オイコノミア「あなたは何に“投資”する?」(後編) 2014.07.23

もし宝くじで100万円当たったらあなたは何に使いますか?1年間海外旅行行きますね。
シルクロードですかね。
勉強します。
勉強?はい。
自分で株買って。
うちにメス犬が2匹いますけどまだ寂しいので2匹買い足して犬のための何かを買います。
預金に回します。
預金に。
はい。
やっぱり老後のことを。
老後といってももう私老後ですけど。
フフフッ。
東京に引っ越す。
東京に引っ越す。
ダンスのLA旅行に行きたい。
ロサンゼルスに。
100万ですか?ためます。
貯金。
全部貯金。
物欲ってあんまないんで。
なるほど。
あなたの100万円を「もっと価値ある100万円」にしませんか?ということでテーマは「投資」!そもそも…そのお金消費するか財産にするかはあなた次第!
(テーマ音楽)又吉さんクラウドファンディングってご存じですか?名前は聞いた事あるんですけどよく分かってないですね。
夢をかなえるツールとして今注目されているシステムなんですよ。
最近では行政も取り入れています。
鎌倉市ではクラウドファンディングで一般からの出資を募りその資金で散歩道の案内板を作るなど街の活性化に役立てています。
これも社会的文化的な資本を高めているので経済学でいう「投資」なのです。
実はね今日撮影させてもらっているこの場所もクラウドファンディングで実現しようとしている夢の舞台なんですよ。
ここがですか?はい。
今日はねここのオーナーの森さんに登場してもらいたいと思うんです。
どうぞ。
(2人)よろしくお願いします。
(森)よろしくお願いします。
ここで何をしようとされてるんですか?僕昔から図書室が作りたくて森の図書室というお酒が飲める図書室を作ります。
なるほど!あっそれで森さんの…それが本という字になってるんですか?そうですねはい。
それが?先ほど言ってた…。
クラウドファンディング。
…を使わせていただきました。
これが僕が掲載させていただいたプロジェクトのページになっていますが約1か月間で1737人の方から953万円のご支援を…。
すごい!目標金額は?10万円。
10万円なんだ。
はい。
渋谷に夜の図書室を作るという森さんの企画は1,700人以上の共感を呼び1,000万円近い資金を集める事に成功しました。
クラウドファンディングとしては投資者数日本一という記録的なプロジェクトとなりました。
500円から参加できるというのがそれも大きいかもしれないですね。
そうですね。
結構なボリュームの方が500円の方がいらっしゃいました。
関わりたいというのがあるんでしょうね。
参加したいというのが。
資金を出してくれる人と潜在的な利用者とがかなり重なってるところがポイント。
おっしゃるとおりだと思います。
なるほど。
ホントに必要としてる人が出来たらうれしいから投資したいと。
うん。
投資をするという人たちは何がリターンになるんですか?こういった形で金額が分かれていて例えばこちらだと500円だとドリンク一杯無料とあとお礼のメッセージを送らせて頂きますという内容であったり。
他にも1万円なら投資者の推薦図書を一冊購入して蔵書に加えてもらえるなど金額に応じたリターンがあります。
こういうクラウドファンディングで森さんの図書館に投資してみたいと思う人たちというのはリターンを直接求めるというだけじゃなくって人の夢に投資して自分の生活を充実させるっていう意味の広い意味のそういうリターンを得てるということかもしれないですよね。
実際に出資していただいた方に対して今後お金でリターンをお返しする訳ではないので。
「ここに行きたいな」と思ってくれてる方がほとんどの方なのかなと思います。
なるほど。
渋谷に夜まで開いてる図書室があるのはすごい魅力的ですよね。
そんな多くの人に期待されてるとプレッシャーも大きいんじゃないですか。
やばいですねホントに。
こんなことになるとは夢にも思っていなかったのですごく不安ですね。
そんな森さんを応援するため2人からも本をプレゼント。
受け取ってもらえますか?うれしすぎます。
本当にありがとうございます。
ホントですか?自分の本なんですけど。
どうぞよろしくお願いします。
どうもありがとうございます。
置かせていただきます。
一番後ろに。
ああ!これうれしいですね!これすごくうれしいです!僕がうれしいです!ありがとうございます。
この時まだ完成していなかった森さんの夢の図書室。
このほど完成しました!本棚の扉を開けると…。
うわ〜!満席!出資金や寄贈などでそろえた本の数なんと1万冊!本の貸し出しは無料。
席料を払えば誰でもこの場で心行くまで本を楽しむことができます。
本好きが集まる場新たな本を発見する場を目指しているのだとか。
みんな楽しそう!全然…。
全然みんな…皆さん人の夢に投資することで自分の人生を豊かにするというリターンを得られたようです。
前回経済学で言う「投資」というのは生産能力を高めるためにお金を使うことだと言いましたよね。
その可能性を大いに秘めた投資先があるんですよ。
はい。
それが「子どもの教育への投資」なんです。
最も費用対効果が高い投資先というのは学校に行く前の子どもたち。
あっそんな若い!?それは自分の子どもの教育にお金をかけるということですか?確かにね自分の子どもの教育にお金をかけることも投資である程度有効だと思うんですよね。
ただ株でもそうなんですけど1つの株だけに投資すると結構危険ですよね。
そうですね。
ねぇ。
1人か2人しかいない自分の子どもが投資したからといって高収入を得て年老いた自分の面倒を見てくれるかどうか分かんないじゃないですか。
自分の子どもだけの投資というのはそういう意味では結構ハイリスクです。
自分の子どもじゃないとしたら…。
私たちの税金を使って教育に投資をすればその子どもたちが将来活躍してくれて国を豊かにしてくれるということになればその子どもたちだけではなくて投資した私たちも豊かになるわけですよね。
じゃあ先生早いうちから読み書きとか算数をやっておいた方がいいということですかね?私たちが「教育」って思ったら算数とか国語とかって。
そういうイメージだと思うんですけど。
そこの能力は実はですね学力ではなくて…それは「非認知能力」と言われてるんですけども。
「認知能力」とは心理学用語で学力やIQなどの知的能力を指します。
「非認知能力」はそうした能力ではなく……などを指します。
こういうのを私たち「性格」とか「気質」とか呼びますよね。
だから私たちが思う学力とは随分違う能力が就学前の教育で育てられてそこが大きな違いを生んだんですね。
なんかでも分かる気がしますね。
そういう基本的なことというかそれが分かってる人と分かってない人でだいぶ違いますもんね。
どうしてそういうことが分かったかというとアメリカで1962年ぐらいから始まった大きな実験があるんです。
その実験は「ペリー・プレスクール・プロジェクト」という3〜4歳の子どもたちを対象にしたものでした。
貧しく幼稚園に通えない子どもたちの学力向上を目的とし2年間就学前教育を施したのです。
そして同じような貧しさで就学前教育を受けていない子どもたちと小学校に上がってからの学力を比較しました。
ところが早い段階で学力の差はほとんどなくなり実験は失敗とされました。
しかしおよそ40年後ノーベル賞を受賞した経済学者ヘックマンが再びその実験に注目します。
ペリー・プレスクール・プロジェクトを受けた子どもたちが40代になった時点での経済力を調べたところ大きな差が出ていました。
教育を受けていたグループはそうでないグループに比べ所得や持ち家率が高く更に生活保護を受けていない人の割合も高かったのです。
この結果からヘックマンは就学前教育が大人になってからの所得に影響することを明らかにしました。
つまり非認知能力が勉強や仕事への意欲に長く影響するという発見でした。
だから「これをやりなさい」と言われたことを放り出さずに最後までやるっていう。
それをちゃんと出来てきた人というのはやっぱり何か与えられた仕事もちゃんと出来るということなんでしょうね。
だからそういう能力がどうも非常に私たち小さな頃に育ってるというところがあるようなんですね。
だからそこでちゃんと育たないとあとで育てる事が出来ない訳じゃないんですけどなかなか育ちにくいというところがあるんで小さな頃に我慢強さとか人とうまくやっていく力というのを育てる必要があるようなんです。
具体的に言えば私たちの税金が教育を受ける機会が少ない人たちですね。
国全体にとってもいいことだと。
はい。
働き手の平均所得が高まれば税金などの納付率は上がり逆に生活保護費などの政府の支出は下がります。
その投資収益率は15〜17%と試算されています。
つまり1万ドルの投資に対し1,500ドル以上のリターンがあるということです。
15〜17%って。
そんなリターンがある投資ってあんまりないですよ。
だから就学前の教育投資は非常に投資効果が高いと言えると思いますね。
では非認知能力を高めるために施された教育とはどんなものだったのでしょうか?例えば今日は粘土でお城を作るという計画を立てたとしますよね。
もし今日中に終わらないとすればどうして終わらなかったのかを考えさせる。
無事に終わればなぜ成功したのかを考えさせる。
へぇ〜!大人なら日常的に目的を決めてそれを達成するために時間や手段を逆算していって行動すると。
だけど…なるほど。
では又吉さんここで計画力を測るゲームをしてみましょうか!はい。
「HIT15」というこのゲーム。
交互に1から3までの数字を出し合い足していくというもの。
合計を「15」にした方が勝ちです。
逆算の計画力を測るため経済学の実験で使われたゲームです。
15取ったら勝ちなんですよね。
はい。
難しいですね。
(笑い声)じゃあ1。
1ですか。
え〜っとですねちょっと待ってください。
3。
2を足して3ときました。
5。
5ときましたか。
じゃあ7。
え〜8。
8ですか。
8。
え〜と11。
え〜っ…。
(笑い声)負けですね僕の。
勝ちましたね。
はい。
悔しいですね。
悔しいですか。
なるほど。
分かりました?分かりました。
もう一遍いきましょうか。
え〜!?どうぞ。
え〜1。
1ときましたか。
3。
4。
7。
一緒っすね…。
(笑い声)分かりました。
分かりました?そこまでは分かりました。
アハハッ。
3回戦。
え〜っとじゃあ3。
5。
7。
(笑い声)どこなんすか?どこを取ったら負けなんすか?
(笑い声)7までは。
えっ!?7取ったら勝ちと思ってたんですけど。
7取ったら勝ちですよ。
7取ったら勝ちですけど3取っても勝ちなんですよ。
なるほど。
はい。
3取ったもん勝ちなんですね。
3取ったもん勝ちなんです。
なるほどね。
だから15を取るためには11を取ればいいわけですよ。
11を取るためには7を取ればいいんです。
7を取るためには3を取ればいいんです。
11までは計算してたんですけど。
なるほど。
そういうことですか。
だから最後から逆算していって最初の一手を決めると。
なるほど。
これ経済学の実験でトラック運転手の実験に使われたんですけど最初に採用されたときにIQテストみたいなものとこういうテストをやっておいて最後までトラック運転手長く勤めることができた人を調べるとこの「Hit15」でコンピューター相手に勝った人が高かったんですよね。
へぇ〜!トラックの運転手さんだとどういうふうに配達していったらいいのかを計算する能力が大事ですよね。
あとのことまで考えておかないといけないと。
はい。
こういう能力は学校に通い始めてからだと遅いんですかね?そうですね。
ヘックマン教授もね最初は成人の貧困層に職業訓練を受けた時の効果というのを調べたんです。
そうするとあんまりお金がかかる割には効果がない事が分かったんですね。
次に今度は大学生の支援をしたらどうだろうか?でやってもあんまり関係ないと。
高校生はどうだというと高校生もそうではないと分かっていって調べていくと…そこで十分に発達しなかったらそのあとに発達する能力はまた別のもんですから両方があって私たちが社会で成功できるようになる部分があるわけですね。
経済学で「補完的」と言うんですけれども。
車のボディーとタイヤあるいはエンジンみたいにどれもがないと車がちゃんと走らない。
社会の財産となる就学前教育。
ところが今日本では就学前の子どもたちを取り巻く環境に大きな問題が生じています。
こちらは日本の貧困率を年齢階級別に表したグラフ。
1984年の貧困率は高齢者が圧倒的に高かったのに対し1994年には5歳未満の子どもと高齢者の貧困率がほぼ同じに。
2004年には5歳未満の子どもの貧困率が高齢者を抜き最も高くなっています。
10%を超える子どもたちは貧困な家庭にいると。
もちろんその背景はその親の中での貧困者が増えているということですよね。
なるほど。
シングルマザーの家庭が多くなっているとかそれから両親が貧困であるということが増えてきてるんですね。
特に働かなきゃいけないけど小さい子どもがいるとフルタイムで働けないというシングルマザーの人たちだったらどうしても貧しくなってしまう。
フルタイムで働こうと思ったらベビーシッターを頼まなきゃいけないというふうになるけれどもまたお金かかりますよね。
はい。
そういう人たちが増えてきているのが日本の大きな問題だと思うんですね。
5歳未満の子どもたちの貧困率がこれだけ上がってきてるということですからこういう貧困層の子どもたちというのを公的なお金で助けてあげるということが必要だと思うんですね。
しかし就学前の教育にかかる費用の私費の割合は日本では56.6%。
諸外国に比べて非常に高くなっています。
全然違いますね。
そうなんですよ。
ですから幼稚園や保育園に通わせてる比率確かに日本高いんですけれどもやっぱりあれだけ貧困な人たちが増えてくるとお金を払うっていうのは難しい人たちが出てきますよね。
それからそのことっていうのは単にかわいそうな子どもたちを助けるというだけではなくって彼らがきちっと将来所得を稼いで税金を納めてくれるようになる可能性も高くなりますよね。
そうすれば国の財政を助けるということにもなるわけですよ。
それから今ね子どもの教育費は子どもを持つ親の世帯の私費が大きな割合を占めてますけれども…ですから就学前の教育への投資っていうのがどうして大切なのかっていうのが分かってきました?のちのち国全体にも返ってくるってことですもんね。
そうですね。
ホントに小さい時の教育が大事やとかいうのは噂レベルで僕結婚もしてないし家族もいないんでアレなんですけど。
でも噂では耳に入ってきますがいろいろある噂の中の1つでそれが本当にちゃんとこういうふうにデータで提示されるともうそう分かってるならそれはやっぱりやるべきやなというかみんなにとってそれが…ねえよさそうなんで。
話は最初に戻るんですけど宝くじで100万円当たったら何に使いますか?そうですねぇ。
いろいろ考えたんですが就学前の教育が大切という話を聞くとちょっと焦ってくるというか今よっぽど頑張らなあかんなと思うんでやっぱり例えば本を買うとか。
あとはもう旅行に行って嫌なことを全て忘れるっていう。
変わらなかったという事ですか?でもはい。
買うものは一緒でも僕自身が変わってますから。
なるほど。
それから今後書かれる本の内容が変わるかもしれない。
でも僕が急に就学前教育の絵本とか出し始めたらちょっとうさんくさすぎる。
美輪乃湯へようこそ。
2014/07/23(水) 23:25〜23:50
NHKEテレ1大阪
オイコノミア「あなたは何に“投資”する?」(後編)[字]

もし宝くじで100万円当たったらあなたは何に使う?実はある試算で、利益率が15%を越すという投資先がある。答えは「就学前児童への教育」。これってどういうこと?

詳細情報
番組内容
アメリカのノーベル経済学賞受賞者のヘックマンは、3〜4歳の就学前児童に協調性や忍耐力を伸ばす教育を施すと、40歳代になってからの収入や持ち家率が上がることを突き止めた。さらに生活保護の受給率も低くてすむことが分かり、社会全体の収益率を計算すると15〜17%に上ることが分かった。経済学でいう投資とは生産能力を高めるため資金や力を注ぐこと。この研究は日本はもちろん世界中に衝撃を与えている。
出演者
【出演】又吉直樹,【解説】大阪大学教授…大竹文雄,【語り】朴ろ美

ジャンル :
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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