itou - 資産運用 09:00 PM
借金生活から抜け出した米人気ブロガーが教える「投資への恐れ」を克服する方法
先日、米ライフハッカー読者から「(パーソナル・ファイナンスの)次のステップは何ですか?」という質問をもらいました。マネー系ブログ「Get Rich Slowly」を主宰するJ.D. Roth氏がこの質問に答えています。次のステップは...「投資」です。
なぜ投資が重要なのか?
なぜ投資なのか? 私たちが収入を得る方法は基本的に次の2つしかありません。
- 仕事(労働やビジネス)
- 投資
多くの人は1から始めて2を目指します。J.D.氏もそうでした。彼は少し前に2に移行しました(つまり、収入を投資から得ている)。もちろん、負債を無くし、倹約に努め、できるだけ貯金をするのが2へ到る王道です。いくつか間違いを犯しながら、私もなんとかそこに到達しました。
2に至ってこそ、欲しいものをを好きなだけ買う自由が得られます。
私たちが投資を恐れる理由
投資に関するパラドックスがひとつあります。投資がそれほど良いものなら、投資に対する賛否がいまだに別れているのはなぜしょうか? 多くの人が、投資を当たり前の選択肢として受け入れていません。かつては私もそうでした。
先日、ある人から、あなたが投資を始めるのがそんなに遅れたのはなぜ? と聞かれました。私はファイナンスの教育を受けており、投資に対する知識も一般の人よりは持っていました。多くの人と同様、私も明確な理由がないままこの問題を避け続けてきたのです。一方で、いつも投資のことが頭の片隅にありました。あるときから、私は周囲の人たちに、あなたはなぜ投資をしないのか? と尋ねて回るようになりました。人々が口にした一番の理由は「恐れ」でした。
私は何を恐れていたのでしょうか? 人々は投資に対してどんな恐れを感じていたのでしょうか?
- 失敗することへの恐れ(感情的な問題:バカな奴に見られたくない)
- 失敗することへの恐れ(現実的な問題:お金を失いたくない)
- 詐欺にひっかかることへの恐れ
- 投資のことが理解できなくて、知性がない奴だと思われることへの恐れ
例えば。ある若い友人は、思いがけず祖母から遺産を相続しました。彼女の祖母はたいへんな倹約家だったらしく、周囲が予想していたより何桁も多い額の財産を残しました。私は彼女に、この棚ぼたの大金を投資に回すつもりかと尋ねました。驚いたことに、彼女は投資など考えもしていないと言いました。いったいなぜ?
彼女はお金を失うことを恐れていました。恐れのせいで、将来に渡って大金を受け取り続けるチャンスを逃していました。彼女は恐れる必要があるのでしょうか?
実際、恐れる必要はある?
あなたはすでに、大きなリスクがあることを毎日しています。仕事と運転です。どちらも大金を失うリスクをはらんでいます。でも、あなたはリスクをそれほど恐れず、毎日それをしています。
なぜそれができるのか? 「知識」があるからです。
あなたは日々、仕事と運転のやり方を学んできました。例えば運転。運転技術は当然として、その他にも、リスクを避けるために身につけた大事なスキルがいくつもあります。スピード違反で捕まったときに、警察官といかに交渉するかもそのひとつ。仕事のスキルを身につけるには長い時間と労力が必要です。誰でもその過程で過ちを犯します。笑い話で済むこともあれば、大惨事を引き起こすこともあります。
しかし、よく考えてください。仕事で失敗したからといって、仕事はリスクがあるからやらないことにする、とは誰も言いません。また、友人が失業したのを見たり、新聞で大量解雇のニュースを見たからといって、仕事をしない理由にはなりません。それなのに、多くの人が、お金を失う恐れがあることを理由に、投資に踏みだそうとしません。
では、お金を失う恐怖を克服するにはどうすればいいでしょうか?
投資先を選ぶ
株式や投資信託だけが投資先ではありません。投資先の候補はざっとこれだけあります。
- 普通預金
- 譲渡性預金(CD)
- 債券
- 不動産
- 株式
- 商品
- 先物
- オプション
- 貴金属
- 上記ののいずれか、またはすべてに投資する投資信託
- 民間企業
譲渡性預金や普通預金などは、とても安全な投資先です。譲渡性預金でお金を失う可能性はほぼないと言っていいでしょう。債券も長期で保有するならかなり安全です。
そんなところへ投資してもたかが知れてるって? その通り。でも、あなたは安全な投資がしたいのでは? 大きなリターンが狙える投資がしたいのでしたっけ?
アラスカは広大過ぎて、道路がほとんど整備されていません。そのため、ブッシュパイロットと呼ばれる職業があります。小型飛行機で人や物資をあらゆる場所へ、あらゆる天候でも送り届ける仕事です。しかし、アラスカは悪天候で有名であり、パイロットにとっては過酷な土地です。そんな、全米一の面積を持つアラスカ州にはこんなことわざがあります。「アラスカにはベテランパイロットも無鉄砲なパイロットもいるが、無鉄砲なベテランパイロットは1人もいない」
投資にも同じことが言えます。安全な投資と、ハイリスク・ハイリターンの投資があります。しかし、安全でハイリターンな投資などありません。もしあるなら、大勢の人が大金を稼いで本でも書いています。
ポイントは、安全に投資したいなら、安全な投資先がちゃんとあるということです。
投資の基本
仕事もリスクがあり、運転にもリスクがあります。しかし、知識をつけることでリスクを減らしているのです。どこで取り締まりをしているか知っていれば、スピードを落とすタイミングもわかります。
同じく、投資の基礎を学べばリスクはかなり減らせます。テーブルの拭き方よりは難しいですが、ロケット科学よりは簡単です。何百万人もの人ができるなら、あなたにもできるはずです。
投資を学ぶことの利点は、投資を始める前にできることです。知識をつけるほど、単純な罠や落とし穴にははまらなくなります。投資に対する恐れも小さくなります。他のことと同じです。
知識は力です。そして、インターネットがある現代、知識は無料で手に入ります。未知なものへの恐れは誰にだってあります。しかし、恐いからといってそれを無視するのは違います。恐いなら学べばいいのです。
知識は力です。この力を使わないのは、未来の可能性を自ら奪っているようなものです。
得意分野を見つける
もしあなたが、人と接するのが得意なので、不動産貸付が自分に向いていると思ったなら、ただチャレンジしてください。まずは家賃所得について学びましょう。成功と失敗を分ける要因とは何かを調べてください。不動産物件を買うお金が貯まるころには、単純なミスは犯さないだけの知識はついているはずです。
「こうすれば絶対うまくいく」には乗らない
競馬から株の投資に至るまで、「こうすれば絶対うまくいく」という話がそこかしこで囁かれています。「誰かがデビーにChipotle社の株を買えと囁いたおかげで、今や彼女は億万長者だよ!」しかし、思い出してください。かつて、サーキットシティ社の株が安いから今のうちに買うべきだと誰かから囁かれませんでしたか? そして、結果はご承知のとおりです(のちに経営破綻)。こうしたヨタ話はとくに安い株についてよく出回っています。
投資の「絶対うまくいく話」は、映画スターに似ています。1人のジュリア・ロバーツの陰には、1万人の無名俳優がいるのです。
株への投資に関して言えば、小さいリスクで比較的大きなリターンが期待できるポートフォリオがいつくも公開されています。ひと月に一度、週末に2時間も勉強すれば、投資を始められるでしょう。
事前準備をぬかりなく
現時点であなたの最大の関心事は負債を返済することかもしれません。もちろんそれは良いことです。しかし、それが投資に踏み切れない理由だとしたら、もう一度考えてください。お金がないときこそ、投資について考えるにはベストな時です。(お金を失う心配があれば、無知からチャレンジする気は起きないものです)
失業する人がいるという理由で、仕事を回避しますか? 事故が多いという理由で、運転をやめますか? おそらくそうはしないでしょう。ではなぜ、お金を失うかもしれないという理由で、投資を回避するのでしょうか? リスクを乗り越えるための知識が無料で手に入る時代に生きているというのに。
William Cowie(原文/訳:伊藤貴之)
Photos by Wolfgang Lonien and Maxime Mc Duff.
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