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2013年6月18日
【畑山敦子】 心を病んだ人や認知症の人を、治療の必要がある場合に、本人の意向にかかわらず入院させる「医療保護入院」という制度があります。これまでは親や配偶者などが「保護者」となり、同意する必要がありました。精神保健福祉法が改正され、来春から手続きが変わります。1人に負担を集中させないためという名目で、3親等までの親族なら誰でも同意できるようになります。ただ、「強制入院が増える恐れがある」など批判の声があがっています。
■今まで
配偶者・親など保護者が同意
「退院後恨まれ続ける」本人との確執に苦悩
医療保護入院は、暴力的な行為や徘徊(はいかい)などで治療が必要なのに入院を嫌がったり、病気を正しく理解できなかったりする場合に利用される。
医療保護入院の数は約13万1千人(2010年、厚生労働省調べ)。精神科病院の入院患者の約4割に達する。統合失調症など精神を病む人が55%と一番多い。ただし21%は認知症の人で、年々増えている。65歳以上のおよそ7人に1人が認知症という現在、誰もが無縁とは言い切れない制度だ。
今の法律では、医療保護入院、さらに退院の同意も「保護者」の役割だ。保護者になれる人は1人で、優先順位は決まっている。(1)成年後見人(2)配偶者(3)親権者(4)扶養義務者の順だ。ただ、成年後見人がいるケースはまれで、ほとんどは3親等以内の親族が担っているのが現実だ。
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