くらし☆解説「ビザなし渡航同行記 北方領土のいま」 2014.07.09

いやあ、美しい。
これが新しい住宅です。
生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは「くらしきらり解説」きょうは台風情報でニュースが延長したため、この時間からのスタートです。
きょうのテーマは、ビザなし渡航同行記、北方領土のいまです。
日本の固有の領土、しかしロシアに支配されている北方領土。
日ロの立場が180度異なる中でのビザなし渡航と島の今の姿を報告します。
担当は石川一洋解説委員です。
石川さん、ビザなし渡航で実際にどこを訪れたんでしょうか。
石川⇒国後、択捉と訪れたんですが、宿泊はすべて船の中でした。
船の中ですか。
えとぴりかというビザなし渡航専門に造られた船に乗るわけです。
ビザなしを主催する独立行政法人北方領土問題対策協議会が長期間借り上げ契約を結んで、事実上、国の予算で建造した船です。
船内には宿泊可能で食堂も備わっておりまして風呂に入ることもできます。
ずいぶん整っていますね。
この船、実は日本船籍つまり船の中は日本なんです。
船尾にはそれを表すように日の丸が掲げられています。
ところが北方四島に近づきますとマストにはロシア国旗が掲げられるんです。
なぜですか?日本漁船が、かつて国境警備隊に銃撃されたこともある、ロシアが支配する水域に入るということで2つの国の旗を示しているんですね。
複雑な気持ちになりますね。
えとぴりかは、さらに港には接岸しないんです。
私たちは、はしけや船に備え付けの小船で島に上陸したんです。
どうしてですか?1つは北方領土の港の海図が戦前のものしかないんですね。
日本にはどこに浅瀬があるのか沈んだ船がどこにあるのかよく分からない。
こういう安全上の理由があります。
もう1つはロシア側との交渉が済んでいない。
えとぴりかが接岸してロシア側から何らかの書類に署名を要求されたりすると日本の法的立場をおかしかねないんです。
法的立場を損ないかねないとはどういうことなんですか。
ビザなし渡航のキーワードは日ロ双方の立場を害さない、損なわないということなんです。
北方領土には戦前1万7000人以上の日本人が住んで日本固有の領土として一貫して4島の返還を求めているんです。
一方ロシアは第二次世界大戦の結果、ロシア領になったと主張しているんです。
パスポートとビザはその国の主権の象徴なんです。
日本政府は閣議了解でロシアビザを取得しての日本国民の島訪問の自粛を求めているんです。
ビザなし渡航はこうした全く正反対の双方の立場をそれぞれ考慮しながら針の穴を通すような形で生まれた形式なんですね。
双方の立場に配慮してなんて、できますか?日本側はビザは取りませんしパスポートも提出しません。
ただ国後島沖で入域手続き出域手続きというのを行うんです。
出域のとき今回の場合は、国境警備隊がわれわれ一人一人の訪問団の顔写真で、この人が来たという証拠をしたりします。
入域出域ということばにも入国出国ということばを避けて双方の主張が対立している国境が定まっていない地域に入るという意味があります。
はっきり言いますとじれったい気持ちが残る旅でもあります。
そうした制限のある中で島のロシア人の生活は見えたんでしょうか。
択捉でロシア人の家庭を訪問しました。
警察官のセルゲイさんと銀行員のビクトリアさん夫婦です。
2人は日本名で紗那ロシア側でクリルスクと呼ぶ町を車で案内してくれました。
右ハンドル日本のアウトドア用の高級車に乗って、給与には満足していました。
ことしに入って町の道路の舗装も進んで、新しい家もたくさん建っているというんです。
案内してくれたのは国の予算で建設中の新しい文化センターの建設現場です。
来年には完成予定です。
3階建て、プールや映画館なども備え、娯楽の少ない島の人々は心待ちにしているということなんです。
島のインフラ整備の状況はどうなっているんでしょうか。
択捉島では飛行場の建設も進んでいて、滑走路は2600m前後中型機用の飛行場で森林を切り開いて建設が進められています。
管制塔などの建物はすでにほぼできて、空港につながる道路の整備も進んでいるんです。
いつ完成するんですか?計画では来月1日ということなんですが、ちょっとそれは無理だと思います。
しかしいずれにしても近く完成するのは確かなんですね。
そうするとロシアだけでなくほかの国からも観光客が飛行機で来る可能性があるんですね。
今回の訪問団には択捉島出身の鈴木咲子さんも参加しています。
子どものころ、この島から強制送還されるというつらい思いを持っているんです。
開発の様子に複雑な感情を鈴木さんは表していました。
このままロシア支配の既成事実が進むんでしょうか。
確かに投資が進んでいます。
ただ住民が定着しているとは言えないんですね。
このように日本人墓地の草刈りをしたんですが、そばにあるロシア人の方のお墓の草刈りもしたんです。
ロシア人のお墓にお参りする人が少ないんですね。
人口流出が止まっていないんです。
20代、大学に入る年代になると島の外の大学に進んで島には戻ってこない人口は実際のところ増えていないんです。
こうしたビザなし訪問は領土問題の解決につながるんでしょうか。
ビザなし訪問では、直接領土問題について意見を交換する場面はほとんどありません。
日本への好意を持ってもらうために文化紹介、今回は着物ショーを行い日本人とロシア人とが輪になって踊ったりしたんです。
ただ友好を深めるというビザなし訪問のやり方に対していらだちも募っているのが事実なんです。
ただどのような領土交渉の結果になろうと今住んでいるロシア人と日本人で解決すれば、共存する状態が出てくると思うんですね。
その基盤をこのビザなし交流というのは築いているとも言えると思います。
来年、戦後70年ですからねそろそろやっぱりね総理と大統領が頻繁に会って頻繁に会わないと意思は通じないと思うんですね。
だからもうしつこいくらいお互いが会ってそうしてやっていくことによってやっぱりそろそろね、よい私たちに明かりを与えてほしいですよね。
このビザなし訪問の意味というのはなんでしょうか?若い世代への領土問題への継承というのが大きいと思うんです。
今回の訪問団にも大学生が参加していまして北方領土問題をどう解決したらどう取り組んでいったらいいのか考えていたんですね。
実際に訪問されて、石川さんはどう感じましたか?私自身、最も印象に残ったのはすばらしい島に残された豊かな自然なんです。
この自然は知床半島と一体となった世界的にも貴重な自然なんです。
環境問題の専門家は双方を行き来している動物もたくさんいてどちらかが破壊されると悪い影響が出ると、環境面での日ロの協力の大切さを訴えていました。
北方領土問題は戦後残された日ロ間の最大の懸案です。
ぜひ両国首脳は解決に向けて一歩踏み出してほしいです。
2014/07/09(水) 10:10〜10:20
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「ビザなし渡航同行記 北方領土のいま」[字]

NHK解説委員…石川一洋,【司会】岩渕梢

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【出演】NHK解説委員…石川一洋,【司会】岩渕梢

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ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療

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