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【ブログでコント書いて伝わんのかね?】シャチク


ブタ待ち受け / ryumu

 

 

『シャチク』作:水輪ラテール

 

夫と妻が居る。

夫は、ネクタイを外したスーツ姿のまま、ソファーにだらしなくもたれかかっている。

妻は洗濯物を畳むなどしている。

 

夫「あーーー。疲れたーーー。」

妻「……。」

 

間。

 

妻「さっさとシャワー浴びなよ。」

夫「ぅあぁ。………今何時?」

妻「2時。」

夫「うあぁー。社畜ツレー…。」

妻「今に始まったことじゃないでしょ。ほら。」

夫「(ため息)そうなんだけどさ。もー、今日は上司からブーブーブーブー言われてさぁー。」

妻「みんなそんなもんじゃない?どこだって。」

夫「そうなのかもしれないけどさ。部下も部下で、キャンキャン吠えるし。」

妻「いいじゃない、動物園みたいで。」

夫「…え?」

妻「……え?」

夫「いや、別に。そんでさ、最悪だったのはクライアントでさ。もー、ひどいんだよ、キーキー言っちゃってさ。」

妻「キーキーねぇ…。」

夫「部下がゲコなのに、無理やり付き合わされて。そいつゲロゲロしちゃったし。」

妻「ゲロゲロ…。」

夫「それでいて社長は高級車乗り回してウホウホしてるんだからさぁ。」

妻「ウホ…?あの、あなたの会社って…?」

夫「え?おい、何言ってんだよ。電子機器作ってる会社だろ。」

妻「あ、ああ。そ、そうよね。」

夫「あーあ。明日もあのブタ野郎のクソ片付けるのかぁ。」

妻「え?え?」

夫「は?」

妻「電子機器作ってるんでしょ?」

夫「ああ。ほら、会社っていろんな部署あるし。」

妻「そ、そう…。その上司って、どんな人なの?」

夫「どんな、って。うーん。太ってて、なんでも食べ散らかして、胴長で短足で。」

妻「……ほ、ほんとにブタみたいだね。」

夫「え?」

妻「あ、いや、ほら、そのー、ブタの特徴を兼ね備えて」

夫「(笑う)おまえ何言ってんだよ。」

妻「は、はは。そうよね、失礼よね。」

夫「…ブタなんだから当たり前だろ?」

妻「(やや考え)…えっとー」

夫「え?お前もしかして部下も人間だと思ってるの?」

妻「違うの!?」

夫「(笑う)バカだなぁ。」

妻「え、いや、ちょっと、どういうこと?」

夫「どういうって、そのままだよ。ブタがブーブー言うし、犬がキャンキャン吠えるし。」

妻「え?え?え?で、電子機器作ってるのよね?」

夫「うん。電子機器作ってる。」

 

やや長い間。

 

妻「はあ!?」

夫「え?なになになに?」

妻「え、てことはあなた毎日会社で何してるの?」

夫「何って。排泄物を片付けたり、餌を出したりしてるよ。」

妻「電子機器は?」

夫「ああ、部署が違うから。」

妻「部署…、え?てか、上司がブタで部下が犬なの?」

夫「社長はゴリラね。」

妻「え、なに?それ動物園じゃないの?」

夫「何言ってんだよ。動物園じゃ上司が動物なんてありえないだろ。」

妻「企業でもありえないわよ!」

夫「そうだよなぁ。そこがブラックな所なんだよなぁ。」

妻「違う、違うの、そういうことじゃないの。」

夫「まあほら、そうは言っても、上司も部下も結局社畜、ってことでは一緒なんだよな。」

妻「家畜!ただの家畜だから!」

夫「なに怒ってんだよ。大丈夫だよ。サビ残ばっかだけど、俺頑張るからさ。」

妻「いや、なんていうか、そういう問題じゃないというか…。電子機器メーカーなのよね?」

夫「電子機器メーカーだよ。」

妻「…おかしいと思わないの?」

夫「もう慣れちゃったからなぁ。」

妻「…あの、同僚に、その、…人間は居るの?」

夫「うーん。中には優しくしてくれる霊長類がいるけど。こないだ落ち込んでたら毛づくろいしてくれてさ。」

妻「(頭を抱える)」

夫「いや、でもほら。他所の会社だって、人のことを人とも思わない人間が居るわけだろ?そしたら、人間なんて居ても居なくても変わんないじゃん。」

妻「深っ!深いけど、そういう問題じゃないでしょ?」

夫「(深い溜息)もー、わかった。もー、わかったから。とりあえず明日も早いし、シャワー浴びるよ。バスタオル頂戴。」

妻「……。(バスタオルを取り出す。)」

夫「(上半身の着ているものを脱ぎながら)実はさ、今日人事部の人が来てさ。そろそろ、昇進してもいい時期だ、とか言ってくれてさ。そしたら、ちょっとだけだけど給料もあがるからさ。その内、少し遠くに旅行でも行こうよ。」

 

上半身ハダカになった夫の肩に、3桁の数字が書かれている。

 

妻「え?何その肩の?」

夫「え?ああ。人事部の人が、昇進の準備用だって。(タオルを妻から取る)」

妻「昇…。」

夫「(風呂場へ向かいながら)ドナドナド~ナ、ド~ナ~♪電車にの~って~。ドナドナド~ナ、ド~ナ~♪社畜はキーツーいー。(風呂場へ入る)

 

妻、急いでスマホ(もしくはPC)を起動する。

 

妻「(入力しながら)質問があります。ブラック企業に勤める夫の事です。どうしても、夫の事が理解できません。完全に家畜として扱われているようなのですが、気づいていないようなのです。こんな時はどうしたら良いでしょうか?もしホントにこのまま家畜として処理されてしまったらと思うと、凄くコワイです。至急回答をお願い致します。………。(回答に気づいて)はやっ!?えーっと……。ウホ、ウホウホ、ウホ。ウホ、ウホウホ、ウホーホ、ウホウホ。ウーホ。ウホ。」

 

妻、頭を抱える。

 

終了。

 

 

あとがき

まあ、居ないと思いますけど、上演したい人いたら、

f:id:do-demo-e-jump:20140715141204p:plainまでご連絡くださいませ。

 

 

 

 
 
 
☆あの素晴らしい愛をもう一度
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