2014年8月4日(月)

男の育休「賛成9割、取得2%」の理由

女の言い分、男の言い分

PRESIDENT Online スペシャル

著者
佐藤 留美 さとう・るみ

佐藤 留美1973年東京生まれ。青山学院大学文学部教育学科卒。出版社、人材関連会社勤務を経て、2005年、企画編集事務所「ブックシェルフ」を設立。20代、30代女性のライフスタイルに詳しく、また、同世代のサラリーマンの生活実感も取材テーマとする。著書に『婚活難民』(小学館101新書)、『なぜ、勉強しても出世できないのか? いま求められる「脱スキル」の仕事術』(ソフトバンク新書)、『資格を取ると貧乏になります』(新潮新書)、『人事が拾う履歴書、聞く面接』(扶桑社)、『凄母』(東洋経済新報社)がある。東洋経済オンラインにて「ワーキングマザー・サバイバル」連載中。

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佐藤留美
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■編集部より指令

経済広報センターが今年始めに行った調査(「女性の活躍推進に関する意識調査」)によると、男性の育児休暇取得について、92%が賛成と回答。

一方、実際に育児休暇を取得した男性はたったの1.89%(2012年)で、この5年間ほぼ横ばい。そのうえ取得期間が短く、「1カ月未満」が8割を占めています。

政府は「2020年までに13%」の目標を掲げていますが、なぜ、男性の育休取得は進みにくいのでしょうか。

■佐藤留美さんの回答

日本企業で評価される男の3条件

日本で男性の育児休暇取得が進まない理由は、国も会社も実のところ、男の育休取得を奨励していないからだと思います。

つまり、男性も育休を取得できるという「制度」はあっても、それを実際取るという「風土」がない――。

それどころか、男性が育休を取得した場合、多くの会社では「アイツ、終わったな」という風に見られてしまうとは、複数の会社の人事担当者から聞いたことのある話です。

あまつさえ、育休を取得した男性の評価を下げるなど、ペナルティを与える企業があることも、私は知っています。

なぜ、日本は育休取得男性を罰するのか?

それは、日本の会社では、休まず、長い時間会社にいる奴がエライとみなされる――長時間労働至上信仰――が未だに強いからだと思います。

日本の会社では、一に便利な人間、二に役立つ人間、三に和む人間が評価されるという話を、ある大手企業の元役員から聞いたことがあります。

(1)の便利な人間とは、上司がムシャクシャして飲みに行きたい時やタバコ部屋に行きたいときなどに「行くぞ」と一声かければ「ハッ」と付いてくるような人間。

(2)の役立つ人間とは、その人にしかできない複雑な仕事を切り盛りできるなど、いわゆる仕事の出来る人間。

(3)の和む人間とは、いわゆるムードメーカー。宴会の盛り上げ役が得意など、部の雰囲気をよくする人間です。

この基準で言うと、厳密に仕事の質で評価されるのは(2)のみ。あとは、会社に長くいてナンボ、上司にみっちり張り付いてお仕えしてナンボで評価される世界です。

だからこそ、育休を取得する等育児に熱心な男性は、いくら(2)の要素が高くとも、(1)と(3)が低いと評価が減点されてしまうのでしょう。おかしな話です。

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