(暁)理屈じゃねえんだよ。
(暁)でもあえて理論武装として言うならこうだ。
メディアでは景気がよくなったよくなったってあおるように騒いでるけど実際は消費税の上乗せ分も給料に反映されないほど俺たちの生活は逼迫してるわけだ。
そんな中前科者の働き口なんていったいどれだけあると思う?せいぜい半年更新という綱渡り状態の派遣社員が関の山だろ。
資格も学歴もない俺たちはまっとうに生きたところで損する仕組みになってんだよ。
だからこそ俺は金持ちの女をナンパして逆玉に乗るっていうジャパニーズドリームを追い求めてんじゃねえか。
ノーギャンブルノーライフ。
(旭)あっ!?
(旦)それがサト兄の働かない理由。
(暁)まあな。
(ひかり)それが夜な夜な駅前でナンパしてる理由?
(暁)まあな。
(陽)そこまで開き直られたら逆にすがすがしいよ。
(暁)だろ?飯うまいな。
お代わりしちゃおうかな?
(旭)いやいやいやいや。
お前何普通になじんじゃってんだよ。
(暁)駄目なの?
(旭)駄目でしょう。
(暁)だって屋代家にも謝罪に行ったし。
(旭)そうじゃなくて。
お前その帰りに…。
(旭)まあいいけどよ。
でお前たちは同居に反対じゃねえのか?
(ひかり)私は別に。
(陽)俺も言いたいことは全部言った。
(暁)固いこと言うなよ。
どうせ土地が売れるまでの間じゃねえかよ。
(ひかり)えっ?何それ?
(暁)こいつ土地の権利証屋代家の子供に渡しちまったんだよ。
「金ならくれてやる」とか言って。
(ひかり)はっ!?
(旦)どういうことだよ?
(旭)売り言葉に買い言葉っていうかよ。
(陽)何やってんだよ?土地の権利証渡したってことはここ売られるってことなんだぞ。
(旭)心配すんなってお前。
こんな商店街の片隅にあるような土地売れるわけねえだろお前。
おい暁。
ここに住みたかったらなさっさと仕事探してこい。
(暁)今の流れだとジャパニーズドリームの出世払いでいいはずだろ。
(旭)いいわけねえだろお前。
だいたいよナンパして玉のこしに乗るなんてそんな生き方して恥ずかしくねえのかよ?昌江さんも言ってたろ?労働は生きてる証しだって。
たとえ損する仕組みだとしてもなみんな我慢して働いてんだよ。
(陽)その意見には賛同できないな。
我慢してまで社会の歯車になって働くっていうのはアイデンティティーの損失にもつながりかねない。
(旭)あのな歯車が一つでも欠けてみろ。
大本は動かないんだぞ。
この国を支えてるのはそういう人間なんだよ。
(ひかり)歯車の解釈にもよるんじゃない?やりがいさえ見つかれば給料が安いとか休みがないとか多少の悩みはあっても損してるなんて思わないよ。
(陽)姉ちゃんのいる世界は特殊なんだよ。
医療や介護は資格がなきゃできない仕事なんだから。
それは有意義な選択と言えるし尊敬もしてます。
(ひかり)そう?
(旭)おいおい…。
ちょっと待てよ。
資格がなきゃ有意義な仕事に就けねえっていうのは納得できねえな。
(暁)ガテン系が医療の人間と張り合うんじゃないよ。
(旭)バカにすんじゃねえよ。
俺の仕事だってなじゅうぶん特殊だぞ。
アスファルトをながーってミリ単位でならす作業なんてのはな大学出てたってねやれない職人技なんだよ。
うん?がたがたの道を通って気持ちいいか?いいわけねえよな?いらいらするよな?でもな最高の道路っつうのはよ。
しゃー。
何も感じないんだよ。
つまりな俺が何を言いてえかっていうとお前たちが普段当たり前のように過ごしてるそこかしこに並々ならない労働があるってことなんだよ。
(旦)アサ兄にしては説得力あるね。
(旭)「にしては」って何だ?とにかくな労働に上も下もなければ右も左もねえってことだ。
お前らの言ってることはな社会に出てない半人前の考えなんだよ。
(暁)よくもまあ自分の醜い面隠して偉そうなこと言えるよな。
さすが酸いも甘いも知ってる社会人は化けの皮も厚いね。
(旭)てめえさっきから聞いてりゃこの野郎!
(暁)10年前俺がどうしてこの家を出てったのかその理由をこいつらに教えても同じことが言えんのか?どういうこと?
(暁)お前にとって仕事は金だろ?あらゆるものを犠牲にしてでも金が欲しいんだろ?うるせえな。
お前に何が分かる?分かりたくもねえ。
俺はお前が10年前のことざんげするまで兄貴だとは認めねえかんな。
だったらもうここには来んじゃねえ。
(暁)この家は親父が子供たちに残してくれたんだ。
当然俺にも住む権利がある。
とやかく言われる筋合いはねえ。
(旭)痛っ。
(梓)人の話を聞け。
大事な話してんだから。
(旭)分かってるよ。
挨拶だろ。
(梓)そこに流れを書いといたからちゃんと把握しておくように。
(旭)ねえ?ホントにお母さん妊娠のこと知らないの?
(梓)何度も言ったでしょ。
だからこんなに心配してんの。
ハァー。
(旭)うん?「妊娠の話を切り出す際は新しい命が宿ったなど大げさなフレーズが好ましい」
(梓)大丈夫かな?うちのお母さん常識とかにうるさいからでき婚とか印象悪いと思うんだよね。
いやぁ。
まあそうは言うけど自分の娘が結婚するわけだし早く孫の顔も見たいだろうしさ。
喜んでくれるとは思うよ。
(梓)だといいんだけどな。
(佐渡)ういっす。
(梓)あっ。
いらっしゃいませ。
(佐渡)日替わり。
(梓)はーいかしこまりました。
(佐渡)おや?
(佐渡)やっぱそうだ。
(旭)ああ。
お疲れさまです。
(佐渡)ねえ。
こいつのどこがいいのよ?よかったら1回おじさんとデートしようよ。
若者にはないよさがあるよ。
(梓)はいはい。
(佐渡)何だよ?おっかねえ顔すんなよ。
冗談だよ冗談。
次男坊どうよ?仕事見つかったか?いや。
まだです。
(佐渡)うち辞めてからろくすっぽ定職にも就かねえでムショ行きだろ?寺にでも入れた方がいいんじゃねえか?10年前弟が会社辞めた理由って知ってますか?
(佐渡)朝がきついとか仕事がつらいとかまあそんなとこだろ。
(旭)親父の件知ったからです。
(佐渡)お前何か話したのか?
(旭)いえ。
社長と西島さんの会話を聞いたみたいで。
(佐渡)まあいまさら蒸し返すようなまねはしねえだろ。
(梓)お待たせしました。
(佐渡)あっ。
できた?
(梓)はい。
430円です。
(佐渡)ちょうどある。
(梓)ちょうど頂きます。
あっ。
(暁)偶然なんて見え透いた嘘つくなよ。
(多香子)お兄さんから聞いたの。
昼は近所のパチンコ屋。
夜は駅前でナンパ。
行動範囲が狭いからすぐ見つかるって。
(暁)当たってんのが余計腹立つ。
(多香子)うちで働かない?母の元で住み込みのバイトしてたんでしょ?このままだとあの畑手放さなきゃいけないの。
(暁)スカウトすんならもっとましなやつにしろよ。
(多香子)お金なら払う。
それとも畑仕事なんて嫌?
(暁)母ちゃんへの罪滅ぼしか。
(多香子)えっ?
(暁)無職の俺に手を差し伸べれば母ちゃんが喜んでくれるとでも思ったんだろ?
(多香子)そんなんじゃ。
(暁)気持ちだけ受け取っとくよ。
(多香子)気が向いたら連絡して。
(旦)やめとけって。
(陽)うるさいな。
お前もう帰っていいって。
(旦)痛っ!?今日いなかったんだって。
今日いなかった。
あっ!?
(香澄)まだ何か文句あるの?
(陽)まあね。
(香澄)ちょっと。
何なの?
(陽)いいから入って。
(男性)「そういう俺たちのつつましい生活を哀れんでくれ」
(男性)「委員長。
お急ぎください」
(一同)「お急ぎください」
(男性)「せめて物言わぬ勝利になぜ俺と美智子が別のドアを出ていかなくてはならないか聞こえぬまでも言って聞かせてやりたい」
(陽)はいストップ。
次彼女交ぜてやって。
はっ?何言ってんの?帰る。
(陽)意外と度胸ないんだな。
台本に書かれたせりふを表現する。
それだけだ。
男から金取るよりは簡単だろ?これが終わったら二度と関わらないで。
君がそれを望むなら。
(旦)何でこんなやつ?
(陽)ちょっと…。
「父からはさげすまれ兄たちからはいつも殴られてばかりで」「高校を卒業した後家を出され大学も奨学金をもらって行っていたのです」「こんな立場になり奨学金ももらえず夜あなたが寝静まった後食堂でアルバイトをしてこの子のミルクなど買っておりました」「産着の一つといわれましても頼む人がなくとてもつろうございました」「これだけは信じてください」「愛なく生まれた私が愛なく子供を産むわけはありません」「私は心からあなたのことを愛しておりました」「世界中の誰よりもあなたのことを愛しておりました」「あなた。
雪です」「雪が降り始めましたよ」
(拍手)
(旭)梓さんと交際してそろそろ1年がたつんですが彼女と結婚したいと思ってます。
あのう。
実はですね彼女のおなかの中には新しい命が宿っておりまして。
(京子)新しい命ね。
要は結婚前にうちの子を妊娠させたってことでしょ?
(梓)知ってたの?
(京子)何となく察しはついてたわよ。
あなたは隠してたつもりでしょうけど相当つわりひどかったしね。
(旭)ああー。
ご報告が遅れましたことはあのう大変申し訳なく思ってます。
(京子)結論から言うと今のままでは結婚に賛成できない。
(梓)ちょっと待ってよ。
(京子)世間ではどれだけこういう形が受け入れられてるかどうか分からないけど妊娠を仕方ないで片付けられるほど私あなたをいいかげんに育てたつもりないよ。
(旭)そう思われるのも無理はありません。
でも必ず梓さんとおなかの中の子供は幸せにします。
その根拠は何ですか?
(旭)えっ?あなたが家族を幸せにできるという根拠を聞いてるの。
(旭)いや。
それは…。
あなたにはご両親がいらっしゃらないそうね。
あなたが親代わりになってごきょうだいの面倒を見てきた。
そう聞いたわ。
弟さん。
最近まで刑務所にいたんですって?お母さん。
(京子)大事な話をしてるの。
それを聞いてあなたが梓を幸せにできるって思えるかしら?
(京子)この人なら娘を任せられる。
そう思えるまであなたたちの結婚を認めるわけにいきません。
どうぞお引き取りください。
(梓)お母さん。
何なのあれ?いいじゃない。
別に認めてくれたって。
こうなった責任はあなたにもあるのよ。
子供を授かれば誰でも親にはなれる。
でも完璧な親には誰もなれないの。
子育てに答えなんてないから。
確信を持てないまま子供を育てていく。
それがどれだけ大変なことか。
あなたたち分かってない。
(京子)痛かったでしょ?私も誰かに叱ってもらいたい。
でもそれができないのが親なのよ。
(新城)旭と暁が?
(ひかり)けさバトってね。
10年前サト兄がうちを出たのはアサ兄が原因だったみたいで。
途端に険悪なムードになって。
(新城)お父さんの件か?
(ひかり)何か知ってんの?
(暁)熱愛発覚。
医師の不倫相手は看護師だった。
ハハハ。
三面記事にもなんねえな。
(ひかり)何してんの?余計なことしゃべんじゃねえよ。
親父の件はあんたに関係ねえ。
(ひかり)ねえ?何なの?
(暁)ひかり。
こいつだけはやめとけ。
この男は平気で人を見殺しにするくずだからな。
(ひかり)サト兄と何かあったの?
(新城)聞いて面白い話じゃない。
社長。
用件っていうのは?
(佐渡)おう。
次男坊またうちで雇ってやろうと思って。
(旭)えっ?
(佐渡)職探しも苦労してんだろ?辞表もなしでとんずらこいたことは水に流してやるから。
お気持ちはうれしいんですが。
(佐渡)任せておけ。
猛さんのことがネックになってんだろ?
(バイブレーターの音)
(佐渡)もういいよ。
行って。
(バイブレーターの音)すいません。
(バイブレーターの音)
(旭)はい。
もしもし。
ああどうも。
えっ?えっ!?暁が!?・
(自転車のベル)
(旭)ああ!すいません。
(旭)すいません!
(暁)よっ。
「よっ」じゃねえよ!お前何で無銭飲食なんか。
(暁)悪気はなかったんだよ。
1万あると思ったら風俗の割引券でさ。
(旭)んっ!
(暁)ほらほらほら。
周りのお客さんに迷惑だろうが。
(店主)旭ちゃん。
わざわざ悪かったね。
仕事だったんだろ?
(旭)いえいえいえ。
とんでもございません。
ご迷惑をお掛けしました。
あっ。
幾らですか?
(店主)ああ。
1,200円。
(旭)失礼します。
(暁)この店相変わらずまずいな。
(旭)お前あしたからうちで働け。
(暁)はっ?
(旭)社長がそう言ってくれてる。
いいな?それ新ネタ?飯代ちゃらにしてくれたら笑ってやるけど。
(旭)うおー!
(暁)危ねえな。
何してんだよ?
(旭)お前いったい何がしたいんだよ?働きもしねえで人さまに迷惑ばかり掛けて。
10年前と何も変わってねえじゃねえか。
(暁)変わったよ。
お前だって人のことどうこう言える立場かよ?そんなに許せねえか?あの事故のことが。
時間が解決するなんて思うなよ。
(旭)待てよ。
(新城)まどかちゃんの容体ですが今は安定しています。
ですがこの先障がいが残る可能性があります。
(孝光)障がいというのは?
(新城)脳室周囲白質軟化症といいまして足や手を動かす神経線維があるこの部分。
白質というんですがここが損傷して機能しなくなるんです。
そうなると…。
(孝光)手足が動かなくなったりするってことですか?
(新城)あくまで可能性の問題です。
もちろんまひが残らないケースもあります。
ただこの症状はまだ確実な治療法が明らかになっておりません。
予防策として…。
(孝光)もう結構です。
(孝光)殺してください。
(新城)お父さん。
(孝光)おそらく私たちでは面倒見きれません。
それがあの子のためでもあるんです。
(志保のすすり泣く声)まどかちゃんは必死に生きようとしています。
小さな体で頑張ってお父さんとお母さんに…。
(孝光)私だってこんなこと言いたくないんだよ。
でもしょうがないだろ。
あんな子育てられるわけないじゃないか。
(志保の泣き声)・
(ドアの開く音)やっぱりここか。
(ひかり)何であんなことが言えるんだろ?あの父親だけが例外じゃない。
1,000gにも満たない赤ん坊を目の当たりにすれば誰でも動揺はする。
でもまどかちゃんは生きてるんですよ。
こっち見たり指を握り返したり。
生きてるでしょ?なのに殺してくれだなんて。
無責任だと思うか?でも退院したら両親は常に彼女を見守らなければならない。
親が疲れて先につぶれる可能性だってある。
こちらが親の責任を押し付けたところで相手を苦しめるだけだ。
私は親になったことがないんで分かりません。
これから先もなれるかどうか。
親にとって子供ってどんな存在なんですか?
(バイブレーターの音)
(旭)お前たちには15年前親父が亡くなったのは事故だって伝えたよな?
(旦)うん。
山道の舗装工事してるときに土砂崩れに遭ったって。
(陽)でもそれって舗装前にやる災害対策の工事を怠った親父のせいなんだろ?実際はそうじゃない。
災害対策の工事費用が出なかったんだ。
どういうことだよ?
(暁)社長が金をケチったんだよ。
つまりいつ土砂崩れが起きてもしょうがない状況で親父たちは舗装工事をやってたってわけ。
現場監督だった親父は社長に何度も直談判したけど社長は最後まで首を縦に振らなくて。
(陽)じゃあ会社の落ち度で親父は死んだってことか?
(旦)それが何で親父一人のせいにされてんだよ?会社を守るために社長が父さんに罪をなすり付けたの。
お前どこでそれを?
(暁)新城から聞いたんだろ?
(陽)いや。
何でそんなこと知ってんだよ?考えてみりゃおかしな話だろ。
高校中退したのに正社員で雇ってもらえるなんて。
こいつは社長の嘘を黙認するっていう条件で就職したんだよ。
(旦)嘘だろ?嘘だよな?アサ兄。
(暁)嘘じゃねえよ。
だから俺はこの家を出たんだ。
(旭)しょうがなかったんだ。
お前らを食わすためにはああするしかなかった。
それで親父を殺した会社に居座ったのか?ああそうだ!俺がちゃんとした給料をもらえるところで働かなきゃお前らみんな路頭に迷ってたんだからな。
(陽)会社の落ち度ならそれこそ裁判を起こせばよかったじゃないか。
そうすれば賠償金だって…。
裁判の金はどうすんだ!親父の生命保険だって微々たるもんだったんだ。
高校生の俺がどうやって会社相手に裁判で勝てるっていうんだ?理屈じゃねえんだ!理屈だよ!少なくとも俺たちに相談するべきだったんじゃないのか?俺もアサ兄がやったことは間違ってると思う。
何だと?
(旦)俺はがきのころ親父の事故を聞かされて正直自分の不注意で命を落とすなんてカッコ悪いなって思った。
だせえなって。
でももし周りからそんなふうに思われてるんだとしたら親父は気の毒だよ。
旦の言うとおりだ。
よく死に際がその人の人生を物語るっていうだろ?だったら自業自得で死んだことにされた親父の人生って何だったんだよ?仲間に罪をなすり付けられた最期なんて悲惨過ぎるじゃねえかよ。
だったら…。
だったらどうすればよかったっていうんだよ!
(旦)俺はたとえ食いっぱぐれたとしても親父を殺した会社なんかで働いてほしくはなかった。
それで俺たちが飯を食えてたなんてヘドが出るよ!だったら全部吐き出せ。
お前が食ったもん。
今まで食ったもん全部残らず吐き出せ!吐けるもんなら吐きてえよ!ふざけんなよ。
俺が今までどんな思いで…。
(ひかり)いいから。
(陽)やめろよ!みっともねえ。
(陽)ホントは俺たちに「しょうがないよ」って言ってほしかったんだろ?でもこれは犯罪だ。
俺たちのためだとか言っても結局社長に屈したアサ兄は立派な共犯者なんだよ。
ここまで言われてもお前は家族のために選んだ道だって言えんのか?ホントは家族の犠牲になって働く自分に酔いしれてただけなんじゃねえのか?だとしたらお前のやってることは偽善でしかない。
どうなんだよ?お前は何のために社長の嘘を黙認してあの会社に入って金を稼いできたんだよ?
(旭)分かんねえよ。
自分のしてきたことが偽善かどうかなんて考えたこともねえよ。
考える余裕もなかったよ。
(旭)親父が死んだとき悲しみよりも不安の方が大きかった。
怖くて怖くてたまんなかった。
(旭)社長の交換条件に乗ったのも冷静に考えた決断とは言えない。
(旭)高校を中退して毎日夜まで働いて友達と遊ぶ時間もほとんどなくなって。
正直「何で俺だけ?」って思ったことは何度もある。
親父が死ななければこんなつらい目に遭わなくて済んだのにって遺影に泣き付いたことも一度や二度じゃない。
でも俺が頑張れば暁が高校卒業できる。
俺が働けば看護師になりたいっていうひかりの夢をかなえてやれる。
俺が残業を増やせば陽を大学に入れられる。
旦にだって惨めな思いをさせずに済む。
そう思ったら不思議と次の日も踏ん張れた。
(旭)別にお前たちに感謝されたくてやったわけじゃない。
それが親父からバトンを渡された俺の役目だと思ったからだ。
奇麗事だよそんなもん。
お前花に水やったことねえだろ?
(暁)あっ?手を掛ければよちゃんと応えてくれるんだよ。
テストで100点取ったとか新しい友達ができたとかよ。
俺にとってはそういうさささいなことでも糧になってたんだよ。
(旭)俺はお前たちにざんげするつもりもなければ謝るつもりもない。
結果的にお前たちがこうして一人前になれたのはあの会社で稼いだ金があったからだ。
恨むんなら恨め。
でもきっと親父なら分かってくれるはずだ。
・
(開閉音)・
(缶を開ける音)・
(飲む音)
(ひかり)もし15年前アサ兄が社長の交換条件を私たちに相談していたとしたらどうなっていたのかな?
(陽)どうって?会社相手に訴訟を起こしてた?それとも路頭に迷うのを覚悟で父さんの名誉のために謝罪を要求した?私は結局アサ兄が取った今の決断を選択してたと思う。
アサ兄もそれが分かってたんじゃないかな?だから自分だけが傷つく選択をした。
だとしたら10年もの間社長の下で働くってどんな気持ちだったんだろう?やっぱりつらいと思うよ。
お前たちは今だからそんなこと言えんだよ。
俺は許せなかったよ。
あの社長もやつに屈したあいつも。
(ひかり)なら何で真相を知ったとき会社を訴えなかったの?家族のために働くアサ兄の気持ちが理解できたからでしょ?でもサト兄は社長に従うことができなかった。
だから自分だけ現実から逃げ出した。
さっきアサ兄に聞いてたよね?家族のために犠牲になって働く自分に酔いしれてただけなんじゃないかって。
「ホントはそうだ」って言ってほしかったんじゃないの?もしそうなら過去の自分を責めなくて済むもんね。
(旭)・「君の行く道は」・「果てしなく遠い」…か。
(旭のため息)
(バイブレーターの音)
(バイブレーターの音)
(旭)はい。
どうした?
(梓)うん。
あのさ親になるってどんな気持ちなのかなってずっと考えてたんだけど全然分かんなくて。
俺も今分かんなくなったとこ。
(梓)何かあった?
(旭)うーん。
俺のやってきたことってさ間違ってたのかな?
(梓)そんなこと誰にも分かんないんじゃない?でも私は間違ってないって信じてるよ。
だって私は今のあなたを好きになったんだから。
(梓)どう?しびれた?しびれた。
(梓)フフフ。
じゃああしたのリベンジマッチは大丈夫かな?はい!ヘヘッ。
次はちゃんとスーツ着て挨拶行くから。
うん待ってる。
じゃあまたあしたね。
はい。
じゃあね。
(旭)・「若者はまた歩きはじめる」ああー。
(旭)よいしょ。
(暁)働いてやるよ。
(暁)お前がどれだけつらい思いしてきたのか知らねえと同じ土俵に立てねえから。
(旭)勝手にしろ。
(旭)枠内だぞ。
お前だからちゃんと。
ちゃんと貼れよ。
お前こういうのよ。
(暁)大丈夫だよそんなの。
(佐渡)おう。
よう。
久しぶりだな。
(暁)ご無沙汰してます。
(旭)社長。
だいぶ飲んでますね。
(佐渡)ああ。
母ちゃんがいねえからさ。
息抜きだ息抜き。
何だよ?こんなもん用意することなかったのに。
じゃあ採用ってことであしたからよろしくな。
(旭)ありがとうございます。
(暁)よろしくお願いします。
(佐渡)いやぁ。
猛さんも喜んでんじゃねえか?2人の息子が自分の後を継いでくれるなんてよ。
だといいんですけど。
(佐渡)いやぁ。
あの事故は本当に残念だったよ。
でもあれは誰が悪いってわけじゃねえ。
お前も大人になったんだ。
そこら辺のことは分かるよな?はい。
(佐渡)まあ言っとくけど俺はお前たちの親代わりだから雇ってやってんだからな?ホントはお前みたいな半端者は正社員で働けるわけねえんだからよ。
ハハハ。
それじゃあこれで失礼します。
(佐渡)ああ。
(佐渡)しっかり働いてくれよ。
犯罪者。
犯罪者?
(佐渡)なっ?何?どうした?
(暁)いいんだよ。
こういうの慣れてるから。
(旭)バカ野郎が。
そんなもんに慣れんじゃねえ!うおりゃー!
(佐渡)うわ!?何すんだ!
(旭)うるせえ!あんたの方がよっぽど犯罪者だろうが!いいか?俺のことは何だって言ってもいい。
けどな俺の家族をバカにすんのは許さねえ。
俺はなあんたを親代わりだなんて思ったこと一度もない。
一度たりともだ。
あんたは親父を死に追いやった。
俺はずっと我慢してきたんだ。
俺はあんたが嫌いだ。
大嫌いなんだよ!
(佐渡)首だ。
(旭)えっ?首だって言ったんだよ!
(佐渡)出ていけ!二度と来るな!
(旭)ああー。
無職だよ。
どうしてくれんだよ?
(暁)俺のせいかよ?
(旭)お前のせいだろ。
お前が俺よりも先に社長ぶっとばしてりゃ俺は辞めずに済んだんだよ。
(暁)フッ。
何だそりゃ?
(旭)ああー。
これから彼女の親に会うんだぞ。
でき婚の上に無職って。
絶対また駄目だよ。
(暁)そんなハードル高えの?
(旭)ああ。
考えただけで腹痛え。
(暁)俺さ。
(旭)うん?
(暁)10年ぶりにあの社長の顔見て分かったよ。
俺が許せなかったのはお前でもあの社長でもなくて俺自身だったんだなって。
何でも一人で背負い込むお前にムカついていらついて嫉妬してたんだな。
じゃあ俺行くわ。
(旭)えっ?どこに?
(暁)ナンパした女の家。
(旭)かっ!勝手にしろよ。
(暁)アサ兄。
(旭)あっ?だせえな。
(旭)うるせえな!バカ!ったく。
あの野郎。
うん?あいつ今アサ兄って。
よっしゃ!痛っ!?
(梓)ごめん。
うるさいよ。
入って。
(旭)お邪魔します。
(京子)どう?何か根拠は見つかったの?
(旭)見つかったというよりは失ったといいますか。
実は今日仕事を首になりました。
(京子)どうして?
(旭)気付いたら社長に「えい」って。
ああー。
すいません。
(京子)じゃあ結婚は白紙に戻した方がよさそうね。
(旭)いや。
それがどうしてもいくら考えても梓さんのいない人生が想像できなくて。
彼女も彼女のおなかの中にいる子も諦めたくないんです。
2人を幸せにしたいんです。
すいません。
根拠はないんです。
中卒だし頼れる親もいないし貯金もないし。
おまけにさっき仕事まで失っちゃいましたし。
でも彼女の笑顔だけは全力で守ります。
それだけは絶対にお約束します。
あっ。
根拠はないんですけど。
(京子)それでいいのよ。
(旭)えっ?根拠なんていらないの。
周りがどれだけ反対しても娘を幸せにしたいっていうあなたの気持ちさえあれば。
(旭)あっ。
えっ。
じゃあ?娘をよろしくお願いします。
(旭)いや。
こちらこそよろしくお願いします。
痛っ!?
(京子)頭の下げ方弟さんにそっくりね。
(旭)えっ?
(京子)さっき来たのよ。
ここに。
(暁)《すいません。
突然お邪魔しちゃって》《今日は兄のことでお願いがあって参りました》《ご用件は?》《兄との結婚を認めてほしいんです》《実は今日あいつ会社を首になりまして》
(京子)《えっ?》《俺のためなんです》《ご存じかもしんないっすけど俺刑務所に入ってまして》《それをバカにした社長とケンカしちゃって》《ホント後先考えないっていうか無駄に熱いっていうか》《でもああ見えて結構頼りになるんです》《親父が死んでからあいつは親代わりになって家族のために働いてきました》《それこそ嫌な思いもたくさんしたと思います》《けどそのおかげで妹や弟は俺と違って立派に育ちました》《俺はすぐ家出ちゃったんでバカやっちゃいましたけど》《時々思うんです》《俺もあの家に残ってあいつのそばにいたらもっとましな人生歩いてたんじゃないかなって》《だからあいつには…》《兄貴には幸せになってもらいたいんです》《兄をよろしくお願いします》
(京子)弟さん帰りがけにこう言ってたわよ。
「きょうだいにとってあなたは自慢の兄だ」って。
しっかりごきょうだい育てられたのね。
すいません。
ちょっと泣いてもいいですか?間違ってなかったね?
(旭)うん。
(京子)はい。
(旭)すいません。
では占いです。
(旭)痛っ。
痛い。
痛え。
ああー。
飲み過ぎだ。
COUNTDOWNHYPERイコール。
イコール遅刻!あっ!?あっ。
そうか。
首だ。
よっしゃ!仕事探すぞ!・
(ドアの開く音)・
(ひかり)うるさい!今日夜勤だから夕方まで静かにして。
すいません。
(香澄)「もし私が死んだらどうする…」
(陽)えっと。
今のだとちょっと流れ過ぎちゃうから。
(陽)「もし私が死んだら…」ゆっくりでいいから。
スピードはあんまり出なくていい。
ちょっと女性的な部分が…。
(男性)「帰ってくれよ」
(香澄)「もし私が死んだら…」
(暁)よう。
(多香子)どうしたの?
(暁)履歴書いる?また書くのめんどくさいんだけど。
(看護師)お疲れさまです。
(新城)お疲れさま。
2014/07/23(水) 22:00〜22:54
関西テレビ1
若者たち2014 #03[字]
「苦い秘密」
暁と旭には確執が。それは亡き父のこと。真実を知り皆が驚き旭を責めるが、ひかりは暁に…。失意のまま旭は結婚を反対する彼女の母に会いに行く…と。
詳細情報
番組内容
佐藤家に戻った暁(瑛太)は、仕事もせず夜な夜なナンパを繰り返す自分を正当化する理由をまくし立てる。金持ちの女性と知り合い逆玉の輿を狙っていると自慢げに話す暁を、旭(妻夫木聡)は痛烈に批判。どれだけ大変でも人間は働く者なんだ、と暁の主張を退けるが、陽(柄本佑)は、我慢してまで働くのはアイデンティティーの喪失につながりかねない、などと反論する。そこにひかり(満島ひかり)や旦(野村周平)も加わり、
番組内容2
いつものように言い争いが始まった。
旭は、そんな弟妹たちを、社会に出ていない半人前の考えだ、と決めつけたように言う。すると暁が、10年前に自分がこの家を出た理由を弟妹たちに教えても同じことが言えるのか、と詰め寄り、10年前のことを謝罪するまで、旭を兄だとは認めない、と言い放つ。旭は、ならば家には来るな、と怒りをあらわにするが、暁はこの家は父親が子供たちに残してくれたものだから、当然自分にも
番組内容3
住む権利があると言う。そんな弟に旭は…。
出演者
佐藤旭: 妻夫木聡
佐藤暁: 瑛太
佐藤ひかり: 満島ひかり
佐藤陽: 柄本佑
佐藤旦: 野村周平
澤辺梓: 蒼井優
屋代多香子: 長澤まさみ
永原香澄: 橋本愛
新城正臣: 吉岡秀隆
スタッフ
【原案】
山内久
森川時久
【脚本】
武藤将吾
【音楽】
荻野清子
【主題歌】
「若者たち」森山直太朗(ユニバーサルミュージック)
【プロデュース】
石井浩二
【演出】
杉田成道
中江功
並木道子
【制作】
フジテレビドラマ制作センター
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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