ガザ地区 停戦維持できず 死者1500人8月2日 6時39分
パレスチナ暫定自治区のガザ地区でイスラエルとイスラム原理主義組織ハマスの合意に基づいて始まった停戦は、一部で戦闘が続けられたため維持できず、ガザ地区の死者はさらに増えて1500人に上っています。
ガザ地区では1日、イスラエルとハマスが合意に基づいて72時間の停戦に入りましたが、まもなく南部のラファで激しい銃撃戦が起きるなど一部で戦闘が続き、停戦は維持できませんでした。
1日の戦闘でイスラエル軍は、ハマス側に兵士1人が連れ去られた疑いがあると発表し、イスラエルのネタニヤフ首相は、ハマス側が先に停戦の合意を破ったと強く批判しました。一方、ハマスの報道官は「イスラエル軍がラファに侵入したことで停戦が破られた」と強調し、双方による非難の応酬が続いています。
こうしたなか、ガザ地区の死者はさらに増え、これまでに1500人に上っています。
停戦の合意では、イスラエルと、ハマスを含むパレスチナの代表団が、エジプトのカイロで長期にわたる停戦の枠組みについて協議を行う予定になっていますが、1日は開催されませんでした。仲介に当たっているエジプトや国連などが双方に協議に応じるよう呼びかけていますが、実施されるかどうかは不透明で、停戦に向けた調停の難しさが改めて浮き彫りとなりました。
国連事務総長「衝撃受け深く失望」
パン・ギムン事務総長は1日、報道官を通じて緊急の声明を発表し、現地時間の1日に停戦に入ったあと、イスラム原理主義組織ハマスがイスラエル軍の兵士を拘束したことなどが伝えられていることについて、「このような行為は停戦の合意に違反するもので、国連のハマスに対する信頼性を疑問視させることにつながる」と強く非難し、兵士の即時解放を求めました。一方で、イスラエル軍がガザ地区への攻撃を再開し、パレスチナ側に多くの死者が出ていることについて強い懸念を示しました。そして、停戦が事実上、短時間で破られたことについて、「衝撃を受け深く失望した」としたうえで、双方に対して、合意した72時間の停戦に戻るよう呼びかけました。
米大統領「われわれは努力し続ける」
アメリカのオバマ大統領は1日、ホワイトハウスで記者会見し、パレスチナ暫定自治区のガザ地区の情勢を巡って、イスラム原理主義組織ハマス側に「停戦が発表されたあと、イスラエル軍の兵士1人を連れ去るなどした責任がある」として、強く非難しました。そのうえで、イスラエル兵を直ちに無条件で解放するよう求めました。そして、「停戦は破られ、元に戻すのは難しいことだが、われわれは努力し続ける」と述べ、アメリカとして粘り強く停戦に向けた働きかけを続けていく考えを強調しました。
エジプト「代表団協議行われず」
エジプトは双方の代表団による協議を呼びかけていますが、エジプト外務省の報道官は1日夜、NHKの取材に対し、協議が行われていないことを明らかにしました。そのうえで、停戦が維持できなかったことについて、「双方には話し合いのテーブルにつくよう引き続き呼びかけている」と述べ、2日以降も協議に応じるよう双方に求めていく考えを強調しました。
悪化する避難所の生活環境
激しい戦闘が続くガザ地区では、攻撃から逃れて避難所で暮らす人が25万人に上るほか、発電所などのインフラが破壊され、生活環境が著しく悪化しています。
ガザ地区の避難所を開設しているUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関の清田明宏保健局長が1日、東エルサレムでNHKの取材に応じました。この中で清田局長は、避難所の状況について、「1つの教室に70人から80人が一緒に住んでいる状態だ。食料は徐々に確保できたが、水が無く、トイレや風呂が使えず衛生状態が悪いため疫病が起きることを危惧している」と話しました。また、けが人の対応に追われている病院についても「ガザの人たちは非常に頑張って暮らしているが、どこまでもつか。保健所や病院で働くスタッフも重労働なうえ、スタッフ自体が避難民なのでいつまで力が続くのか懸念している」と述べました。そのうえで清田局長は、「戦争に勝者はないが、ガザの人々は最大の敗者になってしまう」と強調し、一日も早い停戦の実現を訴えました。
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