提訴したが横浜地裁は請求を棄却。今年7月、東京高裁は控訴を棄却した。
敷地は民有地で、キャンプ場経営には許可は不要だが、河川区域のため河川法の規制がかかる。運営会社は中州を「アドベンチャーゾーン」と呼び、四輪駆動専用区域として、利用者は浅瀬を車で渡って中州でテントを張っていた。
県はこうした工事について「現状での違法性はない」とした上で「事業者の責任で行い、キャンパーも増水などを自覚している以上、自由使用の範囲だ」としている。