教員統計調査:うつ病など精神疾患で退職教員969人に
毎日新聞 2014年08月04日 20時34分(最終更新 08月05日 01時43分)
2012年度にうつ病などの精神疾患が理由で退職した教員は、国公私立学校(幼稚園から大学まで)で前回調査(09年度)より18人多い969人に上ることが4日、文部科学省の調査で分かった。このうち中学校は前回より30人増えた。公立小中高校などの精神疾患による休職教員は11年度が5274人、12年度は4960人と年間5000人前後の高水準が続いており、専門家は「世界一多忙」とされる教員の環境改善の必要性を指摘している。
3年ごとに実施される「学校教員統計調査(中間報告)」で分かった。精神疾患による退職者数を調べたのは前回から。今回は、幼稚園218人▽小学校356人▽中学校227人▽高校124人▽大学38人▽短大6人。中学以外は前回調査と比べ増減はあまりなかったが、中学で前回より30人増えた。全退職者の理由のうち、精神疾患の割合も中学が約2・4%で最も高かった。
油布佐和子・早稲田大教授(教育社会学)は「中学校は仕事の領域が広い。教科指導の他に特別活動、部活動指導などで、手いっぱいの状況だ。中学1年で不登校が一気に増える『中1ギャップ』に顕著なように生徒指導の課題も多い。教員評価の導入によって、失敗できないプレッシャーもある。人手が足りない状況を解消すべきだ」と話している。
一方、公立小中高校の退職者数は、公立小1万8007人(定年退職67%、定年外33%)▽公立中8684人(定年退職57%、定年外43%)▽公立高6302人(定年退職70%、定年外30%)でいずれも前回を上回った。【三木陽介】
◇精神疾患での退職教員数
2009年度 12年度 増減
幼稚園230 218 −12
小学校359 356 −3
中学校197 227 +30
高校 123 124 +1
大学 37 38 +1
短大 5 6 +1
計 951 969 +18
※単位は人。国公私立含む。