テレ娘。

「テレビで見かけた娘。さんたち」 略して、テレ娘。 テレビ好きの目線から、画面に映った娘。さんたちについて触れます。

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Berryz工房が語っていた「今後の目標」

DVD
 Berryz工房が語っていた「今後の目標」 - テレ娘。
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8月2日、Berryz工房が来年春から「無期限の活動停止」に入ることを発表しました。

Berryz工房に関するお知らせ~ニュース詳細|ハロー!プロジェクト オフィシャルサイト Berryz工房に関するお知らせ~ニュース詳細|ハロー!プロジェクト オフィシャルサイト

 

途端にうねるSNSのタイムライン。「信じられない」「信じたくない」という言葉の連続に道重卒業以上の動揺が感じられ、古くからのファンであっても整理がつかない様子が見られたのが印象的でした。

繰り返されるハローの新陳代謝はBerryz工房も例外ではないのか、という無念の思いとともに、個人的に思い出してツイートしたのは、数カ月前に見た映像について。

 

 

衝撃のニュースなのにわたしが冷静に受け取れたのは、この映像に何か引っかかるものを感じていたからなのかなあと思っています。

 

 

10年を迎えて語った「今後の目標」

2月26日に発売されたBerryz工房ベストアルバム『Berryz工房 スッペシャルベスト Vol.2』に同封されたDVDの特典映像は、昨年の武道館公演を成功させたメンバーがまもなく丸10年を迎えるにあたり、本音に迫るインタビューがたっぷりと収録されており、非常に見所の多い映像になっていました。

中でも、インタビュー後半に用意された「今後の目標」は、7人分そろって聴けるという貴重な機会であるともにこれからを考えた時に興味深いものでしたので、該当部分を全編書き起こしてみます(要点は太字色付きにしています) 。*1

 

須藤茉麻

うーん、もう一度さいたまスーパーアリーナでライブやりたいなっていうのはありますし、やっぱりクチだけで言ってるんじゃなく、それはやっぱり形に残せるものにしたいなと思っていて、なんだろうな、なんかモーニング娘。とかオリコン連続3回とってたりとか、周りが実績を残してる中、「どうしよっか」っていうのは武道館前にみんなで話し合ったりしたんで、これから10年迎えて、どうなっていくのかな?っていうのは自分でも楽しみだし、それをやっぱり変えられるように7人で力を合わせて頑張って行きたいなって思ってます。

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仕事人かつチームプレイの人である茉麻。個人的な目標ではなく、チームとして何をしたいかということがイコール自分の目標であったようです。

 

夏焼雅

  • Berryz工房として:ハロプロの他グループと違うこと、ダンス強化、アジア活動
  • 個人として:ファッションの学校に行きたい、自分のことに時間をかけたい

Berryz工房、この先何年続くか分からないけど、でも、やっぱり……何か私たちのお仕事は、ライブをやってイベントやって、ゲキハロとかお芝居やって、同じ事を繰り返し繰り返しやっていってるんですけど、それと、ハロプロは統一の流れだからいいんですけど、でもそこにもう一個Berryzは違うこと、みんながやってないようなことを出来たらいいなって思って。それが何かって言われたら分かんないけど、何かきっと違うことをした方が、自分たちもやる気がもっときっと出てくるだろうし、世の中的にももっと知ってもらえるんじゃないかと思ったり。うん、そうですね……。

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あとなんか最近はダンスとかパフォーマンスもそうですけど、モーニング(娘。)がやってる何だっけ……フォーメーションダンスとかを色々やってて、今ダンスの方に力を入れてるというか、結構そういうのを感じてるから、Berryzもそういうところにもっと入り込んで行けたらいいなとか、どうしても何かちょっと違うジャンルになっちゃったりするから(笑)、そこを揃えてったりとかしたいなと思ったり。うん。あとはやっぱ……アジアBerryzは行くことがあったし、トンチャイさんのカバーさせてもらったりしたから、そういう活動ももうちょっとしていけたらいいなとか。

それはグループとして思うことで、自分だったら、もう21だし、うーんなんか、なんですかねえ……。やっぱり、なんかあれもやりたいこれもやりたいってのはあるんですけど、自分はファッションとかそういうの興味があるから、そういう学校に行きたいと思って、なんかそういう方向にも行きたいってのもあるし、でもお仕事もあるから、何かお仕事もやりたいし、ちょっと難しいのかもしれないんですけど、自分のことでももうちょっと時間をかけて考えていきたいなあと思ってます、はい。

 

おそらく副キャプテンとしてこの一年もっとも色々な可能性を考えていたであろう雅ちゃん。しかし、社交的な性格ゆえにこれまでの10年はメンバーの中でも泣く泣く仕事を優先する場面も多かったであろうことは想像に難くありません。

ファンの人は、Berryz工房の中心人物として信頼を寄せるとともに、個人としての可能性を見据えた言葉にも前向きに捉えてあげるべきであろうと思いました。

 

徳永千奈美

  • Berryz工房として:ライブ、海外公演
  • 個人として:なし

ライブがしたい!(きっぱり)

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なんか、今は1年に1回の単独ツアーがあって、でも、やっぱりなんだろ。前は秋ツアーもあって、なんだろうなあ、ライブする回数はたぶん普通に考えたら減ってるとは思うんですよ単独でライブする回数は。だけどBerryz工房の良さって一番出せるのはライブだと思うし、もっともっとライブをしてBerryz工房の良さを見てもらたいなって思います。

日本も全然行ってないとこまだいっぱいあるし、この間のナルチカでやっと四国に行けたりとか、10年目にして、行けたりとかする県もまだいっぱいあるから、もちろん日本国内も行きたいんですけど、タイとかあと韓国でも前ライブをやらせていただいて、なんかこう「Berryz工房、また成長しましたよ」ってところを韓国のみなさんとか、行った国とかまだ行ってない国とか、色んな人にBerryz工房を知ってもらいたい。1回行ったからもういいやとかじゃなくて、1回行ってまた成長しましたっていう、何かこう見てもらいたいし、一回行っただけで満足じゃなくて、タイも台湾も韓国もだし、アメリカも2回イベントで行かせてもらったんですけど、最初シアトルっていう場所でやって、そこに来てくれた海外から応援してくださるみなさんが、その1年後のニュージャージーでやったイベントにも来てくださってった方もいたし、なんか新たにBerryz工房のライブ来たよっていう方もいて、なんか日本以外にも待ってくれる人は沢山いるんだなって思って、海外にももっともっと行きたいなって思います。

 

お決まりの「アシカのトレーナー」という答えには全く及ばず、まっすぐな瞳でBerryz工房の一員であることを望み、Berryz工房だからこそできる幅広い海外展開の先鋒でありたいという明確なビジョンを持っていました。

 

菅谷梨沙子

  • Berryz工房として:生バンドorアコースティックのライブ、47都道府県訪問
  • 個人として:ファッション関係(服飾、ネイル、小物デザイン)の活動

1回℃-uteと一緒に何人か、Berryzも何人かでイベントみたいなライブをした時に、一日限りで、だけどバンドがその日入ってて、生バンドでハローじゃない曲を歌ってもいいっていう話だったんで、全然違うアーティストさんの曲を歌わせてもらったんですけど。なんか私初めての生バンドで歌って、なんかあの時の、すっごいもう緊張したし、だけど歌ってる時の、あのなんだろうすごい「ふわぁ~」みたいな何て言ったらいいんですかね、

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何て言ったらいいんだろう、言葉に現せないくらいすっごい気持ち良くって、お客さんとかも泣いてる方もいらっしゃってて、だからなんかそういうのを見てて、あたしやっぱり歌ってて良かったなってすごい思ったし。だし、なんかその後もまたあの曲歌って欲しいとか、またバンド入れて歌って欲しいなとか言ってくれる方もいたので、なんかアコースティックライブとかそういうのもやってみたいし。
この前秋にナルチカ? まあJuice=Juiceと周ったんですけど、普段周らない土地に行ったりとかして、初めて来ましたって方がすっごい多かったし、こうやって来てくれるのを待ってましたって人もすごい多かったし、やっぱりまだまだ行ってないところも多いので、そういうところで、ライブが出来なくてもまあイベントとかで、ホントになるべく近くでみんなに会いに行けたらいいなって思ったので。47都道府県に、全部とは言わないですけど、まあ時間をかけてでもそういうのをやりたいな、とは思います。

あとは、あたしやっぱファッションとかネイルとかそういうのがすっごい大好きなので、いま結構ファッション系の雑誌とかまあネイルとか色んなお仕事をやらせていただいて、何か色んな洋服着てその洋服に合ったメイクとか、そういうのがすっごいすっごい楽しいので、そういうのはやっぱやりたいとは思いますね。なんかあとまあ、アクセサリー作ったりとか自分でデザインとかしたりとか、そういうのをやりたいなと思います。

 

彼女の強みは自分の好きなものを見つけ、Berryz工房の活動との折り合いをつけられていることだと思います。

繊細な性格ゆえ、自分が何のために生きるのかという思春期の壁に思い切りぶつかり、辞めることを選択肢に入れながら葛藤をしてきました。今でも時折、自分自身を見つめる言葉をブログに投げかける様子が見受けられますが、それでも安定を保っているのは、Berryz工房と自分の好きなことに没頭できるライフワークとの二本柱にあるのかなあと思いました。

 

熊井友理奈

さいたまスーパーアリーナでライブをもう一度やりたいですね。

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やっぱ武道館をやってみて、もうほんとステージから見る景色が最っ高だったんですよ、もう夢のような空間で。その時にさいたまスーパーアリーナを思い出して、会場の大きさとかも違うし、やった内容も違うので、その時その時ですごいどっちも楽しかったんですけど、でもやっぱ初の最年少記録を残した場所でもあるので、もう一度あのステージに立って、花道を…ランウェイ歩きたいんですよ!モデルとかもやってみたいなって思ってもいるので、ライブとかの曲中に歩くとか、やってみたいってすごく思って。それが次の目標というか。あとは、武道館をやって、身近な人っていうか同世代の子とかなかなか普段ライブに来られない子たちに是非もっとライブを見てもらって、Berryzらしさを知ってもらいたいなって思います。

色んな夢は沢山自分の中では想像してるんですけど、モデルはこの身長になったからこそやってみたいことでもあるし、何て言うんだろう、結構私の憧れの人ってモデルさんがすごく多くって、飾らない女性になりたいってのが一番の目標なんですけど、その中でモデルって言っても、服を着こなすだけじゃなくて普通にランウェイ歩くとか、人間そのもののモデルというか、性格とかそういうのも関係してくると思うし。
あと、トールサイズの洋服をデザインしたいんです。結構自分が不便だなって思ってる「もうちょっとこう袖の丈が長かったらいいのに!」とかって思うことがあるんですよ「ちょっ、惜しい!」みたいな「あと2cm足りない!」みたいな。何かそういうことが結構あったりするんで、自分で作って、最近結構背の高い女性の方増えてるので、電車とかでも見かけるんで一緒に分かち合いたいというか、うふふ「私デザインするからみんなで着よう~」みたいな、そういう夢もあります。

 

Berryz工房という集まりの中で自分を見つけ、コンプレックスを払拭した熊井ちゃん。どんな時でも自分のものさしで物事に取り込むマイペースさを確保していて、貪欲さは目立たないけれども、自分の特長とそれをどう活かせるかという像はきちんと描けている様子。

中でも「人間そのもののモデル」という表現に心を打たれました。熊井ちゃんの憧れはトップモデルが持つ内面から出る美しさだったのです。芸能界では裏表のない人が成功すると言いますが、もしかして活動停止以降、真っ先に新しいフィールドで活躍するのは彼女かもしれません。

 

嗣永桃子

今わぁ秘密♪ってことで(笑顔)

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よろしくお願いします(真顔)

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7人の中でももちだけが、ここでの発言がいずれどのように影響するのか察知していたように感じます。

あるいは、武道館成功により充実した10周年の活動に向けて機運が高まり、グループとしてまとまりが大切となる場面、もしかしたら彼女が「秘密」というカードを返して率直に目標を語ると、その場面に似つかわしくない「個人プレー」という持ち札が現れるので控えたのかも……。現行の彼女の活躍ぶりを考えると、お仕事をそのまま拡大していくとグループでのスケジュールとの兼ね合いが難しいケースもおそらく多くあったはずで、活動へのジレンマをずっと抱えていたと思うんですよね。

活動休止以降、土日のスケジュールを空けられるので、長期ロケや週末生放送のレギュラーなど、今のタレント活動をそのまま拡大することが可能です。そちら方面の「秘密」であれば、今後実現に大きく近づくと思います。

 

清水佐紀

  • Berryz工房として:ずっと7人でやっていきたい
  • 個人として:分からない

そうだなあ、でも……ずっと7人でやっていきたい!
誰かが今入ることも考えられないし、誰が抜けることも考えられないから、きっと、なんか誰かが辞めるってなった時はBerryzの解散なんじゃないかなって思うぐらい、この7人でBerryz工房っていうのが、Berryzなんだなっていう風に思うので、誰も抜けること無くこの7人でやっていきたいなって思います。

(個人的には)会社の人にも訊かれたんですけど、なんか将来何やりたいの?って言われて、なんかこれっていうのが私特に無くて。

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「将来何やりたいですか?」とか言われても、なんかハッキリ答えられないんですよ。だからたぶん、Berryzが無くなっちゃったら私は何も無いからぁ、あははっうふふっ、どうなっちゃうのか想像がつかないです。
歌も好きだしダンスも好きだし、ライブがすごい好きなんで、ライブやりたいなとか思うんですけど、なんかBerryzじゃない自分が想像つかないから、なんかBerryzが無くなっちゃったらどうなっちゃうのかなって、あはははあははは……うーん。わかんないですね、私全然想像つかないです。
千奈美とか、アシカのトレーナーとか歯医者さんみたいな、歯科医になりたいみたいなこと言ってたんですけど。それはそれですごい楽しそうだなって。今までのこの10年ちょっとで経験できなかったまた新たなところにチャレンジするのはすごい楽しそうなんで、自分もそういうの見つかればいいなって思います…なんかもう自分、ほーんとに情けないなと思うんですけど一番年上でぇ、もっと将来のことしっかり考えろよって自分でも思うんですけど、なんかBerryzじゃない自分が想像つかないんで、それは、Berryzが解散してから考えることにします。あはははは。

 

実はこの前の場面で武道館を振り返り℃-uteとの友情を思い返して涙を流してしまい、だいぶヘラヘラとした状態で答えているのですが、それを差っ引いても、ももちとは対照的に無警戒に「遠い将来」のことを想像するキャプテン。今となっては、事実上その時は「半年後」にやってきます。

でも、そんな未来を実は分かっていたのかもしれません。知っていたからこそ、想像したくない選択肢だけに口に出すことさえ憚られ、具体的なイメージを作ることを放棄したのではないか。「Berryzが無くなっちゃったら私は何も無い」「Berryzじゃない自分が想像つかない」という表現は、不器用な彼女なりの、全てを捧げてきたグループへの愛の現れだったのではないかと思います。

 

 

わたしが初見の時点で引っかかったのは、普通に【将来】という言葉を使って語っていることでした。これから社会に出ようとする学生さんのような立ち位置で話していたのです。

画面のこちら側の「えっ、これからもBerryz工房でしょ?」というツッコミをよそに本音で語る彼女たちから、今が永遠ではないのだという雰囲気が何となく感じ取れたのですよね。

 

とはいえ、このインタビューからはすぐに活動停止する理由は見受けられません。おそらく様々な事情が重なってのことだと思うので、なぜと突き詰めても意味のないことで、ただ、これまでの成果を賞賛し、残りの半年を見つめ、これからの活動を応援したいです。

 

 

繰り返される WISH

彼女たちには、ハロプロへの深い「イズム」を感じます。

 

Berryz工房の個性

彼女たちが自他ともに認めるのは 【個性】 です。

 

学校生活やご近所さんなど、至る所に個性は存在します。クラスの窓際の席で寝ているのんびり屋も後ろの席で腕組みしてるヤンキーも、それぞれが個性。

これを社会全体に置き換えても良いです。ももちという商売上手の経営者や千奈美という自由人が共存するコミュニティがあったとして、それを堅実なキャプテンが運営する国があったとしたら、それは文字通り「小さな政府」による理想的な民主主義国家と言えるでしょう。

そんな規模の大小に関わらず、わたしたちの社会生活の中に見られる集団の縮図となれるのがBerryz工房だと思うのですよね。

何より大切なのは、そこに特別な主人公がいないということ。つんく♂Pはこのように表現しています。

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つんく♂「嗣永のええトコもあんねん、ばんばん入ってこれる性格やから。熊井と足してね、菅谷も足して、茉麻も足して、清水も足して、徳永も足して、割ったらちょうどええ人間が出来んのよ、一人の。 (雅ちゃんが入ってなかったことを指摘) ああ、雅も入れて。足して。みんな凄いのよBerryzぐちゃぐちゃになるのよ。」

熊井「そうなんですよね、ほんとバラバラだと思います。わたしたちでも思います。」

つんく♂ちょうどバランスええ奴がおらへんのよなぁ。そこがええねんけどね、いつも言うけど。」

 

『つんつべ♂ #85』(2013.02.07O.A.)

 

つんく♂Pの説明の手の動きの中に、一見バラバラな惑星たちが何故か太陽が居なくても見えない何かを中心にぐるぐると公転しているように見えた気がしました。ぐるぐる回りながら惑星が固まることであたかも一つの太陽のように光を放つ。いかにこのグループが上手く相互依存のバランスを保っているのだろうとしみじみ感心したのを憶えています。

 

普通という言葉に収まる人間なんて誰一人として居ない、それぞれが「存在」しているのだという つんく♂ワールド を体現する個性の集まりなのです。

 

かつての個性派集団

かつて、ハローの歴史の中に、世の中の縮図のような個性派集団がいました。

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モーニング娘。'00」です(便宜上「'00」をつけます)。ファンも国民もこの10人を『黄金期』と呼びました。当時のメンバーが全て退いて以降、長らく黄金期を引き継いできたのは、わたしはBerryz工房であると思っています。

今の現役ハローメンバーの中で「モーニング娘。後藤真希」と同じ舞台に立った経験を持つのはベリキューの12名だけです。黄金期を見てオーディションに飛び込んできた子どもたちがハロープロジェクトキッズとなり、中でもいち早くデビューしたBerryz工房はそんなモーニング娘。を追いかける所からスタートしました。

ゆえに、今の彼女たちが自負する「個性」は、元々備わった彼女たちの素養以上に、目標に近づこうとすることで後天的に獲得したものなのではないかと思うのです。

(参考:なぜハロプロはアイドルのトップブランドでいられるのか? …答えはハロプロのみが持つ「ある特徴」にある - テレ娘。 )

 

かつての個性の集まりを象徴する『I WISH』という曲があります。 

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新聞配達、花屋、ホットドッグ売り、警察官、空手家、クリーニング屋、その他、街を歩く女性も男性も子供も、誰も主人公ではない社会の縮図として描かれた彼女たちは、希望を持って生きる素晴らしさを世に発信しました。

Berryz工房10周年の記念のシングル『普通、アイドル10年やってらんないでしょ!?』がアイドルファンの間で大きな話題となりました。世間一般への訴求力は敵いませんが、リアルをからめたメッセージの強さはこれに負けず劣らぬものであったと思います。

 

『I WISH』の半年後、モーニング娘。'00の体制は解体します。この曲のテーマは HOPE ではなく WISH 、つまり、「そうなってほしい」という実現可能な望みではなく「そうだったら良かったのに」という叶わぬ願いです。

それ以降、新陳代謝を繰り返すハロプロの物語のベースとなる概念なのですよね。

 

「おばあちゃんになってもBerryz工房

3年前のハロコンMCで、ももちは演じました。

--MCテーマ「おばあちゃん役の芝居が上手そうな人」の第3位に選ばれて

まこと「ここは演技力で見せていただきたいと思います。それでは3位の嗣永さんから」

嗣永「設定は、未来のわたしの90歳」

まこと「お願いします」

嗣永「今日は306枚目のシングルのリリースイベントだのお~。台本をチェックしなくては…。よし、ステージに向かうかのぉ。みなさんこんにちは。みんなのアイドルももちだよおぉ」

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/『Hello! Project 2011 SUMMER~ニッポンの未来はWOW WOWライブ~』(2011.08.14)

 

10年目に入った時も、ももちは言いました。

 

「皆さんの愛情を小指でタッチして、これからも20周年、100周年と頑張っていきたいと思いますので応援よろしくお願いします。(ディカプリオが)『俳優辞めないよ』っておっしゃっていましたが、ももちは大好きなアイドルを辞める気は全くありません」と言い切った。

ももち「大好きなアイドル辞めないよ」 - 芸能ニュース : nikkansports.com(2013.03.03付記事)

 

10周年を控え、キャプテンは言いました。

清水「ずっと7人でやっていきたい」

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10周年に触れて、千奈美は言いました。

さんま「仕事として11歳からやってるのか、すごいなあ」

徳永「人生の半分ですね」

さんま「どれぐらいまでやるんやろうね、Berryz工房もねえ」

徳永「わたしはぁ、おばあちゃんになってもハロープロジェクトに居続けたいと思っています」

さんま「居られる方の身にもなってえ」

徳永「ダメですかぁ?」

道重「後輩とかが(笑)」

さんま「そうそう」

道重「気ぃ使いますよね(笑)」

徳永イヤです、一生居たいですよ!

 

/『ヤングタウン土曜日』(2014.01.18放送)

 

おばあちゃんでもアイドル。そんな寓話のようなお話にも、どこか真実味を感じていました。彼女たちにとって「Berryz工房」以外の選択肢は無いんじゃないかとも思っていました。そんなことあるはずもないのに。。

個性を発信し続けた彼女たちが一区切りを迎えたこのタイミング、終わりが来ることを考えたくないファンや本人たちやBerryz工房を取り巻くすべての人たちの「そうだったらいいのに」という願いは、やがて「そうはならなかった」という現実に帰結していく儚い WISH となっていきました。

そう考えると、Berryz工房が迎える結末は、まぎれもなくハロプロらしい歴史の一部なのですよね。

 

 

なぜ永遠を信じていたか。彼女たちには信頼に足り得るものがあります。

ハロプロキッズのニュースが出た時、世間は「企画物」として受け取りました。ファンの間でも、幼い子供に夢中になる一部のモーヲタを他の引き気味なモーヲタたちが笑う温度差がありました。その時すでに、モーニング娘。も斜陽が始まっていて、キッズもすぐに終わるものだと思われていました。


※今となっては希望に満ち溢れるこの映像も、実は当時世間から注目を集めるものではなかった。

 

しかし、キッズメンバーだけでメジャー活動する権利を得たBerryz工房は同世代の憧れになろうと努力と我慢を重ね、梨沙子が中学に上がる頃には笑う者は居なくなり、アリーナ公演は成功を収めます。℃-uteとともに紅白出場を喜ぶ映像にファンは明るい未来を期待しました。

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ハロプロがテレビから姿を消した後も、彼女たちはライブに舞台に海外展開やアニメとのコラボなど、多岐にわたる仕事に取り組みました。この頃にはとっくにプロ意識を備えるアイドルです。

奇しくもこの頃から始まる「アイドル戦国時代」の感動的なプロモーションでフィーチャーされるグループとは異なる性格のそれになっており、それ故、外部との比較やハロー内の他グループの活躍と比較されて「事務所も本人たちもやる気あるの?」と囁かれました。

でも、それは相対的な不満であり、彼女たちは彼女たちなりに自身のペースで一つ一つのお仕事をこなしてきたと思うんですよね。

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現に、毎ツアー足を運ぶ者をのぞく多くのライトなハロプロファンにとっては、たまに観るハロコンモベキマスベリキュー、印象的なMVなど、「やっぱりベリはいいね」と前向きな確認を繰り返すことは多かったはずです。実は小さな信頼はコツコツと積み上げられていたと思うんです。

そして、積み上げられてきた信頼の山は武道館公演で一気に形になって現れました。

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本人たちには「いつも通り真剣」であっても、久しぶりに見る大舞台できちんと仕事をする彼女たちに、わたしたちは「ベリの本気」を見る思いがした。でも、それはこれまでの小さな積み重ねの結果に過ぎない。そういうことだったのだと思います。

そんな彼女たちの繰り返しの仕事ぶりにより、いつの間にかわたしたちの「当たり前」になっていたBerryz工房は、いつまでも当たり前に続くような気がしていたのですよね。

 

ファンが寄せる信頼、活動停止の残念無念、すべては彼女たちのプロの仕事によるものだったと思います。

 

 

しばしば、アイドルについて「夢を見せる職業」という言葉が聞かれます。一生Berryz工房で居るという、夢かうつつか見まごう景色を見せ続けてきた彼女たち。そんな夢を信じさせたという事実は、彼女たちがアイドルのプロ集団であったという何よりの証拠なのだと思います。 

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

きっと彼女たちは一生続けてくれるはず……そう思ってしまったわたしたちは、知らぬ間に一生解けない『魔法』にかかっていたのでしょう。

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*1:※以下はあくまでテキスト情報ですので、気になった方は是非アルバムをお手にとっていただきたいです。MVを観ただけではライブの臨場感が分からないのと同様、話しぶりを見て初めて実感が伝わる部分は多いと思います。また「今後の目標」以外もたっぷりインタビューがあります。