韓国はそれまでの成長一辺倒から先進国への仲間入りを果たすために、オリンピックなどを開催し、文化的にもグローバルになろうとしていた。そんななか、一人っ子政策などで兄弟がいない代わりに親たちが集中ケアをした世代だ。
激しい競争が格差を拡大、固定化した負け組
彼らには親の世代ができなかったことを何でもやらせようとし、教育熱心な親は父親の犠牲のもとで「雁パパ(韓国語ではギロアッパ)」(子供を早期留学させるために母親が留学先へ同伴し、父親は仕送りをする家庭)という韓国特有の文化の恩恵を受けた子供たちである。
そんなに大事に育てたのに、なぜ「三放時代」などと卑下するのか。答えは意外にシンプルである。ますます格差社会になり、ヒエラルキーの中での移動が困難になっているからだ。
親の世代は、目に見えるように独裁や圧政があり、それを見た人たちは反政府派となって闘い、圧政反対とかのデモをした。彼らは目の前で起こっている不条理や独裁に対して真っ向から闘いを挑み、民主化を勝ち取った。
民主化すれば皆が幸せな国になると思われたが、現在は目に見えない差別が存在する。巧妙に仕組まれた差別を受けると、それを受けとめる側は、元々こんな感じなのかと素直に受けとめてしまう。
民主化され、平等だと言われつつ、実際は巧妙に格差を固定する仕組みに変わっているのだ。
例えば、教育においてどんどん格差が生まれている。昔は、勉強さえできれば名門大学に進学できたが、今の状況では勉強だけでは入れないと言われている。
付加価値をつけなければ名門大学には進学できなくなる仕組みになった。その付加価値こそ、お金がなければつけにくいもので、普通の学校では教えてくれない。私費を使って獲得した子供たちが有利になるようになっているのだ。
名門大学に進学できないと、大企業に就職することが困難になる。大手企業に就職できないと、中産階級にとどまることができない。
大手企業の中ではサムスン電子が唯一学歴を見ないと言われてきたが、昨年、史上最大の人数(約9万人)が受験したことで、試験を受けさせるだけでサムスン電子の負担が増えたので、今年からは多少の選別をすると発表している。